伊藤健一郎 15年8月23日放送
Faisal Akram Ether
友へ 平井堅
「友達」という言葉の意味を調べてみる。
いくつかの辞書ではこう説明している。
「互いに心を許し合い、対等に交わっている人」
ここでいう「対等」とは、一体どういうことだろう。
答えは、ひとつの歌に見つかった。
平井堅の『キミはともだち』。
君が泣いてた 僕も泣きそうになった
だけどこらえて笑った 元気だせよと笑った
君がさびしいときは いつだって飛んでくよ
うまくことばがみつからないけれど
僕の声が君のこころを癒すなら
ただあいづちを打つだけでもいいかい?
さびしいときは あとすこしつきあって
うまく話を聞いてくれないか
ただあいづちを打ってくれるだけで
君がいないと 僕は本当に困る
つまりそういうことだ きみはぼくのともだち
お互いのことを自分のこと以上に思い合える存在、
本当の友達とは、つまりそういうことだろう。
伊藤健一郎 15年8月23日放送
HAMACHI!
友へ ケツメイシ
ずっと友だち だが時は経ち
変わりゆく街の中で 共に育ち
この街から力溜め 一からの
スタートを切った君に 幸あれ
ヒップホップグループ、ケツメイシ。
彼らの代表曲『トモダチ』は、ヒップホップとして初めて、
教科書に掲載されたことでも有名だ。
胸に 夕日の色 焼きついてますか
共に 流した涙 乾いてますか
俺ら別々の 進む 進めば 明日が俺らを 創る
変わってく中 変わらないものもあるから
常に 胸に 君に 夢に
「うつろいゆく日々の感情を分かりやすく、ときに鋭く表現している」
という紹介文とともに、高校の現代社会の教科書に載った。
離れた友に向けて、ケツメイシは何度も何度も繰り返す。
いつか話せよ また会ったなら
すべて話せよ また会ったなら
伊藤健一郎 15年8月23日放送
Leo Reynolds
友へ Tommy heavenly6
ロリータ女子高生と、ヤンキー女子高生。
交わるはずのなかった二人に芽生える底抜けの友情を、
映画『下妻物語』は描く。
生まれて初めて真実の友を得た二人。
まるで、その胸中を告白するように、
映画は、ひとつの歌で幕を下ろす。
Tommy hevenly6『Hey my friend』。
すべてがデタラメに見えるこの世界で
Hey my friend
なぜだろう あなたの声が聞こえる
Hello my self
導かれるように見えた未来があるの
だけど 踏み外す道が近くにあるなら
ねぇ my friend
あなたが気づいた時には教えて
もしも今、あなたが道を踏み外そうとしていて、
それに気づかせてくれる友達が、あなたにはいますか?
伊藤健一郎 15年8月23日放送
sinkdd
友へ サンボマスター
逃げ出したいヤツと、
満たされないヤツのために歌いたい。
日本のロックバンド、サンボマスター。
孤独に震える夜に、彼らの曲は語りかける。
まるで、すべてを知った友のように。
悲しい現実なんて、豪快に笑い飛ばしてくれる。
これは、そんなサンボマスターの、魂の一曲『孤独とランデブー』。
デカく笑って 変えちまおうぜ 真夜中に踊り出す
真夜中のターンテーブル いつも一人きり でも僕はもうイヤだよ
いつか君と歩き出す そんな夢を今日は見てる
この世界はちょっと悲しくて 君の心を奪っちまう
だから君の名前を呼ぶぜ 僕はいつも君をみていたいのさ
伊藤健一郎 15年8月23日放送
Christian Kaden
友へ 町田紀彦
君と夏の終わり 将来の夢 大きな希望 忘れない
時代を越えて歌い継がれる曲、
『secret base 〜君がくれたもの〜』。
そこには、作詞家、町田紀彦の幼少の思い出が綴られている。
少年時代、町田には、大切な友達がいた。
二人でよく冒険をした。些細なことで喧嘩もした。
誰にも言えない秘密の夢さえ打ち明けあった。
本当に、かけがえのない親友だった。
けれど突然、二人は引き裂かれてしまう。
転校。まだ幼い二人には、どうすることもできなかった。
町田は、過ぎ去りし日の想いを、こんな歌詞にした。
あぁ 花火が夜空 きれいに咲いて ちょっとセツナク
あぁ 風が時間とともに 流れる
嬉しくって 楽しくって 冒険もいろいろしたね
二人の秘密の 基地の中
伊藤健一郎 15年8月23日放送
andredoreto
友へ 甲本ヒロト
読みかけの雑誌が重なってく部屋で
永遠の夢を見る 炎のように
日本のロック界に燦然と輝く双子星、甲本ヒロトと真島昌利。
ハイロウズ時代、ヒロトはライブでこんなMCをした。
レコード屋に行ったんだ。一生懸命レコードを漁っていたんだよ。
そしたら声をかけられた。振り向いたら仲のいい友達がいたんだ。
気が合う友達っていうのは、約束をしなくても会えるんだなって思ったんだ。
…僕の友達を紹介します!マーシー!!
