三國菜恵 13年5月18日放送
薔薇の季節 ローマ人の食卓
5月はバラの美しい季節。
バラ好きのローマ人たちは
親密な人との食卓には必ずバラを飾ったという。
この習慣から“under the roses”「バラの下で」といえば
「このことは秘密に、内緒で」という意味を指すようになったとか。
そんな親密な食卓にぴったりの、バラのメニューをご紹介。
ひとつめは、バラのサンドイッチ。
バラの花びらを細かく刻み、クリームチーズに混ぜ、
白いふわふわの食パンに塗って、はさむ。
すると、さわやかな後味が魅力的なサンドイッチができあがる。
そして、飲み物にはお手製のローズワインを。
白ワインの瓶に真っ赤なバラの花びらを1週間漬けこむ。
すると、色の美しさも、香りの華やかさも抜群のワインができあがる。
いつもの食卓に出すのには
ちょっと気取りすぎのメニューかもしれない。
けれど、季節のにおいを閉じこめて大切な人とたのしむのは
いまも昔も変わらず、素敵な時間になることにちがいはないでしょう。
奥村広乃 13年5月12日放送
キレイな母親が増えてます
映画『スノーホワイト』で、
白雪姫に毒りんごを食べさせる
王妃を演じたシャーリーズ・セロン。
スクリーンで圧倒的なオーラを放つ彼女は、
女性の美しさは、幸せな人生から生まれるものだと語る。
養子をむかえ母になった、
シャーリーズは今年で37歳。
彼女の美しさは衰えることを知らない。
日本でも、年齢を重ねても美しい女性が増えた。
アラサー女子、アラフォー女子、美魔女という言葉も飛び出し、
自分磨きに妥協しない女性が注目をあつめる。
美しさという武器を手に入れ、
母親たちはどこまで逞しくなっていくのだろうか。
澁江俊一 13年5月12日放送
Alan Light
名女優が演じた母
ハリウッドが誇る
演技派女優メリル・ストリープ。
アカデミーの常連である彼女が
初めて助演女優賞を獲得した作品は
1979年の「クレイマー、クレイマー」だった。
メリルが演じたのは
女としての生き甲斐と
母としての愛に揺れ
かつての夫と裁判で争う妻。
仕事ひとすじだった夫が
会社をクビになっても
懸命に息子を愛したことに胸を打たれ、
妻は息子を連れ戻す直前に、気持ちを変える。
その演技は
今、働くお母さんたちにも
ぜひ見てほしい
映画史に残るラストシーンだ。
澁江俊一 13年5月12日放送
Gage Skidmore
新しい母親像
まだ幼い子どもを
突然誘拐された母親。
やっと再会できた時に
その子がまったくの別人だったら。
その気持ちを思い描くことすら難しい役を
クリント・イーストウッド監督の映画
「チェンジリング」で演じ切った女優
アンジェリーナー・ジョリー。
彼女の演技に
強い引力があったのは、
当時彼女が本当の母親だったから。
映画が公開された2008年
彼女にはカンボジア人、エチオピア人、ベトナム人という
それぞれ国籍の違う3人の養子と、
ブラッド・ピットとの間に生まれた
3人の実の子どもがいた。
そんなパワフルな母親、どこをさがしても、なかなかいない。
彼女はこれから、
世界中のママたちに勇気をくれる
強くてやさしい母親を、
どう演じてみせてくれるだろうか?
