澁江俊一 16年9月11日放送
Diliff
残された言葉たち
「ものすごくうるさくて、
ありえないほど近い」
9.11後のニューヨークで
悲劇から立ち直ろうとする人々を描いた
珠玉の映画。
9.11のテロに巻き込まれ
突然父親を失った少年が
父の遺品から、
小さな鍵とBlackと書かれた封筒を見つける。
少年はニューヨーク中のBlackさんを訪ねて
鍵の秘密を聞いて回る。
監督は名匠スティーブン・ダルドリー。
彼は撮影前、出演者たちに
アメリカでは放送されていない
9.11の遺族たちの
ドキュメンタリー映像を見せた。
「心配しないで、わたしは大丈夫」
「みんなを愛しているよ」
悲劇のさなか、
家族を励まし、悲しませないために
残された言葉たち。
その優しさが
何度も見直したくなる名演技を支えている。
田中真輝 16年9月11日放送
InSapphoWeTrust
宛先のない手紙
今日、9月11日は、
アメリカ同時多発テロ事件が発生した日。
マンハッタン島の
南に位置するスタテンアイランドに、
事件で命を落とした島の住人、
275名の犠牲者を
追悼するモニュメントがあることをご存知だろうか。
彼らの多くは救助に向かった消防士たちだった。
設計したのは日本人建築家、曽野雅之氏。
ワールドトレードセンターに向かって
翼を広げるように立つ、そのモニュメントの名前は
「ポストカード」。
自らの危険を顧みず、崩落するビルへと
赴いた人々に想いを届けたいという願いが、
そこに込められている。
それは同時に、
世界中に向かって命の尊さと
戦争の虚しさを伝える、
宛先のない手紙に他ならない。
田中真輝 16年9月11日放送
Aude
タイムスリップエレベーター
今日、9月11日は、
アメリカ同時多発テロ事件が発生した日。
いま、その跡地には、デイビッド・チャイルズが設計した
ワンワールドトレードセンターが立っている。
彼は、この超高層ビルのエレベーターに、息を呑むような
仕掛けを施した。
エレベーターが上昇し始めた時、
窓の外に広がるのは1500年代、
マンハッタン島に入植が始まったころの光景。
そして、その風景はエレベーターが上昇していくにつれ、
高速で現代に近づいていく。
102階につくまでの47秒間でニューヨークが
発展していく歴史を目撃することができるのだ。
到着する寸前、一瞬だけ、
かつてのワールドトレードセンターが
映し出され、消える。
そして、エレベーターを降りたとき、
目の前に広がるのはいま現在のニューヨーク。
そこで、あなたは何を思うだろうか。
田中真輝 16年9月11日放送
神の視点
今日、9月11日は、
アメリカ同時多発テロ事件が
発生した日。
この事件を、神の視点で目撃した人物がいる。
宇宙飛行士、フランク・L・カルバートソン。
彼はその日、国際宇宙ステーションに滞在していた
唯一のアメリカ人だった。
その時撮られた写真には
ワールドトレードセンターから
東へと長くたなびく煙が写っている。
彼は上空からニューヨークのただならぬ様子を目撃し、
地上と交信することで、事件を知ったという。
宇宙から眺める地球に、国境はない。
暗黒の宇宙に浮かぶ、たったひとつの青い星。
なすすべもなく見下ろすその光景に
彼は何を思っただろう。
そして、神は何を思っただろうか。
村山覚 16年9月10日放送
Nuwandalice
かつてないをつくる人 田尻智
ポケモンの生みの親、田尻智。
20年以上前のこと。ポケットモンスターの企画をしていた彼は、
ゲームが市民権を得ていないと感じていた。そして同時に、
ゲームの歴史を変えたい、世の中を変えたいと本気で思っていた。
子供向けのゲームを作るというよりは、
その辺を歩いているおばちゃんに
「草むらからこんなモノが」っていう話をして、
そのおばちゃんが「どれどれ」って興味を
持つんだったらいけるんじゃないか。
小さなモンスターとゲームクリエイターは、
ゲームの歴史だけではなく、世の中の景色まで変えた。
世界のあちこちで、大人も、子どもも、おばちゃんも、
「どれどれ」とポケモンワールドをのぞきこんでいるのだから。
村山覚 16年9月10日放送
kyu3
かつてないをつくる人 石原恒和
ポケモンのプロデューサー、石原恒和。
ゲームソフトだけではなくアニメや映画、グッズなど、
あらゆるポケモンコンテンツをプロデュースしてきた
彼はこう語る。
ポケモンがこれからも続いていくポイントは
これまでになかった新しい遊びを生み出すこと
