佐藤延夫 20年9月5日放送
国民栄誉賞の日 王貞治
何が起こるかわからない。
そんな当たり前のことを思い知らされた年。
ふと考えてしまうのは、
自分の人生について、だったりする。
これまでのこと。
これから先のこと。
もしも、ちょっと思い悩んでしまったら、
一度立ち止まって、
道を極めた人の言葉に耳を傾けてみよう。
たとえば、王貞治さんの場合。
僕は、人生は円だと思ってきました。
朝があれば、昼があり、夜があって、朝がくる。
季節で言えば、春、夏、秋がきて。
これはもう止めようがありません。
人間もサイクルみたいなものがあって、
調子がいいときもあれば、悪いときもある。
今日9月5日は、国民栄誉賞の日。
日本の国民栄誉賞第一号、世界のホームラン王は、
いつでも自然体だ。
佐藤延夫 20年9月5日放送
国民栄誉賞の日 植村直己
あなたは、なにが欲しいですか。
愛。お金。名誉。それとも・・。
人の欲望は果てしないけれど、
突き詰めると、それはもっと単純なことなのかもしれない。
冒険家の植村直己さんは、
こんな言葉を残している。
人の生きる本当の価値は、
お金や肩書きなどではなく、
夢を追い求め、
一瞬一瞬を精一杯生きることにあります。
今日9月5日は、国民栄誉賞の日。
植村直己さんが受賞したのは、1984年のこと。
綺麗事を飛び越えた美しさが、この言葉に込められている。
薄景子 20年8月30日放送
冷たい麺の話 韓国冷麺と盛岡冷麺
韓国料理として人気の冷麺。
ひんやりつるりと喉を抜けていく食感は
この季節にはたまらないもの。
一方、日本で有名な冷麺といえば盛岡冷麺。
この2つ、似ているようでちがうのは、麺の種類。
韓国冷麺の主な原料がそば粉であるのに対し、
盛岡冷麺は発祥当時、地元の人になじみやすいように、
小麦粉を使った麺にしたことでブレイクしたとか。
酸味の効いた冷たいスープに、
キムチやチャーシュー、ゆで卵など
好きな具材をたっぷりのせて。
この夏は、韓国冷麺、盛岡冷麺、
2つの麺の食べくらべもお楽しみあれ。
熊埜御堂由香 20年8月30日放送
yoppy
冷たい麺の話 カッペリーニの大変身
冷製パスタ「カッペリーニ」。
夏のイタリアンで出会うちょっと特別なこのメニュー、
実は、本場イタリアでは、食べる習慣がほぼないそうだ。
正確には、カッペリーニとは、あの細麺をさす名称だ。
おなじみのスパゲティとは直径2ミリ程度のもの。
直径0.9ミリの極細麺をカッペリーニと呼ぶ。
その極細麺を冷たく仕上げる冷製パスタの発祥は2つの説がある。
1970年代に来日したイタリア人シェフが、
冷たい蕎麦に感銘を受け考案したものが最初か。
はたまた、青山にある名店の、
日本人シェフのメニューが最初とも言われているのだ。
いずれにせよ、冷たい麺を愛でる日本人の食文化が、
カッペリーニを冷製パスタとして大変身させた。
若杉茜 20年8月30日放送
KOREA.NET
冷たい麺の話
長い梅雨が明け、
昨年以上に酷暑となった今年。
各レストランが出す冷たい麺は暑さの中でも食欲をそそる。
そんな冷たい麺の代表格の一つである韓国冷麺だが、
実はこれ、もともと冬の食べ物であった。
朝鮮半島では、冬になると翌年分のキムチを漬ける習慣がある。
そのキムチの残り汁に麺を入れて食べたのが、冷麺の走りであった。
厳しい寒さの朝鮮半島では、冬になるとオンドルと呼ばれる暖房が焚かれ、
部屋の中は暑いくらいだったという。
その素晴らしく暖まった部屋の中、
ひんやりとした冷麺をすっきり食べるのだ。