澁江俊一 13年5月12日放送
美人の条件
世界で最も美しい女性ランキングがあれば
間違いなくトップクラスに入る
オードリー・ヘプバーン。
日本のアニメで美女の中の美女と言えば
銀河鉄道999のメーテル。
その2人には、実は共通点がある。
演じている声優が同じ
池田昌子(いけだまさこ)なのだ。
その淑やかで艶のある声で美女だけでなく、
やさしい母親を演じることも多い。
なんとウルトラの母を演じたこともある。
数年前、一度は断ったが、たっての頼みで
70歳を超えてもヘプバーンを演じ直してみせた。
みんな、彼女の声じゃなくちゃ、ダメなのだ。
松岡康 13年5月12日放送
FlySi
ロボットは母親を愛せるか
巨匠スタンリー・キューブリックが構想を練り、
彼の死後スティーブン・スピルバーグによって
映像化された映画「A.I.」。
主人公は、人間の母親を愛するように
プログラムされた少年のロボット、デイビッドだ。
彼は製造されてすぐに、モニカという女性のもとに送られる。
彼女には不治の病を持つ息子がいたが、
冷凍睡眠で眠り続けていた。
純粋にモニカを愛するデイビッド。
モニカも同様に彼を愛した。
ところがある日、冷凍睡眠をしていた息子が
奇跡的にめざめ、デイビッドは捨てられてしまう。
人間じゃないから、モニカから愛されない。
そう考えたデイビッドは、人間になる方法をさがして旅にでる。
結局、そんな方法は見つからなかった。
ある日、自分と同じタイプのロボットが
大量生産されている場面に出くわしたデイビッドは絶望し、
「ママ、ごめんなさい...」と言って、海に身を投げる。
ロボットでありながら
人間以上に純粋で真っすぐな
母への愛がそこにはあった。
松岡康 13年5月12日放送
母の心配
ヒッピー文化全盛の1973年。
15歳の少年ウィリアムは
ローリングストーン誌のライターに抜擢され、
人気バンドのツアーに同行する。
キャメロン・クロウ監督が
自らの少年時代をモデルした青春映画
「あの頃ペニー・レインと」。
厳格な母は、
毎日2回電話することを約束に、
ウィリアムを送りだすが、
テストの心配。単位の心配。進路の心配。
電話するたび小言を言う母に
うんざりしたウィリアムは、次第に連絡をしなくなる。
久しぶりにつながった電話。
涙を流すほど心配した母が
ウィリアムに伝えたのは、たった一言。
「ドラッグだけは、やっちゃダメ」
母が心配できることなんて
いつの時代も同じもの。
礒部建多 13年5月12日放送
Sinsong
母の秘密
どんな幸せな家庭にも
秘密はきっとある。
パルム•ドール最高賞
マイク•リー監督の「秘密と嘘」。
ブレンダ•ブレッシン扮する、
母のシンシアもまた、秘密を抱えていた。
一緒に住む娘、ロクサンヌとは別に
生まれてすぐ、養子にだしてしまった黒人の娘、ホーテンスの存在。
偶然の再会から、2人は母娘としての絆を取り戻していく。
真実をロクサンヌに打ち明け、三人での生活を願うシンシア。
しかし、周りがそれを止める。
彼女は泣き崩れ、肩を震わせながらこう言う。
「いつになったら打ち明けられるの」
それは脚本のない、即興の台詞だからこそ表現出来た
これ以上ないほど生々しく、切ない母の愛。
奥村広乃 13年5月12日放送
おおかみと母親
理想のお母さんを描く。
「おおかみこどもの雨と雪」の製作発表で
細田守監督は、そう語った。
彼が映画の中で描いた理想の母親は、
どんな辛い状況にあっても、
涙をぬぐい、笑顔をたやさない女性だった。
そして、夫と子どもたちが大好きだった。
これまで日本のアニメで、
母親が主人公になったものはほとんどない。
母親の映画を作ろうと思ったキッカケは、
友人夫婦に子どもが誕生し、
子どもたちを可愛がっている顔がたまらなく素敵で、
すばらしかったからだという。
子育ては、人生における
最大のエンタテインメント。
それが、映画というエンタテインメントで届けたかった
細田監督のメッセージなのだ。
佐藤理人 13年5月11日放送
数学者のスイッチ①「ニュートンとハレー」
万有引力を発見したニュートンの元を、
ハレー彗星の発見者ハレーが訪れた。
彗星が引力で地球の周りを
回っていることは知っていたが、
その軌道がわからなかったのだ。
ニュートンに尋ねると即座に
「楕円だ」と答えた。
計算式を見せて欲しいと頼むと
「後で送る」と言われた。
返事が来たのはそれから約2年も後のこと。
届いたのは分厚い論文だった。これが、
「自然哲学の数学的論理」
通称「プリンキピア」と呼ばれるもの。
ガリレオやコペルニクスたち先人が成し遂げてきた
数学、天文学、物理学の発見の数々。
それらをひとつに体系づけたこの論文は、
自然の仕組みを数学的に解明した初めての書であり、
近代科学の夜明けであった。
熱心なキリスト教徒だった
ニュートンにとってこの宇宙は、
数字で記された聖書
だった。
彼は誰にも真似できない方法で、
神への愛を示してみせた。