ポケットモンスターの第一作は、少年サトシが
自宅一階のリビングに降りていくところから始まる。
そこでは、映画「スタンド・バイ・ミー」が流れていて、
少年は旅立ちを決意する。
「スタンド・バイ・ミー」も「ポケモン」も
少年が街に飛び出し、経験を積み、友情を育む物語だ。
今年、ポケモンは新しい遊び、というよりも新しい社会現象を
生み出した。20年前に街へと飛び出した少年サトシのように、
人々は街へと繰り出した。
永久眞規 16年9月10日放送
Mark Giuliucci
かつてないをつくる人 山内溥
ババ抜き、七並べ、大富豪。
子供の頃、誰もが遊んだことのあるトランプも、
かつては大人の遊び「賭博」の象徴だった。
そのトランプに目をつけたのは、
当時任天堂の社長だった山内溥だ。
これは「賭博」以上の何かになりえるぞ。
そう考えた山内は、ある工夫をトランプに加えた。
それは、「プレイガイド」をつけること。
トランプの遊び方が書かれた説明書をオマケにつけて販売したのだ。
山内に考えは見事にあたり、瞬く間に子供を中心に大ブームに。
トランプは大人の賭博から、みんなのゲームになったのだ。
「トランプ」というハードに、
「プレイガイド」というソフトをつける。
後に任天堂が世界に名を馳せる基礎となった、
コンピューターゲームにも通じる考えだ。
カリスマ経営者として語られる山内は、
ゲームクリエイターとしても一流だったようだ。
福宿桃香 16年9月10日放送
sinkdd
かつてないをつくる人 江口勝也
「どうぶつの森」のプロデューサー、江口勝也。
敵もいなければ、エンディングもない―
全く新しい形のこのゲームは、江口のこんな思いから生まれた。
子どもと一緒にゲームをすれば楽しいことがわかっていても、
仕事が忙しくて、それができない。
だったら、お母さんや子どもが遊んだあとに
自分が遅い時間に帰ってきて遊ぶことで、
何かが重なりあうようなものができないだろうか。
こうして江口が辿り着いたのが、
ひとつの街に複数のプレイヤーが暮らす、というゲームである。
特に徹底したのは、現実と同じように時間が流れる街だということ。
遊ぶ時間によって設定が変わるようにしたことで、
たとえば、街のスーパーが閉まった後の時間にしか遊べないお父さんのために、
昼間のうちに子どもが商品を買って、手紙でプレゼントしたり。
帰宅したお父さんが、夜中にしか現れないサカナを釣って、
こどもの家の前に置いておいたり。
そんな家族のコミュニケーションを次々と生みだしたのだ。
江口の、ひとりの父としての願いから誕生したどうぶつの森は、
今日も日本中で、家族の時間をつくっている。
藤本宗将 16年9月10日放送
drip&ju
かつてないをつくる人 横井軍平
かつてゲーム&ウオッチをヒットさせ、
その後の任天堂の道筋をつくった横井軍平。
しかしそのとき彼が変えたのは、ゲームの歴史だけではなかった。
横井のもうひとつの重大な発明。
それはゲーム&ウオッチで初めて採用された「十字キー」だ。
手元を見ずに親指の感覚だけで
上下左右、斜めにと自在に操作ができる。
その画期的なアイデアにビル・ゲイツも驚いたといい、
ゲーム機だけでなく、リモコンなど様々な機器でいまも使われている。
横井はかつてこう語っていた。
世界に一つしかない、
世界で初めてというものを作るのが、私の哲学です。
それはどうしてかというと、
競合がない、競争がないからです。
ゲームの父は、誰よりもゲームの勝ち方を知っていたのだ。
大友美有紀 16年9月4日放送
「秋祭り」あきる野市・二宮神社秋季例大祭
秋、収穫を祝う祭が関東各地でも開催されます。
9月8日、9日(ようか・ここのか)には、
東京あきる野市の二宮神社で「しょうが祭り」が行われます。
古くから神饌(しんせん)として「牛の舌の形の餅」、
「子持ちの里芋」、「葉、根付きの生姜」が奉納されることになっていました。
しょうがは二宮神社周辺で採れたものをお供えしました。
すると
二宮神社の生姜を食べると風邪をひかない。
一年間無病息災、厄よけになる、と評判になり、
秋の例大祭が「しょうが祭り」と呼ばれるようになったのです。
およそ400年前からある、とされる祭礼。
生姜の屋台が立ち並びます。
都内で唯一の農村歌舞伎、無形民俗文化財の
秋川歌舞伎も上演されるのです。
祭りのクライマックスは、石段を駆け上がる神輿。
農村に伝わる収穫と奉納のダイナミズム、見物に行きませんか。