山本貴宏 19年12月22日放送
masato_saito
雪がふるとき ~ホワイトインパルス~
世界の降雪量ランキング1位は
青森県の青森市となっている。
そんな青森市でのある日、
積雪は29センチを記録したにも関わらず、飛行機の欠航はゼロだった。
活躍したのは、日本一の除雪隊と呼ばれる精鋭たち
通称「ホワイトインパルス」だ。
視界の悪い中、
全長3000メートル 幅60メートルの滑走路をたった16分で除雪する。
総勢110人 除雪車60台を指揮する隊長は、引き締まった表情でこう述べた。
「愛称をつけていただいて、励みになって士気も高まっていますので、
より一層降雪に専念したいと思います」
青森空港の展望デッキからは、彼らのプロ技を目にすることができる。
山本貴宏 19年12月22日放送
雪がふるとき ~札幌を救った雪~
終戦から間もない1950年。
当時、札幌の街は石炭ストーブを使っていた影響で外は薄暗く、
衣服も汚れるという理由でほとんど外へ出歩かなかったそうだ。
これではいけない!札幌を活気づけよう!
そう考えた札幌市が呼びかけ、
雪像製作に協力してくれる学校をなんとか集めて始まったのが、
今では世界の人を魅了する「さっぽろ雪まつり」だ。
雪捨て場であった場所で、
学生たちが作るたった6基の石像から始まった
「さっぽろ雪まつり」は今年で70回目を迎える。
その精巧な仕上がりに
思わず白い息が漏れてしまう雪像のひとつひとつには
先人たちの想いと歴史が積み重なっている。
冬の北海道で、感動の雪像を眺めてみてはいかがだろう。
山本貴宏 19年12月22日放送
雪がふるとき ~雪まろげ~
18世紀前後の江戸時代は小氷期といわれ
現代より寒い日が続き、雪の量も多かった。
そこで流行したのが、
雪玉を転がして丸い大きなかたまりを作る「雪まろげ」という遊び。
さらにその雪の塊を積み上げ
縁起物の「達磨」を再現したことから、文字通り「雪だるま」が誕生した。
「雪だるま」はSnowmanの語訳ではなく、は日本古来の言葉だったのだ。
歌川広景による「江戸名所道戯尽」の一葉にも
供え物が置かれた雪だるまが描かれており、
本来の「達磨」と同じく縁起物であったと考えられる。
雪が降ると、
子どもたちが外で雪だるまを作る風景が思い浮かぶが
江戸時代には、
子どもの遊びというよりも大人が作り、
朝起きた子供たちを驚かせるのが目的であったという。
炭の塊で目を付け、ひげなどを墨で描いていたという
本格的なつくりであった。
サンタクロースが西洋から伝わってくる前から
冬の日の朝に子どもたちを喜ばせる親心は、
変わらず存在していたのだった。
山本貴宏 19年12月22日放送
雪がふるとき ~雪あかり~
晋時代の中国に、
車胤(しゃいん)と孫康(そんこう)という若者がいた。
官僚を目指して勉強していた二人だが、共に貧しい家計で
夜中に必要な明かりを灯す油すら買うことができなかった。
そこで、
車胤(しゃいん)は夏の夜に蛍を捕まえて明かりの代わりを作り
孫康(そんこう)は冬の夜に窓辺に雪を積み上げて明かりの代わり
としたことから
苦労して勉学に励むことを意味した「蛍雪の功」という言葉が生まれた。
なんとしてでも合格してみせようという中国の偉人たちの想いは
卒業式で歌われる「蛍の光」を通して、現代の学生たちに伝えられている。
山本貴宏 19年12月22日放送
雪がふるとき ~神様のお掃除~
雨かんむりの下にあるカタカナの「ヨ」に似た字は、
古くは「彗(ほうき)」という字が由来になっている。
つまり雪とは
ほうきで集めることができる「雨」のことを指していたのだという。
もう一つの説には
