永久眞規 19年5月11日放送
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温泉の話・セーチェーニ温泉
日本から遠く離れた国ハンガリーは、
ヨーロッパ有数の温泉大国だ。
その歴史は2000年以上、
ローマ帝国時代からと非常に長い。
中でも、ヨーロッパ最大とされる
セーチェーニ温泉には、
日本にはない楽しみ方がある。
それは、風呂チェス。
じつは、ハンガリーはチェスの多面打ち世界記録保持者や
歴史上最強の女性チェス選手がいるなど、
チェス大国でもあるのだ。
水着を着てぬるめの温泉に浸かりながら、
1日中おじさんたちがチェスを嗜む。
しかもそのチェス盤は、
備え付きではなく全て彼らの持参。
好きな場所で好きなことをする、
なんという贅沢だろうか。
福宿桃香 19年5月11日放送
Opqr
温泉の話・小浜温泉
2020を前に
いま、日本の温泉がアツイ。
では、日本一アツイ温泉はどこだろうか?
答えは長崎の小浜温泉。
ここの源泉の温度はなんと105℃。
そう、日本で最も放熱量が多い温泉なのだ。
橘湾に面した小浜温泉のお湯はナトリウムがたっぷりで、
保温効果をさらに促進してくれる。
この熱すぎるお湯、実は、舌でもたのしむことができる。
備え付けのカゴに卵やとうもろこしなど好きな食材を入れ、
蒸し釜にセット。
あとは温泉に入りながら待つだけで、
おいしい天然蒸し料理のできあがりだ。
身も心もとびきりあったまる名湯。
人気はまだまだ続きそうだ。
村山覚 19年5月11日放送
温泉の話・福島の微温湯
お風呂の温度、あなたは何度くらいがお好みだろうか。
ぬるめのお湯にゆったり浸かるのが好きな方に
おすすめしたい秘湯が福島県にある。
その名もずばり「微温湯温泉」。
源泉の温度は約32℃。ある定義によると
25℃以上であれば「温泉」とされるそうだが、
だいぶぬるめ。ゆっくり長湯できるので
居合わせた人との会話も弾む。
趣のある茅葺きの建物の周囲には
高山植物が咲き誇り、秋には紅葉も楽しめる。
冬は、雪で道路が通行止めになることもありお休み。
長い冬を越え、ちょうど今の時期に再開する微温湯温泉。
何百年前からずっと変わらないぬるさと景色の良さで、
旅人の心を温めている。
仲澤南 19年5月11日放送
Nickmard-Khoey-Historical-Archive
温泉の話・パムッカレ・テルマル
トルコ西部にある温泉、
「パムッカレ・テルマル」。
その底にはなんと、
古代ローマ時代の遺跡が沈んでいる。
深いところで水深7mにも及ぶが、
透明度が高く水底の遺跡ははっきりと見える。
水着を着れば、入浴も可能だ。
踏まずには入れないほど、
大理石の柱がごろごろと転がっている。
底に沈むその遺跡は、
紀元前2世紀頃に建てられた都市、
ヒエラポリスの一部。
ローマ帝国の温泉保養地として栄えたヒエラポリスだったが、
度重なる地震によって廃墟となってしまった。
そのうち、かつて水の神様を祀る神殿だった場所に
温泉が溜まってできたのが、パムッカレ・テルマルだ。
ちなみにお湯の温度は少しぬるめで、
ゆっくりと浸かれる。
沈む遺跡に腰掛けながら、
悠久の歴史に思いを馳せるにはぴったりだ。
藤本宗将 19年5月11日放送
Ippukucho
温泉の話・川原毛大湯滝
秋田県湯沢市にある「川原毛地獄(かわらげじごく)」
かつては硫黄の採掘場があったところで、
岩肌の至る所から水蒸気や火山性ガスが噴き出している。
古くからの霊場でもあり、
草木も生えず荒涼としたその光景は
まさに地獄さながらだ。
そこから湧いた温泉は沢の水と合流し、
落差20mほどの滝となる。
その名も川原毛大湯滝(かわらげおおゆたき)。
