佐藤理人 14年9月13日放送
Aero Icarus
楽園的フライトプラン②「パスポートのいる名古屋」
名古屋へパスポートを持っていく男、
ミュージシャンパラダイス山元。
新幹線じゃつまらない。直行便じゃ味気ない。
「のぞみ」ならわずか1時間40分の距離を、
羽田や成田からわざわざどこかを経由して向かう。
それが飛行機をこよなく愛するパラダイス・ルール。
中でも彼が開発した最もエキサイティングなルートは、
羽田 – フランクフルト – 名古屋
のドイツ経由。
最新鋭機ボーイング787のフルフラットシートと、
ルフトハンザ航空のファーストクラスで行く名古屋。
このルート、時間とお金のムダと思うか。
それとも心のゆとりと思うか。
あなたはどちらですか?
佐藤理人 14年9月13日放送
楽園的フライトプラン③「空飛ぶシェフ」
これまでに地球40周分のフライトを経験した、
ミュージシャンパラダイス山元。
彼が理想の機内食に出会ったのは、
北京とウィーンを結ぶ空の上だった。
機内食は通常、地上で調理を終えたものが
機内で温め直されて出てくる。
しかしオーストリア航空では
フライングシェフ
と呼ばれる専任のシェフが、
調理の仕上げと盛りつけを行う。
すべての料理ができたてのホカホカ。
さらに食後には専門のコーヒーハウスが
10種類のメニューからお気に入りの一杯を
その場で淹れてくれる。
雲の上で飲むアイスウインナコーヒーは、
まさに天にも昇る美味しさだったとか。
佐藤理人 14年9月13日放送
きんちゃん
楽園的フライトプラン④「日本公認サンタ」
近ごろのサンタは
トナカイよりヒコーキでやってくる。
16年前、ミュージシャンのパラダイス山元は
国際サンタクロース協会から
日本公認サンタに選ばれた。
条件は結婚して子どもがいること。
体重が120kgを超えていること。
しかし最後のひとつは難関だった。
国際会議が開かれるデンマークまで
サンタの衣装で来ること
家から会場まで24時間、機内はもちろん、
空港や電車でもサンタでいなければならない。
しかしコペンハーゲンへの直行便は高い。
彼はタイ経由の南半球ルートで向かった。
南国のサンタはラクじゃない。
しかも季節は夏。どんなに暑くても、
Ho!Ho!Ho!
と涼しい顔で笑う彼にとって、
ツーショットをせがむ子供たちの笑顔は、
季節外れのクリスマスプレゼントだった。
大友美有紀 14年9月7日放送
biscorogus
「動物園の人々」旭山動物園・元園長 小菅正夫(こすげまさお)
北海道・旭山動物園の掲げるテーマは、「伝えるのは命」。
閉園寸前だった当時、元園長・小菅正夫は、
動物園を否定している人たちの存在を知る。
見せ物にしている、虐待だと。
僕たちも動物は見せる。
ただ、見せることによって
動物に影響を与えてしまうようなことは、
絶対にしない。
すべては、動物の意思で行われる。
命を、命の輝きを伝えるために、
動物が能力を遺憾なく発揮しているところを
見てもらうのが一番なのだ。
大友美有紀 14年9月7日放送
かめぞう
「動物園の人々」京都市動物園・高木直子(たかぎなおこ)
キリンはどうやって寝るの?