暑い中で食べる、酸っぱ辛い爽やかな麺。
季節は真逆だが、その楽しみ方は今も昔も変わらない。
若杉茜 20年8月30日放送
冷たい麺の話
中国や台湾で食べられている涼麺(リャンメン)。
つけ麺風や和え麺風などいろいろあるが、
日本の冷やし中華と似ている汁のない冷やし麺だ。
しかしこちらの涼麺、ある地域では風を扇ぐと書いて
「風扇涼麺」(フウセンリャンメン)と呼ばれる。
フウセン、とは中国語で扇風機をさすが、
茹で上がった麺を水でしめずに、
扇風機で冷やすため、その名前がついた。
こうすることで麺が冷えすぎず、独特のコシが残るのだという。
なんとも涼しげな名前の「風扇涼麺」。
これを食べないと夏が来た気がしない人も
きっと多いに違いない。
石橋涼子 20年8月30日放送
冷たい麺の話 風鈴蕎麦
江戸の町には、天秤棒を担いだ商人があちこちにいた。
「あさりぃ、しじみぃ」
「すし、鯛のすしぃ」
食材、料理から日用品まで様々な振り売りが、
掛け声とともに町中を売り歩いていた。
そして1700年代半ばになると
掛け声ではなく風鈴の音色で客を呼ぶ蕎麦屋が現れた。
「チリン、チリン」
担いで移動する担い屋台(にないやたい)に風鈴を下げ、
その涼しげな音で、夜食目当ての客を集めたという。
暑さがやわらぐ深夜まで営業した風鈴蕎麦は、
庶民の間で流行したという。
冷たい麺が食べたくなる季節、
気持ちも涼やかに、おいしいものをいただきたい。
茂木彩海 20年8月30日放送
冷たい麺の話 素麺の1200年
暑くて食欲がない夏の日でも、つるりと頂ける
頼もしい存在。素麺。
サバの缶詰を乗せたり、
冷たいグリーンカレーをつけダレにしたりと
アレンジの幅は無限大。
今では夏の食卓に欠かせない存在となっているが、
その歴史は1200年と、意外に古い。
平安時代の宮中の儀式をまとめた法典の中には、
七夕に素麺をお供えする、と記載があり、
かつてはごく限られた上流階級だけが口にすることを許された、
特別な麺だった。
醤油がまだないこの時代には、
主に塩を振りかけて食べられていたという。
いつもの薬味にも飽きた、そんな時は
1200年前の初心に戻って、
ささっと塩を振りかけた素麺で
夏の風情を楽しんでみてはいかがだろう。
小野麻利江 20年8月30日放送
モリッツィオ
冷たい麺の話 冷やし中華はじめました、の理由
冷やし中華 はじめました
夏に目にする、おなじみの貼り紙。
これを見ると、俄然夏を感じる、
という人も少なくないだろう。
しかしなぜ、冷やし中華にだけ
このような宣言があるのだろうか。
調べてみると、
中華料理店に来るお客さんは
同じメニューを繰り返し注文することが多いため
存在が忘れられないように。だとか、
他のメニューと比べて材料費も手間もかかるので、
なるべく売れてほしいから。
といった理由があるようだ。
日本の夏を、目でも舌でも彩ってくれる、冷たい麺。
あなたは今年、冷やし中華、はじめていますか?
小野麻利江 20年8月30日放送
K14
冷たい麺の話 冷やし中華はじめました、のはじまり
冷やし中華 はじめました
夏に目にする、おなじみの貼り紙。
では、その冷やし中華のはじまりは
どこから?というと、
実は中国ではなく、日本生まれ。
東京の神保町発祥という説と
東北・仙台発祥という説が有名だが、
どちらも、昭和初期に親しまれはじめたようだ。
神保町のお店の冷やし中華は、
作家・池波正太郎が「上海焼きそば」と並んで
愛したメニューでもある。
あなたは今年、冷やし中華、はじめていますか?