奥村広乃 20年4月19日放送
Theo Crazzolara
毒素と睡眠
今日はダーウィンの命日。
進化について考えたくなる日。
生き残るために、他の動物が食べないものを食べる。
そんな進化もある。
例えば、オーストラリアの人気者。コアラ。
主食は「ユーカリ」の葉っぱ。
脂分や繊維が多く、毒素も含まれている。
コアラは、盲腸でユーカリを発酵させ
毒素を分解できるよう進化した。
ところがこのユーカリ、栄養がとても少ない。
そのため、体力をあまり使わないように
1日20時間も寝て過ごすという。
たっぷり眠れて羨ましい
そんな現代人もいるかもしれない。
澁江俊一 20年4月19日放送
SKsiddhartthan
進化の名残
今日はダーウィンの命日。
進化について考えたくなる日。
私たち人間の体には
あまり必要ないと思われる器官がいくつかある。
盲腸や親知らず、尾てい骨などは
比較的よく知られているが、
他にもまだいくつかある。
例えば「鳥肌が立つ」という状態も
私たちの祖先が、かつて全身に体毛があった時に
恐ろしい外敵に出会った時に
身体中の毛を逆立てて
自分を大きく見せていた頃の名残だという。
体毛がなくなっても
私たちの身体は今なお
その使命を果たそうとしているのだ。
役に立たないと片付けて
気にもとめないのではなく、
何十万年も進化を重ねてきた
人類の進化の名残と考えてみれば
無駄もまた、愛しさになる。
奥村広乃 20年4月19日放送
SidPix
キリンの首
今日はダーウィンの命日。
進化について考えたくなる日。
首の長い動物といえば。
そう。
キリンだ。
その身長は5メートルを越すこともある。
なぜ首が長いのか。
高い所にある葉っぱを食べ、
遠くにいる天敵をいち早く見つけるため。
生き残るために進化したのだ。
キリンの祖先は、今でいう馬や鹿、牛に似ている動物。
しかし不思議なことに、
中間の首の長さのキリンは見つかっていないという。
ある日突然、進化は起きる。
まだ人類が見たこともない生き物が、
明日どこかで生まれるかもしれない。
礒部建多 20年4月19日放送
深海生物という先輩
今日はダーウィンの命日。
進化について考えたくなる日。
普段我々のような地上の生物は、
太陽の光をエネルギーに生きている。
一方、深海の生物たちは、
ほとんど光の届かない海底で生きる。
寒い、暗い、食料すら乏しい世界。
しかし、彼らはそんな世界でも優雅に暮らす。
独自の進化によって、生き抜く術を見出したのだ。
自家発電して光るサカナ。
自分の体で食べ物を作りだすカニ。
毒ガスを栄養に変えてしまうムシ。
不自由な状況を嘆かずに、自らを進化させる姿に、
今我々は学ぶことが多い。
太陽の光にも当たらず、家の中にいる時間は長くなる。
しかし、そんな生活すら優雅に過ごす進化を、みんなで考えてみよう。
深海生物にできるならば、人間にだってきっとできる。
礒部建多 20年4月19日放送
狩猟採集民の本能
今日はダーウィンの命日。
進化について考えたくなる日。
人類の歴史の9割以上は、
狩猟採集民として過ごしてきた。
だからこそ、常に変化する環境に適応するのは得意だが、
定住して同じことを繰り返す毎日は、生理的に耐えられなくなる。
その結果、本能的に外に出たくなってしまう。
しかし、それは過去の話。
いわんや現代においては外なんかに出ずとも、
新しいコトやモノに出会える。
集わなければできなかった、
飲み会さえも、今や遠隔で楽しめる。
体に組み込まれた、
狩猟採集民としての本能などに耳を傾けず、
現代人らしく、生活に変化を起こしてみよう。
想像力さえあれば、どこにいても人生は楽しめる。
松岡康 20年4月19日放送
sogni_hal
しゃっくりとヒトの祖先
今日はダーウィンの命日。
進化について考えたくなる日。
何故人がしゃっくりをするのか、
未だにはっきりとした理由は分かっていない。
そんなしゃっくりこそが、
人類の祖先を解くカギであるとする説がある。
オタマジャクシは、肺とエラの両方を使って呼吸を行う。
水が肺に入らないように、呼吸管を閉じ、鋭く水を吸い入れる。
いわば常にしゃっくりを起こしている状態だ。
しゃっくりをする。
この共通点が、ヒトの祖先が両生類であることを裏付けているという。
ヒック!となった時はオタマジャクシを思い出してみよう。
人類が歩んで来た歴史をその身体で感じることができるだろう。
松岡康 20年4月19日放送
NASA
適応と進化
今日はダーウィンの命日。
進化について考えたくなる日。
外出できなくて、ふだんの生活も驚くほどに変化している今、
ダーウィンの遺した言葉が身に染みる。
生き残る種とは、
最も強いものではない。
最も知的なものでもない。
それは、変化に最もよく
適応したものである。
今の状況に慣れて、適応する。
人類にとって、今の状況こそが進化のチャンスかもしれない。
川野康之 20年4月18日放送
オランダに目覚めた男たち
その頃江戸にオランダに目覚めた男たちがいた。
彼らは、長崎からオランダ商館員一行が来ると、
宿である日本橋の長崎屋におしかけて行き、
通詞をつかまえて質問攻めにした。
平賀源内を始め江戸中の洋学研究者が集まった。
その中に杉田玄白や中川淳庵など若い医師がいた。
中津藩の藩医前野良沢は四十を過ぎていたが
新知識を求める気持ちは同じだった。
オランダ語を理解して自由に読めるようになりたいと思っていた。
川野康之 20年4月18日放送
オランダに目覚めた男たち
「オランダの文字はわれら異国のものにも読めるであろうか」
通詞に問うと
「無理です。おやめなさい」
素っ気ない返事が返ってきた。
オランダ語とはそんなにむずかしいものなのか。
それを聞いて杉田玄白はもうあきらめかけた。
平賀源内の言うように言葉など通詞を使えばいいという考え方もある。
しかし前野良沢は納得できなかった。
「オランダ人といえども同じ人間ではないか。
人間の言葉がわからないはずがないではないか」
川野康之 20年4月18日放送
オランダに目覚めた男たち
「長崎に行きたい」
前野良沢は決意して、46歳で長崎留学に旅立った。
通詞のもとで、単語を一つ一つ教わっては紙に書き留めた。
「肺はロング、心臓はハルト・・・」
だがあまりの難行に、目の前が真っ暗になった。
留学期間が終わる頃、一冊のオランダの本と出会った。
中には膨大な横文字が並んでいてとても理解できそうにない。
しかしページをひるがえしていると、鮮やかな人体の絵が現れた。
自信にあふれた精緻な絵を見ているうち、
良沢は何としてもこの本「ターヘル・アナトミア」を手に入れたいと思った。