この質問に自分で調べて、答えたいと考えた飼育員がいた。
京都市動物園、高木直子。
夜間の動物舎にカメラを設置し、その行動を観察した。
彼女が最初に悩んだのは「寝ている」の判断。
キリンは寝ている時に目は完全に閉じないこと。
座る時間ってほとんど毎晩同じだということ。
一晩に座る回数もほとんど同じということ。
座って首を曲げる姿勢はかなり短いということ。
「座る」に注目するだけでこんなにたくさんの事がわかる。
高木さんは、楽しくなった。
ネットで調べればたいていのことはわかる。
けれども肝心なのは自分の目で見る、ということだと彼女は実感した。
大友美有紀 14年9月7日放送
ぜっとん
「動物園の人々」天王寺動物園・若生謙二(わこうけんじ)
動物園での動物の見せ方には、
生息地の景観を再現したものと
動物本来の行動をうながすものがある。
景観再現を優先すると人工物は入れたくない、
行動をうながすためには、ロープや鉄棒などが必要になる。
大阪の天王寺動物園の展示づくりに関わっている
若生謙二は、舞台をうまく設定してやることで景観と行動の
双方を再現できるという。
それが「アジアの森」だ。
アジアゾウの多くは国立公園などで保護されている。
なので、特定の地域に入って動物を観察するという想定で、
架空の国立公園を設定した。
鬱蒼とした森林、ゾウの移動経路や塩なめ場を配置。
視界の開けた場所をつくり、森から姿を現したゾウに出会う演出。
その後、森から人間の活動場所に戻ることで、
保護区のまわりの、ゾウと人間との摩擦をも展示に取り入れ、
人間の活動と動物の関係を見る人に問いかけたいという。
大友美有紀 14年9月7日放送
ぜっとん
「動物園の人々」広島安佐動物園・南方延宣(みなみがたのぶよし)
「ヒヒ通信」、「キリマンじゃろ」。
広島の安佐動物園の飼育員・南方延宣が描いた
漫画のタイトルだ。
業務日誌に書き込んだイラストに当時の園長が注目。
園内の説明板や入場券に絵を描き、
動物園のホームページに漫画を掲載していた。
来園者からの強い要望で本になった。
5分立ち止まって観察すれば、
動物たちの素顔が見える。
漫画を読んで動物園の面白さを知ってもらう
キッケケになればと思います。
漫画のアイデアは飼育舎の
掃除中に浮かぶことが多いという。
大友美有紀 14年9月7日放送
Caelio
「動物園の人々」京都大学霊長類研究所・松沢哲朗(まつざわてつろう)
チンパンジーの運動場にそびえ立つタワー。
こういった構造物をつくることは、
日本の最近の動物園の傾向だ。
きっけは、京都大学霊長類研究所。
1978年からチンパンジーの知性研究「アイ・プロジェクト」に
携わる松沢哲朗は、野生のチンパンジーの生態研究も行っていた。
野性では、彼らは1日の半分以上を樹の上で暮らす。
チンパンジーがチンパンジーらしく暮らせるよう、
「太陽があり、土があり、緑があり、仲間がいる暮らし」を
目指して、高さ15mのタワーをつくった。
内部には、高低差を利用した還流式の小川、
大小さまざまな木々が生育している。
心配していた落下事故や脱走もなかった。
タワーを導入した動物園のチンパンジーたちは
喜んで使っているようだ。
松沢はチンパンジーの研究を通じて、人間の心や進化的起源を探り、
「比較認知科学」という新しい研究領域を開拓した。
大友美有紀 14年9月7日放送
ちょめ@しゅんchang,
「動物園の人々」上野動物園・土居利光
最近の動物園では、動物の行動や生態を尊重した飼育方法や
暮らす場所の研究が、とても盛んになってきた。
東京都の上野動物園では、
1996年にすでに「ゴリラ・トラの住む森」を完成させている。
ゴリラ、トラが自然に近い状態で過ごせるよう、
それぞれの生育地に合わせた植栽をおこなっている。
開園130年を迎えた年、園長の土居利光は上野動物園の
原点について触れている。
1873年の建議書には、動物園として選定した場所が
動植物の生息、生育に適した場所である、と延べられていた。
実はこれが動物園づくりの原点なのではないだろうか。
大友美有紀 14年9月7日放送
「動物園の人々」多摩動物園・林寿郎(はやしじゅろう)
車で動物たちに近づいていくサファリパーク。
その元祖はなんと、多摩動物公園のライオンバス。
1964年、当時の上野動物園園長・林樹郎が発想した。
観客が檻の中の動物を見るのではなく、
観客が檻の中に入って動物を見るのは、
どうか。
このアイデアがヨーロッパでサファリパークとなり、
1970年代に日本に逆輸入されたのだった。