厚焼玉子 15年9月26日放送
Ben K Adams
宇宙月間2
古代日本人が考えていた宇宙をまとめると
こんな風になる。
海を進んでも陸を進んでもやがて天の壁に突き当たる。
壁はドームのように空をも覆っている。
その壁に空いた穴が星であり、
北極星は天の神々の出入り口だった。
また海には天とつながる島があるとも考えられていた。
丹後の国の風土記に描かれた浦島伝説では、
助けた亀とともに舟に乗り、ある島に下り立ち
昴やあめふり星の子供たちに出会う。
浦島太郎は日本で最初に宇宙旅行をしたのだ。
9月は宇宙の月
厚焼玉子 15年9月26日放送
onigiri-kun
宇宙月間3 花
コスモスの意味は秩序。
宇宙をコスモスと呼んだ人々は
宇宙を秩序があって調和のとれた状態と考えていた。
ところで、
メキシコの高原に咲いていた花がヨーロッパに運ばれ、
コスモスと名付けられたのはなぜだろう。
コスモスの咲く時期には一定の秩序がある。
夏が暑くても寒くても、
どんなに種を早く撒いても
コスモスの咲く時期は変わらない。
コスモスは昼間の時間が短くなって咲く花だからだ。
早咲き、夏咲き、
近ごろは品種改良が進んでいるようだが
コスモスはやはり秋が似合う。
コスモスが咲く9月は宇宙の月
厚焼玉子 15年9月26日放送
宇宙月間4 最終章
北欧神話の終末ラグナロクはこんな風に描かれる。
神々は巨人族に敗れ、太陽も月も怪物に呑まれる。
炎は世界を焼き尽くし、世界は沈む。
しかし再び大地は蘇り、新しい神々とともに
太陽の娘が空に輝く。
多くの神話には滅亡のストーリーがある。
そして復活のストーリーも。
現代の宇宙論による終末のシナリオは
ダークエネルギーの存在が鍵になるらしい。
重力に反発するそのエネルギーの量によって
宇宙は静かに凍りついた終末を迎えるか
すべての星が引き裂かれて終わるかというシナリオだ。
そしてまた、
新しい宇宙が生まれる可能性も考えられている。
我々の、いまの宇宙が生まれたように。
9月は宇宙の月
道山智之 15年9月20日放送
松本隆 1 ~ 言葉と音楽
作詞家、松本隆。
彼は今年、活動45周年を迎えた。
音楽と言葉って、融合するんですよ。ひとつに融けあうことができるのね。
紙に書かれるだけではない言葉。
音楽と一体になって、人の声でうたわれるとき、
それは独自のグルーヴを持って、
ボールのように跳ねることがあるという。
ものすごい快感なの。
道山智之 15年9月20日放送
Rick Cogley
松本隆 2 ~ よわいものをまもる
作詞家、松本隆。
小学6年生のとき、妹が1年生になった。
彼は、心臓が弱かった妹の分まで、
毎朝荷物を持って登校した。
弱いものを守るっていうのが、
ぼくにとってある種、綴じ糸のようにずっとあるわけ。
自分の身の回りに、守ってあげないとすぐ死んじゃいそうな妹がいて、
ランドセルふたつ、黒いのと赤いのと、1年間背負って行ってあげたのね。
自分だけがよければいいんじゃない。
誰かのために、何かをしたい。
その頃に生まれた気持ちは、今でも変わらないという。
道山智之 15年9月20日放送
furanda
松本隆 3 ~ 仲間
作詞家、松本隆。
今年、活動45周年を迎えた彼のために、
トリビュートライブ「風街レジェンド」が8月にひらかれた。
彼はこのために、40年ぶりにドラムを本格的に練習。
日本のロックの原点と言われるバンド、
「はっぴいえんど」の復活に人々はどよめいた。
上がってくる音が、はっぴいえんどの音。
自分でもけっこうショック受けちゃって。
それだけでちょっとウルッときたりしてね。
今までに詩を書いた楽曲数、2100曲以上。
1972年の「はっぴいえんど」解散後も、
数々のヒットで時代をつくってきた作詞家を、
錚々たるミュージシャンたちが祝った。
松本は舞台袖で、そっと演奏を見守った。
ほんとに仲間なんです。
タイムトラベルのようにきらめく演奏と、
家族のようにあたたかな客席。
4時間にもわたるコンサートを終えたとき、
松本はあらためて実感した。
ぼくは、はっぴいえんどのドラム。
道山智之 15年9月20日放送
松本隆 4 ~ エゴのちから
作詞家、松本隆。
今年、活動45周年を迎えた彼は語る。
今、エゴってすごく悪者になってるけど・・・ちがうの。
エゴこそ原動力。自分がやらなくって誰がやるっていう。
ぼくが聞きたいものをつくってあげよう、って。
そのエゴは、
何十年後かに誰かが理解してくれればいい、と
自分のよさを信じる強さでもある。
道山智之 15年9月20日放送
kndynt2099
松本隆 5 ~ A LONG VACATION
作詞家、松本隆。
30才のとき、心臓の弱かった妹が他界した。
大切な妹を失った彼は、もうひとつの大切なもの、
「言葉」まで失った。
書けなくなっちゃったのね。妹が死んだショックでね。
ちょうどその頃、
大瀧詠一から頼まれていた歌詞の〆切が迫っていた。
断りの電話を入れた松本に、大瀧は答えた。
「今回は、松本以外は考えてないから。それなら待つ」って。 ・・・待たれても。(笑)
少しずつ、松本は言葉をとりもどしていった。
発売を8カ月延長してリリースされた、
アルバム「A LONG VACATION」。
CD史上、初のミリオンセールスを記録した。
1曲目を飾るのは、「君は天然色」。
はじけるように明るいこの名曲には、
松本の、妹への想いと、大瀧との友情があふれている。
大瀧さんのメロディはねえ、青春なんだよね。
青春の痛みがあるの。だからすごい好きだったよ。
道山智之 15年9月20日放送
松本隆 6 ~ 光と影のバランス
作詞家、松本隆。
彼の詩はよくこう言われる。
明るさの中に、せつなさや哀しみがひそんでいる、と。
彼はこう語る。
真っ白い画面があって、そこに影を描き込むと顔が浮き出るわけ。
花を描きたかったら、花の影を描くわけ。花の光を描いても白いだけ。
・・・影の歌をつくることによって、人の心って明るくできる。
みんな泣きながら明るくなってるの。純粋に戻るわけ。
大切なのは、光と影のバランスなのだ。
道山智之 15年9月20日放送
gullevek
松本隆 7 ~ 原点から
作詞家、松本隆。
彼は、閉塞感漂う世の中についてこう語る。
ぼくは迷うとつねに原点に戻るから。
原点は、はっぴいえんどだから。
こういう方法論ない時代は、自分にもどっちゃっていいと思う。
そんな彼は今年、
自分のルーツであるバンド「はっぴいえんど」を再始動させた。
人間とは、とか。
愛とは、とか。
そのメッセージは、時をこえるほどに強い。