ハイロウズを経て、クロマニヨンズの活動を続ける今。
ヒロトが友へ捧げた曲がある。クロマニヨンズ『炎』。
激流の中で 強く手を握る
永遠に離さない 炎のように
二人 このまま 二人
僕等はただの友達じゃない
もうただの友達じゃないんだ
炎のように
伊藤健一郎 15年8月23日放送
~Prescott
友へ 高橋優
シンガーソングライター、高橋優。
彼は、いじめられた過去を持つ。
強かな人になろうと誓った 誰にも期待などしなかった
あの人たちが正しいなら 僕は世界でも敵に回そう
語るには惨い現実さえも、どこまでもまっすぐ言葉にする高橋。
ときに命を振り絞るように、その声を振り絞る。
これは、かつて絶望にくれた高橋が、本当の友に出会い生まれた言葉。
その歌の名は『友へ』。
独りぼっちの君と 独りぼっちの僕
二人の間から零れ落ちた あの笑顔をもう一度
悲しみに耽って 泣きじゃくるもいい
気が済むまで 隣で待ってるから
肩の力を抜いて 深く呼吸して
自分を責めることだけはしないで?
きっと、真実の友のためならば、人は世界でも敵に回す。
伊藤健一郎 15年8月23日放送
友へ チェ・ゲバラ
チェ・ゲバラと、フィデル・カストロ。
二人の革命家は、キューバ革命を成し遂げた後、
ほどなくして別々の道を歩みだす。
再び革命に身を投じる道を選んだゲバラ。
彼は、キューバを離れる祭に、一通の手紙を友におくる。
「フィデル」と語り始めるその手紙には、こんな想いが綴られている。
もし異国の空の下で、最期のときを迎えるようなことがあれば、
僕の最後の思い出は、この国の人々に、とりわけキミに馳せるだろう。
キミの与えてくれた教えやお手本に感謝したい。
そして、僕の行動の最後まで、それに忠実であるよう努力するつもりだ。
ときに、政治観の不一致や仲違いが騒がれることもあった二人。
けれど、革命家として、友として、ときに肉親以上の絆で結ばれていた。
フィデルにあてた手紙は、こう結ばれる。
ありったけの革命的情熱を込めて、キミを包容する。 チェ
藤本宗将 15年8月22日放送
あるオタクの話 徳川家康
平均寿命が40歳にも満たなかった戦国時代。
75歳という長寿を得た「健康オタク」がいた。
江戸幕府をひらいた徳川家康だ。
彼は将軍になっても贅沢な食事を好まなかった。
主食は麦飯。季節はずれのものや冷たいものは避けるなど、
食生活の管理は徹底していた。
もちろん体を動かすことも忘れない。
足腰を鍛えられる鷹狩りを好み、野山を駆け巡った。
さらにはオタクが高じて薬の研究にも没頭。
自ら薬草を育て、薬の調合までするほどだった。
幼い頃から人質に取られ、戦場でも幾度となく命の危険を味わった家康。
生き抜くことへの執念は誰より強かったのだろう。彼はこう言っている。
「長命こそ勝ち残りの源である」
最後に天下を取ったのは、最強のオタクだった。
上遠野茜 15年8月22日放送
thefoxling
あるオタクの話 クエンティン・タランティーノ
32歳の誕生日にアカデミー脚本賞を受賞した映画監督、
クエンティン・タランティーノ。
ディープな映画オタクとしても有名だ。
20代はレンタルビデオ店で働き、毎日映画三昧。
ハリウッド映画のみならず、マカロニウエスタンや
日本のヤクザ映画、B級モノまで観まくった。
映画の話が白熱すると客でもお構いなしに殴り倒し、
敬愛する映画監督には直接会いに行くほどの
熱烈な映画オタク。
タランティーノ作品の特徴は、
大好きな映画のエッセンスや友人のエピソードを
脚本に盛り込んでしまうこと。
他人の焼き直しだと批判され、友人たちに恨まれても、
彼はこう開き直る。
「俺はかつて作られた映画全てから盗む」
オタク愛の示し方は、人それぞれだ。