雪が積もり、あたり一面が真っ白になった様子をみた昔の人が
「神様が世の中を掃除して、掃き清めてくれたようだ」と感じ
「彗(ほうき)」という字を
当てたとも言われている。
漢字は三千年以上前の人たちからのメッセージ。
成り立ちの想いを感じ取ってみると、雪の見方も変わってくる。
嫌なことがあった日に雪が降ってきたら、
「神様が気を利かせてくれたのかな」と思ってみてもいいかもしれない。
山本貴宏 19年12月22日放送
MIKI Yoshihito. (#mikiyoshihito)
雪がふるとき ~雪ぶつけ~
雪が降れば、雪合戦。
雪玉を作り、人に投げてみるという遊びは
自然に生まれてきたということは容易に考えられる。
記録に残っている最古のものは源氏物語の中の「雪ぶつけ」だ。
平安時代に、長時間に及び戦いを繰り広げていた二人の武将が
矢も刀も体力も限界を迎えたころ、雪玉を投げて戦ったことから
「合戦」という名がついたという。
現在では約10ヵ国において国際スポーツとして
世界でプレイされている。
この冬、未来のオリンピックを想像しながら
無邪気に大人同士で雪合戦をしてみるのも、楽しそう。
山本貴宏 19年12月22日放送
Wongm
雪がふるとき ~スキー場とジェット機~
雪が降れば、スキー場に行きたくなる。
寒さを忘れて真っ白な景色を滑り下りるスリルは
誰しも味わったことがあるだろう。
そんなスキー場、
雪不足で困ったときには、人工降雪機が役に立つ。
実はその人工降雪機が、
偶然の産物であったということはあまり知られていない。
ジェット機のエンジンテストをしていた時に
氷がエンジンに与える影響を
調査するべく冷たい水を吹きかけたところ
霧状になった水が小さな氷の結晶を作り上げた。
これが、人工降雪機の始まりだ。
発明はいつも意外なところから降ってくるものだと
エンジンテストをしていた彼も、驚いたことだろう。
山本貴宏 19年12月22日放送
wanko
雪がふるとき ~めでたい予兆~
一般的に寒さを想起させる雪には、高い保温効果がある。
かまくらの中が暖かいのはそれが理由であり、
氷点下10度を下回っても、
積もった雪の下は0度より下がらないという。
地温を高めたり、凍結をゆるめる効果で
雪の多い年は豊作に結びつくと話題になり
中国には「瑞雪(ずいせつ)の降った年は五穀豊穣となり幸せが訪れる」
ということわざもある。
ふと、雪を見て心が暖かくなるのは
めでたい予兆の雪という意味が、国や文化を越えて
私たちの心の中にも残っているからなのだろう。
長谷川智子 19年12月21日放送
ショパンの遠距離恋愛
今日、12月21日は遠距離恋愛の日。
ショパンの「ワルツ第9番 変イ長調」は
遠距離恋愛から生まれた。
故郷ポーランドから亡命途中の町で、
若きショパンは、少女マリア・ヴォジンスカと恋に落ちる。
旅立ちのとき、甘美なメロディのワルツを贈った。
二人の愛の時を忘れないで、と思いを込めて。
後にマリアは別の男性と結婚、
ショパンの遠距離恋愛はあえなく終わる。
この名曲、今は、「別れのワルツ」と呼ばれている。
長谷川智子 19年12月21日放送
Ben Tubby
イワトビペンギンの遠距離恋愛
インド洋南部から南大西洋にかけて生息するイワトビペンギンは、
遠距離恋愛で知られる。
子育てが終わる秋、雄と雌は別々に海へ旅立ち半年を過ごす。
そして春、元の相手と巡り合い交尾するさまは
カップルが本当に喜び合うよう。
過酷な環境で、協力して子育てをする。
離れてこそ、強くなる絆。
愛の法則は、自然の摂理にも刻まれている。
今日、12月21日は遠距離恋愛の日。