渋谷三紀 19年5月18日放送
Dust Mason
あなたの知らない博物館の世界「髪の毛博物館」
トルコのアバノスにあるのは「髪の毛博物館」。
博物館のオーナーが
ふられた女性に最後のお願いと
髪の毛をもらったことが
コレクションの始まりでした。
思い出の品として飾っていた髪の毛を見た別の女性が
「私の髪の毛もあげます」「私のも…」と、
髪の毛を寄付していった結果、
いつの間にか膨大なコレクションになったのです。
1979年には、世界一髪の毛を収集した博物館として、
ギネスブックにも登録されました。
5月18日は博物館の日
渋谷三紀 19年5月18日放送
Chris Devers
あなたの知らない博物館の世界「へたくそ博物館」
アメリカのマサチューセッツ州にあるのは、
その名も「へたくそ美術館」。
ある古美術商が、
ゴミ捨て場で一枚のへたくそな絵を拾ったことが
きっかけで生まれました。
へたくそ美術館の理念は、
ほかのいかなる場所でも展示されず、
真価を認められることのない作品を生み出した
芸術家の健闘を讃えること。
駄作の数々が、
才能なき芸術家たちの
かすかな希望になっているのです。
5月18日は博物館の日
佐藤日登美 19年5月12日放送
Litlok
風 風見鶏
ヨーロッパの教会を見上げると、十字架とともに
風見鶏がとまっていることがある。
雄鶏をかたどったその像は、風向きを教えてくれるだけでなく、
魔除けやお守りの意味も持つ。
だから、4月に起きたノートルダム大聖堂の火災後、
焼け落ちた尖塔に取り付けられていた風見鶏が発見されたとき
フランス市民は「奇跡だ」と喜んだ。
大聖堂は、フランスにとっての誇りであり、心の拠りどころでもある。
再建された暁には、風見鶏が上にとまり
その凛々しい姿で方角を指し示してくれるに違いない。
蛭田瑞穂 19年5月12日放送
風 風の向き
気象庁が定める「天気予報等で用いる用語」の中には
「風向に関する用語」がある。
それによると、「南の風」と言う場合と「南よりの風」と言う場合では
はっきりとした違いがある。
「南の風」は予報期間内、予報区内の平均風向が
南を中心に45度の範囲にある場合の呼び名。
「南よりの風」は南を中心に
南東から南西の範囲でばらついている風を指す。
風薫る5月。
天気予報の何気ない言葉遣いにも耳を傾けたい。
蛭田瑞穂 19年5月12日放送
風 風の強さ
気象庁が定める「天気予報等で用いる用語」の中には
「風の強さに関する用語」がある。
それによると、風の強さの表現は
「やや強い風」「強い風」「非常に強い風」と強くなり、
もっとも強い風が「猛烈な風」と呼ばれる。
逆にもっとも風が弱い状態は「静音」という。
風力が秒速0.3メートル未満の風で、
天気予報では「風が穏やか」などと表現される。
風薫る5月。
穏やかな風の心地よさを肌で感じたい。
蛭田瑞穂 19年5月12日放送
星船
風 春の風
春はいつ終わり、夏はいつ始まるのだろう。
気象庁の「季節を表わす用語」では、
春は「3月から5月までの期間」、
夏は「6月から8月までの期間」となっている。
それに従えば、春はあと3週間ばかり。
風薫る5月。
その風は春に別れを告げる風でもある。
森由里佳 19年5月12日放送
風 風の神さま
風の神様、ときいて、
金屏風に描かれた風神雷神図を思い出す人もいるでしょう。
青い鬼のような見た目をした風神が、
白い布を頭上にたなびかせ、
対となる雷神と共ににらみを利かせる有名な絵。
この白い布は、風を蓄えた袋だと言われますが、
実はこの風神のスタイルは、日本固有の物ではありません。
風の袋を持つ神をうつした美術品は、
なんと、およそ1900年前のアフガニスタンの地でも発見されています。
大陸を超えて吹く風のように、
文化もまた、自在に世界をめぐるのですね。
森由里佳 19年5月12日放送
Tim Ertl
風 祈りの音へ
アドリア海に面した国、クロアチアの海沿いに、
不思議な和音が響き渡る場所がある。
名はザダル。
1991年から約5年の間つづいた内紛で
戦渦に巻き込まれた街のひとつだ。
その海岸の一部に、
楽器のような仕掛けをつくったのは、
クロアチア出身の建築家、ニコラ・バシッチ。
故郷の平和を祈ってつくられたこの仕掛け。
和音の奏者はなんと、波がつくりだす海風だ。
きっと今この瞬間も、
平和を願う、祈りの和音になったアドリアの海風は、
ザダルの街を吹いている。
星合摩美 19年5月12日放送
bichxa
風 春の風
自然豊かな日本には、100を超える風の呼び名がある。
その種類は、風の吹く時期、強さ、方角などによって様々だ。
例えば、今の季節の風は、
みどりの風と書いて「緑風(りょくふう)」、
若葉を揺らす様子から「若葉風(わかばかぜ)」などいかにも清々しい。
少し変わった呼び名の風もある。
我が家の方から吹いてくる風を「家風(いえかぜ)」、
艶めかしく感じる風は「色風(いろかぜ)」
今夜、あなたの街にはどんな風が吹いているだろう。
星合摩美 19年5月12日放送
Evan-Wilson-Photography
風 セントアンドリューズ
スコットランドにある
ゴルフ発祥の地「セントアンドリューズ」
この町には世界一難しいと言われるショートコースが存在する。
障害物はバンカーと川のみというシンプルな構造だが、
プレイヤーを翻弄するのは、
向きと強さを頻繁に変える風の存在だ。
マスターズ・トーナメントの創始者も、
生涯で一度だけ棄権をした場所だという。
時に気まぐれな風との戦いになる
セントアンドリューズ・オールドコースは
「神の造ったコース」と呼ばれている。