飯國なつき 15年3月29日放送

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kirainet
ロボット③ ブルーノ・メゾニエ

『世界初、感情を理解するロボット』と銘打ち発売された「Pepper」。
これまでのロボットとは一味違う軽妙なしゃべり口で、
お笑いコンテストにまで出場した。
 
開発を担当したのは、アルデバラン・ロボティクス社。
CEOのブルーノ・メゾニエは、
Pepperの上半身だけが人型なのはなぜ?と記者に問われ、
こう答えた。

 コミュニケーションの大半は頭と腕、胸の部分で行うからです。
 コミュニケーションにおいて脚はそれほど大切ではありません。

 
ロボットの開発は、
「人間とはどんなものか?」を浮き彫りにしていく作業でもある。

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森由里佳 15年3月29日放送

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Ars Electronica
ロボット④ ロボットと感情

もし、ロボットに感情があったら。
主人である人間に嫌悪を抱き、反乱を起こすのではないか。

そんな不安が、多くの文学や映像作品で描かれてきた。

しかし、
アンドロイド研究の第一人者である石黒浩教授は、
あっさりとこう答える。

 人を傷つけるかどうかは、人とアンドロイドの関係次第です。
 人がアンドロイドを受け入れ、共存することを望むなら、
 多少傷つけられても
 一緒にいたいと思える関係を築けるようになると思います。

人間だろうが、アンドロイドだろうが、
一緒にいたい相手をたいせつにすること。
 
そんな当たり前のことを忘れて不安がることには、
なんの意味もない。

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森由里佳 15年3月29日放送

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wintersweet
ロボット⑤ ロボットと人間

ロボットは、壊れやすい。

それは、工業製品としては大きな欠陥である。
丈夫で優秀なロボットを作ろうと、もがく研究者もいる中で、
これを面白がる人がいる。

デザイナー 山中俊治。
彼は語る。

 すぐに壊れてしまう、死んでしまう。
 生物においてそれは当たり前の特性。
 そういう人工物を、予測不可能性を抱えた物を、手に負えない物を、
 ようやく作れるようになったのだと思う。
 その魅力を追求すべきだ。

 
ロボットの壊れやすさ。山中は、欠陥とされるそれに
生きものらしさと愛おしい魅力を感じた。
それが彼を惹きつけた。
 
欠点を魅力だと思えた時、人は夢中になるのかもしれない。

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森由里佳 15年3月29日放送

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ロボット⑥ ロボットと労働

ロボティクスの進歩は、将来、人間の仕事を奪うのだろうか。
 
日本を代表するロボティクスベンチャーで活躍する松尾幾代は、
そんな通説を気持ちよく覆してくれそうだ。
 
彼女が開発を一手に担うのは、パワーローダー。
人が身に着けることで、人の何倍もの力を出すパワードスーツだ。

肉体労働の現場で働く男性をサポートするのが目的かと思いきや、
彼女が目指すのは、使い手を選ばないユニバーサルなものだという。
 
 初めは、男性が使うことになるでしょう。
 でもいずれは、そういった職場へ女性が進出するきっかけにしたい。

 
人間の仕事を奪うどころか、女性が活躍できる新たな可能性も拓く。
松尾幾代のロボティクスは、そんな未来を見せてくれる。

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蛭田瑞穂 15年3月29日放送

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ロボット⑦ ロボットと文学「アイザック・アシモフ」

SF作家アイザック・アシモフが提唱した「ロボット工学三原則」。

「人間への安全性」「命令への服従」「ロボット自身の自己防衛」
という3つの原則を示し、フランケンシュタインなど
初期のSFから繰り返されてきた「ロボットが創造主を破滅させる」
というプロットに意義を唱えた。

 ナイフに柄がついているように、
 人間がつくるものには何らかの安全装置がなければならない。

科学者でもあるアシモフはロボットのあるべき姿をそう規定した。

ロボットはやがてSFを超えて現実のものとなったが、
アシモフの提唱した「ロボット工学三原則」は
現実のロボット工学にも影響を与えているという。

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蛭田瑞穂 15年3月29日放送

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ロボット⑧ ロボットと文学「カレル・チャペック」

旧チェコスロバキアの国民的な作家なカレル・チャペック。

ある時チャペックは、人の代わりに労働をする
人造人間が登場する物語を構想した。
しかし、その人造人間をなんと呼べばいいのか。
悩んだチャペックが兄のヨーゼフに相談すると、兄が言った。

 じゃあロボットにしたら。

「強制的な労働」を意味するチェコ語の“robota(ロボタ)”。
兄はその言葉を元にロボットという名前を思いついたのだ。

こうしてカレル・チャペックの戯曲
「R.U.R.(エル・ウー・エル)」によって
「ロボット」という言葉が初めて世に登場した。

ロボットは機械でも装置でもなく、文学として生まれた。

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中村直史 15年3月28日放送

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erinc salor
気になるあの人 ボビー・マクファレン

音楽家はふつう、観客に音楽を聞かせる。
けれどここに、観客の音楽を聞く音楽家がいる。

ジャンルを超えた
音楽を創造しつづけるアメリカの音楽家、
ボビー・マクファレン。

ある日、オーケストラを指揮していた彼は
突然、観客のほうに振り向くと
指揮棒をあげ、こう言った。

 みんなアヴェ・マリアを習ったことはあるよね?

振り下ろされる指揮棒。
あちこちから、かすかな歌声が起こる。
とまどいがちだった歌は、
重なり合うことで自信に満ちた音楽へと変わっていった。
音を響かせあう楽しさが、そこにあった。

聞く側と、聞かせる側。
ボビーはそんなジャンルさえ、飛び越える。

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中村直史 15年3月28日放送

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Sugawara / yuma
気になるあの人 宮井和夫

サメやカツオ、それにタコ。
カラフルな姿で車体からあふれんばかりに描かれている。
こんなタクシーが走る街は、きっとほかにない。

発案したのは、
気仙沼観光タクシーの宮井和夫(みやい かずお)社長。

震災後の灰色の街を明るくしたかった。
街歩く人を、ちょっとでも楽しい気持ちにさせたかった。

 苦しい思いをした地域。
 だからこそ、世界一幸せになる権利もあると思うんです。

宮井さんの語る希望は、
未来ではなく「今ここ」という現実の時間の中にある。

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三國菜恵 15年3月28日放送

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Kikasz
気になるあの人 武田双雲

井上陽水ほど記憶から消すことが難しいアーティストはいない。
大河ドラマ『天地人』の題字などを手掛けた書道家・武田双雲は語る。

学生時代に陽水の『夢の中へ』を聴いて、
本当に夢の中へひきこまれるような声に衝撃を受けた。

双雲は、陽水に向けて書を贈ったことがある。
それは、あでやかの「艶」という字。
何千とある漢字の中で、もう、これしか思い浮かばなかったそうだ。

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三國菜恵 15年3月28日放送

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microwalrus
気になるあの人 岡崎京子

 いつも一人の女の子のことを書こうと思っている。

漫画家・岡崎京子の信条。

彼女はストーリーラインを考えるのではなく、
一人の女の子を想像することから描きはじめる。
その子の好きな花は何か。トラウマは何か。
許せるものと許せないものは何か。

想像の先に生まれた一人の女の子。
紙の上で動き出して、漫画になる。

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