三國菜恵 13年12月22日放送
Ömer Ünlü
アーヴィング・ヴァーリン
I’m dreaming of a White Christmas.
クリスマスソングの定番『ホワイト・クリスマス』。
白く、ほわほわとした雪が、ゆっくりと降りてくる光景が
自然と浮かんでくるあのメロディは、
実は、太陽がさんさんと輝く、ロサンゼルスで生まれた。
作者は、アメリカのシューベルトとも言われたアーヴィング・ヴァーリン。
1942年に上映されたミュージカル映画
『スイング・ホテル』の中の一曲として書き下ろされた。
始まりは、こんな歌詞。
ここは太陽の輝くビバリー・ヒルズ、
オレンジとパーム・ツリーが風に揺れ、草は緑に揺れる。
でも、今日はクリスマス・イブ。
北へ行きたい。雪降り積もる銀世界のクリスマスに出逢いたい。
私は雪のクリスマスを夢見る。
真っ白な雪景色を前に、この歌は書かれていない。
雪の見えない場所で書いたから、
どの場所で暮らす人にも、真っ白な雪景色を想像してもらえるのだろう。
三國菜恵 13年12月22日放送
maaco
クリスマスに人々は 谷川兵三郎
ケーキの上で、テーブルの上で、
クリスマスムードを盛り上げてくれる、ローソク。
たくさんのローソクを届けている老舗メーカー
『カメヤマローソク』の創始者
谷川兵三郎(たにかわひょうさぶろう)は、
ある日、宮大工を辞めて、ローソクをつくろうと決意した。
「神に仕える仕事を」
ゆらゆらとゆれる灯りは、たしかに、
神様とちょっとつながれそうな気持ちにさせてくれる。
三國菜恵 13年12月22日放送
noiseburst
クリスマスに人々は パラダイス山元
日本にたった一人、
サンタの国、グリーンランドから
サンタ日本代表として認められた人がいる。
パラダイス山元。
彼の一年は、せわしい。
なぜなら、毎年7月、「世界サンタクロース会議」に参加すべく、
夏から準備をはじめているのだ。
彼はおちゃめにこう語る。
成田や羽田空港で、
季節外れのサンタクロースを見かけたら
「HoHoHo~」と手を振ってあげて下さいね
佐藤理人 13年12月21日放送
SLJ①「エディ」
史上最高の興行収入をあげて
ギネスブックに載った
ハリウッドスターは誰だと思う?
トム・クルーズ?ブラッド・ピット?
正解はサミュエル・L・ジャクソン。
今日で65歳になる彼の芸風は広い。
超大作はもちろん、
B級バイオレンスや文芸作品、
アニメの声優までなんでもござれだ。
エディ・マーフィーの主演映画
「ショウタイム」には、
サミュエル・L・ジャクソンは
42歳でブレイクしたんだぜ!
というセリフがある。
これは昔自分が主演した映画
「星の王子ニューヨークへ行く」で
チョイ役を演じたサミュエルが、
今や自分より高いギャラをとっている
というジョークだ。
彼の貪欲さの裏には30代を無名で過ごした
悔しさがあるのかもしれない。
遅咲きの花は、まだ満開ではなさそうだ。
佐藤理人 13年12月21日放送
y.caradec
SLJ②「カンヌ」
俳優サミュエル・L・ジャクソンが
ブレイクしたのは42歳のとき。
きっかけは大学の後輩
スパイク・リーがメガホンをとった
「ジャングル・フィーバー」
母親の家具を売ってまでドラッグを買う
麻薬中毒者を演じたサミュエルは、
カンヌ映画祭で助演男優賞を受賞した。
実はカンヌに助演男優賞は存在しない。
彼の演技が素晴らしすぎたため、
特別に作られたのだ。
何故俺が麻薬をやるかって?
