渋谷三紀 19年9月14日放送
nolabwork
銭湯のおはなし「富士山」
銭湯の壁の絵といえば富士山。
はじめて描かれたのは大正元年のことでした。
東京の猿楽町にあった銭湯「キカイ湯」が
子ども達によろこんでほしいと絵師に依頼。
その絵師が故郷の富士山を描いたのがはじまりだそう。
日本を象徴する山で、信仰の対象、
見た目も美しく、何より縁起がいい。
まわりの銭湯もマネをして
銭湯の富士山はいっきに広まりました。
体温とともに気分も上々!
といったところでしょうか。
渋谷三紀 19年9月14日放送
銭湯のおはなし「タオル」
銭湯ではお湯に浸かるとき
頭にタオルをのせますが、
それは湯船にタオルを浸けない
マナーからだけではありません。
長くお湯に浸かると頭に血が上ります。
濡れたタオルを軽く絞って頭にのせると
タオルからの気化熱で頭が冷やされて
湯あたり防止になるのだそうです。
なるほど。
そうそう、天井から水滴が頭に落ちて
「冷てっ」なんてこともありませんしね。
渋谷三紀 19年9月14日放送
peter-rabbit
銭湯のおはなし「男湯と女湯」
銭湯の入り口にかかるのれん。
向かって右は男湯ですか?それとも女湯?
実は関東と関西で逆なのだそうです。
ちなみ京都は右に女湯。
その理由をこんな風に話します。
「男女で行ったとしますわ。
人間の顔は右の方が表情豊か。
ですから女は湯あがりに
右の顔をみられるのがよろしいようで。」
銭湯にはドラマがあります。
渋谷三紀 19年9月14日放送
銭湯のおはなし「映画」
昭和の映画には、よく銭湯が登場します。
映画「東京物語」の冒頭シーン。
長男長女を訪ねて田舎から上京したものの、
ほったらかしにされた老夫婦。
手持ち無沙汰な義父をもてなそうと、
長女の夫が声をかけます。
タオル片手に3人でぶらり銭湯に出かける姿は、
まさに古き良き昭和の風景です。
ちなみに入浴料は15円。髪を洗うとさらに10円。
タバコが30円の時代に安くはありません。
お風呂がある家庭がめずらしかった戦後。
銭湯は庶民の暮らしに欠かせないものであり、
ささやかな楽しみでもあったようです。
渋谷三紀 19年9月14日放送
otarako☺︎
銭湯のおはなし「牛乳」
銭湯から上がり、
腰に手を当てぐいっと飲みほすものといえば、
そう、牛乳です。
フルーツ牛乳もいいですよね。
昭和30年代、テレビ、洗濯機とともに
冷蔵庫は三種の神器と呼ばれる庶民の憧れ。
当時繁盛していた銭湯には
最新式の冷蔵庫がありました。
そこに目をつけたのが牛乳屋さんでした。
湯上がりに飲む冷えた牛乳のおいしさ、
そこで交わすたわいもない会話。
減りつつける銭湯とともに、
そんな風景まで消えてしまうのはちょっと寂しい。
蛭田瑞穂 19年9月8日放送
dalbera
ダンス エトワール
1661年にルイ14世が設立したロイヤルダンスアカデミーを起源に持つ、
パリ国立オペラ。通称「オペラ座」。
オペラ座に所属するダンサーはおよそ150人。
年に一度の試験によってダンサーたちは5つの階級に分けられる。
カドリーユ、コリフェ、スジェ、プルミエ・ダンスールと位が上がり、
最高位がエトワール。
現在のエトワールは男女合わせてわずか16人。
フランス語で「星」を意味するエトワールは
際立った個性や天性の才能を持つダンサーと認められた者だけが
手にできる称号である。
蛭田瑞穂 19年9月8日放送
thisisbossi
ダンス 白鳥の湖
チャイコフスキーによるバレエ音楽『白鳥の湖』には
オデットという名の主役の白鳥と
オディールという名の悪役の黒鳥が登場する。
『白鳥の湖』ではふたつの役をひとりのダンサーが演じるのが
習わしとなっている。
優雅なオデットと妖艶なオディール。
正反対の役を演じ分けなければならないため、
ダンサーにはバレエの高い技術と巧みな演技力が要求される。
ひとりで二役を初めて演じたのが、19世紀に活躍し、
今なお史上最高のバレリーナと呼ばれる、
ピエリーナ・レニャーニと言われている。
佐藤日登美 19年9月8日放送
ダンス タップダンス
18世紀、アメリカ南部。
人種差別がまだ色濃かった時代、
多くの黒人たちが奴隷としてアフリカから連れてこられた。
彼らのささやかな楽しみは、ドラムに合わせて踊ること。
ところが暴動を恐れた白人たちは、
黒人が集まる場所でのドラム禁止令を出してしまう。
それでも、彼らは踊ることを諦めなかった。
黒人たちはみんなで足を踏みならし、拍子を刻み始めた。
これが、タップダンスの起源と言われている。
森由里佳 19年9月8日放送
S. Weiss
ダンス 自分たちにしかできないダンス
慶應義塾大学のジャズダンスサークル「SIG(シグ)」は今年創設20年を迎える。
サークルで振付を指導する振付家、高柳明子は言う。
「ただのダンスなら、やる意味がない」。
高柳によれば、ダンスは音楽に合わせてただ体を動かすことではない。
振付は、体に込めたエネルギーの移動そのものであり、
そのエネルギーのうねりをダンサー全員で共有し、大きくしていく。
それこそが、そのメンバーでやる意味のあるダンスなのだと。
高柳、そしてSIGの目指すダンスは、一人よがりでは決して踊ることができない。
その時、そこに集うメンバーでグルーヴを生んでこそ、
ほんとうの意味で、全員で踊るダンスになるのだ。
森由里佳 19年9月8日放送
kaetidh
ダンス 伝わるダンス
みなさんは、ダンス作品を見たことがあるだろうか。
どうやら、振付家の指示通りに踊ればいい作品ができる、
というわけではないようだ。
慶應義塾大学のジャズダンスサークルSIG(シグ)で振付を指導する
振付家・高柳明子はある時、練習中のダンサーたちの動きを止めた。
「それでは伝わらない」。
しんと静まり返るダンススタジオ。
汗をぬぐうダンサーたちの荒い息遣いだけが聞こえる中、高柳は言った。
「与えられた世界観を再現するのではなく、自分の世界を表現してほしい。」
一人ひとり、思い思いの表現があってこそ、
想像以上の作品が生まれるということなのだろう。