薄景子 14年10月12日放送

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陶芸のはなし 北大路魯山人

近代陶芸を代表する芸術家、北大路魯山人。
その焼きものは、彼の食道楽から生まれたという。
料理を盛る器について、魯山人はこう語る。

 古いものでは上等すぎる。
 新しいものでは可哀想すぎる。

何百年もの時を経た名作では
自分の料理には重厚すぎ、
現代作家のものではしっくりこない。
自分の料理を盛る器がないことが、
自ら陶芸をはじめるきっかけとなった。

魯山人の器は、そのものだけを見ると
何か物足りない印象を受けるものもあった。
それは主役の料理の分だけ差し引いて作る、
魯山人の美学だったのだ。

使うことではじめて完成する芸術。
魯山人の器は、今日も料理が盛られるたび、
新しい作品に生まれ変わっている。

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宮田知明 14年10月11日放送

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hfordsa
栗山英樹の哲学

「遅すぎる。全然ダメ。」

日本ハムファイターズ・大谷翔平の今シーズン初勝利、
プロ入り後初めての10奪三振にも、
栗山監督の表情は険しかった。

大リーグへ行く。日本ハムに入る可能性はゼロ。
そう言っていた彼に、
その夢を一緒に背負いたい、と説得した栗山だが、
プロ野球三年目を迎える大谷に対して、
厳しい言葉をかけ続ける。

栗山監督は言う。
「翔平はオレのことは大キライかもしれない。
 でも、やりたいようにやる。」

誰よりも、その活躍を望むがゆえに、
本人よりも厳しくなる。
それが、人の夢を背負うことの覚悟かもしれない。

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宮田知明 14年10月11日放送

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Norio.NAKAYAMA
弁護士・大渕愛子の哲学

ふなっしーが大好き、
持ち物も部屋もふなっしーだらけ。
弁護士、大淵愛子がふなっしーを愛するのは、
その「見た目」のかわいさだけではない、確かな理由がある。

大きな弁護士事務所からの独立。
仕事とプライベートの、オンオフのない生活。
「サイボーグみたい」と呼ばれたこともあった。

そんなときに出会った、ふなっしーというキャラクター。
ふなっしーは、世の中や他人の価値観から自由に生きている。
そう思うと、自分も「自分のままでいいんだ」と思えた。
そこから気を張っていたものがほどけていった。

「ふなっしーが大好き」と公言することで、
「変わってる」と言われることも多い。
でも逆にそれを、彼女は楽しみながら生きている。

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宮田知明 14年10月11日放送

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Greg O’Beirne
綾小路きみまろの哲学

中高年のアイドル、
漫談家として知られる、綾小路きみまろ。

舞台では、そこまで言うかというほどの毒舌で
爆笑をさらう彼にも、信念がある。

「クソババアとは絶対に言わない」

舞台で言うジョークは、
お客さん全体に言っていること。
ひとりのお客さんをつかまえて、
目を合わせて言うことはない。

キャラクターとしてそうしている、
と言えばそうなのかも知れない。
でも、彼のこの言葉には、それ以上に、
中高年の人たちへの愛を感じる。

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宮田知明 14年10月11日放送

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レイチャールズの哲学

ソウルの神様、レイチャールズは、
ジョークが好きだった。

自分の目が見えない、ということすら、
ジョークにしてしまう。

日本で公演を行った時、
若き日の、まだ調律師だったブラザートムが、
彼のピアノの調律を担当した。
この感謝を伝えるために言ったレイの一言は、

「キミの顔は覚えておくよ。」

その一言は、ブラザートムの生涯の宝物になった。

もし、あなたが、とっても些細なことで悩んでいたとしたら。
レイチャールズの、こんな言葉が聞こえてきそうだ。

「君たちは目が開いてるのに、何にも見えてないんだな。」

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佐藤理人 14年10月5日放送

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私の脚本術①「古沢良太」

映画は現実を変えない。
でも観た人の何かは変えられる。

脚本家古沢良太はその手応えを
映画「ALWAYS 三丁目の夕日」でつかんだ。
それ以来彼は常に、

これで世の中変えてやる

と原稿用紙に向かう。

彼はまずスタッフの想いを変える。
どんな理不尽な直しも喜んで受け入れる。
制約が増えるほど脳みその使ってない部分が、

もっと面白くしてやる

と燃えるのだそうだ。

作った人が納得できない作品に、
世の中が納得するはずがない。
スタッフが「自分の映画」だと思えて初めて、
観た人が「自分の映画」だと思ってくれる。

一人でも多くの人を前向きにすることで、
日本映画はまた一歩先に進める。
彼はそう信じている。

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佐藤理人 14年10月5日放送

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M.Christian
私の脚本術②「内田けんじ」

脚本はルービックキューブだ

映画「運命じゃない人」の脚本家
内田けんじは言う。

1面ずつ作ってたらいつまでも完成しない。
いいストーリーはすべての出来事が
6面同時に美しく収まる。

行き当たりばったりでは決してうまくいかない。
彼はまず登場人物と親友になることから始める。
どこで生まれ、何が好きで、どんな暮らしをしてるのか。

キャラクターが決まれば、行動が決まる。
行動が決まれば、物語が勝手に動き出す。

「ねえ、何か面白い話ない?」
彼は今日も親友に尋ねている。

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佐藤理人 14年10月5日放送

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JeffHBlum
私の脚本術③「三木聡」

脚本を書いてみたいが
何を書けばいいかわからない、
という人は意外と多い。

ドラマ「時効警察」などで知られる脚本家三木聡。
彼の発想法はそのタイトルと同じくらいユニークだ。

彼は心のオモチャ箱に1日1個ずつ
面白かった出来事をしまっていき、
ある程度溜まったらひっくり返す。

すると一見バラバラに見えた出来事に共通点が見つかる。
それこそ自分でも気づかなかった無意識のテーマ。

心の奥で自分が何を思っているのか。
映画を通じて発見できれば
それがベストの物語だ。

さて、あなたのオモチャ箱の底には
一体何が隠れているだろう。

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佐藤理人 14年10月5日放送

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私の脚本術④「横浜聡子」

すぐ理解できるものなんて最悪

映画「ウルトラミラクルラブストーリー」の
脚本家横浜聡子は理屈っぽいのが大嫌いだ。

観客の予想を徹底的に裏切るために、
テーマもあらすじも一切決めない。
結末を自分にもわからなくすることで、
脳みそで考えすぎる弊害を糾弾する。

彼女は世界に一発喰らわせたい。

頭、固くない?

と。

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佐藤理人 14年10月5日放送

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stevendepolo
私の脚本術⑤「筧昌也」

もしも人生にロスタイムがあったら?
しかもサッカーのように中継されたら?

もしも缶詰に人間が入ってたら?
しかも絶世の美女だったら?

ドラマ「ロス:タイム:ライフ」「美女缶」
で知られる筧昌也の脚本は、

「もしも」と「しかも」

でできている。

もしも設定が今までになく斬新だったら?
しかも遊び心がひとヒネリ加えられてたら?

彼の物語が色あせないのには
ちゃんと理由がある。

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