ジャンキーだからさ。
家族に責められても、
平然と言い放つサミュエル。
彼に役作りは必要なかった。
売れなかった80年代、
実際にコカイン中毒だったからだ。
役とは異なり、
麻薬を断ったサミュエルは、
スターへの道を歩き始めた。
佐藤理人 13年12月21日放送
gavinbloys
SLJ③「千葉」
冷酷な殺し屋やジェダイマスターなど、
強い男を数多く演じてきた、
俳優サミュエル・L・ジャクソン。
彼が演じるタフガイはすべて、
ある日本人をモデルにしている。
千葉真一
スタントを使わないスターの元祖であり、
ブルース・リーを超えた
とまで言われた彼のアクションに、
サミュエルはずっと夢中だった。
2012年の大ヒット作「アヴェンジャーズ」で
アメコミヒーローの指揮官を演じたサミュエル。
ニック・フューリーという
左目に眼帯をはめたキャラクターは、
千葉の代表作「柳生十兵衛」へのオマージュだ。
初めて千葉に会ったとき、
サミュエルは緊張のあまり、
サインをください
と直立不動で頼んだという。
佐藤理人 13年12月21日放送
SLJ④「MF」
弱点のない人はいない。
ハンバーガーを食べ
ミルクシェイクを飲むだけで
観客を震え上がらせる俳優、
サミュエル・L・ジャクソンだって
それは例外じゃない。
彼の弱点は、
吃音
俳優にとってうまく話せないことは致命傷だ。
Gの日もあれば、Pの日、Bの日、
そしてSの日もあるんだ。
特定のアルファベットで始まる単語が
日によって発音できなくなるのだ。
彼が吃音を克服し、人気俳優になれた理由。
それはある「お気に入りの言葉」を見つけたこと。
その言葉を何度も口に出すうちに、
他の言葉もスムーズに話せるようになったという。
え? その言葉は何かって?
それはラジオじゃ言えません。
礒部建多 13年12月15日放送
ラブソングと電話
“ただ「愛してる」って言う為に電話したんだ。
ただ「こんなに君を想ってる」って言う為だけに電話したんだ。”
「I just call to say I love you(邦題:心の愛)」は
スティーヴィー・ワンダーの代表曲。
彼はある2人を想いながら、
この曲を書き上げた。
その2人とは、
後の南アフリカ大統領ネルソン・マンデラと、その妻。
当時アパルトヘイト政策に反対し、
反逆罪として投獄されていたマンデラが
妻に電話をかけている様子を思い描いたという。
信念を貫き、逆境に耐える2人をつなぐ、一本の電話。
受話器越しに交わされる愛の言葉は
今も世界中の恋人たちを魅了し続けている。
松岡康 13年12月15日放送
神様からの電話
ある漫画家のアトリエに国際電話が入った。
受話器の向こうの人物は、
アシスタントにペンと紙と定規を準備させ、
こう言った。
右上から4cm下に直線を引いてください。
そしてその線から、今度は左に5cm引いてください。。。
アシスタントが指示通りにペンを動かすと、
マンガのコマ割が描かれていく。
電話はさらにつづく。
ブラック・ジャック第10話、
3ページ目の4番目の背景の模様を、
最初のコマに書き込んでください!
電話の主は、マンガの神様、手塚治虫。
講演に来ていたアメリカから
電話越しで細かい指示を伝えたのだった。
驚くことに、彼の頭の中にはこれから描くストーリーと、
過去に書いたカットがすべて、正確に入っていた。
常人離れした記憶力と、マンガに対する熱意。
そしてなにより、どんな状況でも締め切りを守るプロ意識こそ、
手塚治虫が神様とよばれる所以なのかもしれない。
澁江俊一 13年12月15日放送
電話嫌いの作家1
日本の作家、夏目漱石と
「トムソーヤーの冒険」で知られる
アメリカの作家、マーク·トウェイン。
2人の共通点は、電話嫌い。
夏目家が電話を引いたのは、
漱石が朝日新聞に「行人」を
連載しはじめた大正元年12月。
加入台数は1000人当りわずか4台の時代だった。
せっかく引いた電話だが、漱石は気に入らない。
「鏡子夫人を呼んで欲しい」と言われると
「何の用だ、人の細君を呼び出して」とどやしつけ、
「モシモシ、夏目さんですか」とかかってきても
「知りませんよ」と怒って切ってしまう。
間違い電話ともなると、さらに大騒動になる。
交換手を呼び出し「なぜまちがったのだ、
理由を言いなさい、おおかた人を邪魔し莫迦にするのだろう」
と、くどくどとやり込める。
挙句の果て、うるさいからと受話器を外してしまう。
家族一同、ほとほと弱ったようである。
この頃、10年ぶりに
激しい神経衰弱に陥っていた漱石にとって
高価で便利な電話も邪魔者でしかなかった。
誰もが電話を持ち歩く現代。
もしも漱石がいたら、
どんな小説を書いただろう。