巨大な滝そのものが温泉になっているというわけだ。
ちなみに入浴できるのは滝壺とその周辺だけ。
川原毛地獄に湧き出ている温泉は
高温で危険なためご注意を。
かつて湯沢市のホームページには
こんなおそろしい警告文があったそうだ。
「誤って足を入れたりすると、
生きながらにして地獄を体験することになります。」
大友美有紀 19年5月5日放送
Hazel Terry
「レオ・レオニ」 あおくんときいろちゃん
5月5日は、こどもの日。
そして絵本作家、レオ・レオニの誕生日。
誰もが一度は読んだことのある
『あおくんときいろちゃん』の作者。
レオは、はじめて自分の本が発売される日、
開店と同時に本屋に入った。
そして若い母親が本を買ったのを見て、
その絵本の作者であることを告げ、
サインをさせて欲しいと申し出た。
こうして最初の「あおくんときいろちゃん」は
読者の手に渡り、いまでも私たちのもとに
届き続けている。
大友美有紀 19年5月5日放送
「レオ・レオニ」 ほんとうの仕事
今日は、こどもの日。
そして、絵本作家レオ・レオニの誕生日。
こどものころは、両親の仕事の関係で、
ヨーロッパ、アメリカを転々とした。
アムステルダム、ブリュッセル、
フィラデルフィア、ジェノヴァ。
大学は、スイスのチューリッヒ大学。
卒業後は仕事も転々とした。
会計士の助手、文房具店のセールスマン、
建築雑誌の記事の執筆。
製菓会社の広報部でデザインを学び、
ようやく自分の「ほんとうの仕事」に出会うことができた。
レオの絵本には「自分」らしさを探すお話が多い。
それは「そういう わけ」なのかもしれない。
大友美有紀 19年5月5日放送
「レオ・レオニ」 アートディレクター
今日は、こどもの日。
そして絵本作家、レオ・レオニの誕生日。
『あおくんときいろちゃん』で絵本作家になる前、
レオ・レオニは、ニューヨークでアートディレクターだった。
雑誌『フォーチューン』や『プリント』の
アートディレクションを手がけていた。
タイプライターで有名なオリヴェッティ社の
コーポレート・デザインも行なっていた。
オフィスはロックフェラーセンターの最上階。
ニューヨーク・デザイン界の成功者だった。
そこに23歳のエリック・カールが
ポートフォリオを携えて、面会にきた。
カールを気に入ったレオは、就職の世話をした。
レオは絵本作家になった後にも、
カールの作風が絵本向きだと自分の編集者に紹介した。
レオがいなかったら、カールの『はらぺこあおむし』も
生まれなかった。
世界中のこどもを代表して、
ニューヨークと二人の出会いにありがとうを言いたい。
大友美有紀 19年5月5日放送
「レオ・レオニ」 黒いテーブル
今日は、絵本作家レオ・レオニの誕生日。
レオは、
幼い頃、建築家の叔父さんから
鉛筆画の描き方を教えてもらった。
叔父さんは、レオの9歳の誕生日に、
小さな黒いテーブルをプレゼントしてくれた。
黒の上だと、あらゆる色がよく映えるから、と。
レオのお話は色がキーになるものが多い。
「あおくんときいろちゃん」、
赤い魚の中の黒い魚「スイミー」、
じぶんの色を探すカメレオンのお話。
それは、叔父さんと黒いテーブルの
おかげかもしれない。
大友美有紀 19年5月5日放送
「レオ・レオニ」 ねずみ
今日は、絵本作家レオ・レオニの誕生日。
あるときレオは、アトリエに向かう途中、
足元で固まっている、小さな地ねずみに気づく。
レオがねずみを見ると、ジャンプして、
どこかへ行ってしまった。
そのあと昼寝からさめると、
言葉があふれてきた。
そして描いたのが、
ねずみのお話『フレデリック』。
芸術家の社会的な役割が、
やわらかく語られている。
小さな「ねずみ」を通じて
小さな「ひと」に
大切なことを伝えている。