川野康之 19年4月20日放送
©️saito taku
遠足
遠足は、俳句では「春・晩春」を表す季語。
春もたけなわとなって
萌え出た青草を踏みながら歩き回る喜びを、
昔から人は愛してきたようです。
晩春といえば、まさにちょうど今頃。
外で遠足の列を見かけることも多いのではないでしょうか。
野の道で、街で、電車の駅で。
意外なところで遠足に遭遇した驚きを俳句が伝えている。
遠足の列恐竜の骨の下 山尾玉藻
雨のあと遠足が来て駅濡らす 鷹羽狩行
川野康之 19年4月20日放送
遠足
遠足と聞くと、大人たちは、
「おやつは300円以内」とか、
「バナナはおやつに入りますか」とか、
そんなやりとりを思い出してつい騒いでしまう。
遠足でどこへ行ったのかは忘れても、
お小遣いを握りしめて買い物したときのワクワクは
忘れないようです。
最近の子どもたちの遠足事情は少し変化してきているそうです。
おやつは禁止だったり、
学校から一律に支給されるというところも多いという。
おきて破りのバナナの味は遠くなりました。
川野康之 19年4月20日放送
007 Tanuki
遠足
遠足のルーツはいつ頃?
学校行事としての遠足が始まったのは明治時代と言われています。
しかしそれよりもさらに前、江戸時代に、
群馬県の安中藩で「安政の遠足(とおあし)」というイベントが
行われたという記録がある。
殿様のかけ声により、藩士96人が、
安中城から碓氷峠の熊野権現まで
距離30キロ、標高差1000メートルを駆けたという。
無事ゴールした者には餅などがふるまわれたそうですが、
これはもう遠足と言うよりも日本のマラソンの発祥ですね。
川野康之 19年4月20日放送
遠足
卒業をひかえた高校生たちが「歩行祭」という遠足行事に参加する。
『夜のピクニック』は一昼夜ただ歩くだけの青春小説だ。
学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいながら、
親友たちと夜を徹して歩く男女の高校生。
そのうち彼らには、いつもとは違う青春の姿が見えてくる。
「並んで一緒に歩く。ただそれだけのことなのに、不思議だね。
たったそれだけのことがこんなに難しくて、
こんなに凄いことだったなんて」
遠足は特別な体験をプレゼントしてくれる。
佐藤日登美 19年4月14日放送
生まれるとき お腹の中の思い出
子どもは、
お母さんのお腹のなかにいたときの記憶を持っている。
…なんていうと、半信半疑になるだろうか。
「胎内記憶」と呼ばれる生まれる前の思い出、
3人に1人は覚えているという。
「ゆらゆらしたお風呂、あったかかった」
「お腹のなかの紐で遊んでた」
「空の上からママを選んでやってきた」
教えてくれることはさまざま。
でも、4歳ぐらいからその記憶は薄れてしまうのだとか。
一生に一度の記憶。せっかくだから、聞いてみたい。
佐藤日登美 19年4月14日放送
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生まれるとき 二人の力
鼻からスイカが出る、とも例えられる出産の痛み。
お母さんが頑張っているとき、
お腹のなかの赤ちゃんも
一生懸命外の世界に出ようと格闘している。
狭い産道をうまく抜けられるよう、
赤ちゃんはあごをぐっと胸に近づけ、頭や体を回旋させる。
くるくる回る力に、陣痛という子宮が収縮する力が加わって
少しずつ、少しずつ、赤ちゃんはお腹から出てくるのだ。
お母さんと子ども、二人で息を合わせて。
ぴったり重なったとき、この世界に新しい命が生まれる。
森由里佳 19年4月14日放送
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生まれるとき むすことむすめ
むすことむすめ。
どちらも「むす」がつきますね。
この「むす」って、いったい何なのでしょうか。
ヒントは、
苔むす。
草むす。
そう。
むすという言葉には、
生じる、生まれるという意味があり、
漢字でも、生む(産む)という字があてられます。
生まれてきてくれて、ありがとう、おめでとう。
むすこも、むすめも、
そんな祝福が込められた言葉だったのですね。
森由里佳 19年4月14日放送
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生まれるとき 人生の朝
ハッピーバースデー・トゥー・ユー♪
世界中で親しまれるこの曲が、
実は替え歌なのをご存じだろうか。
本当の歌詞はこうだ。
Good morning to you, good morning to you.
Good morning dear children.
Good morining to all.
これは、かわいい子供たちへの朝の挨拶。
あたらしい一日の始まりを告げる歌。
お母さんから生まれるその瞬間、
こどもたちは、まぶしく輝く人生の朝をむかえる。
蛭田瑞穂 19年4月14日放送
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生まれるとき モロー反射
大きな音がしたり、体が傾いたり、
外から刺激が与えられると、赤ちゃんは体をビクッとさせ、
万歳をするように両手を広げることがある。
この動きは「モロー反射」と呼ばれる。
オーストリアの小児科医エルンスト・モローが発見した。
モロー反射は危険を感じた赤ちゃんが
とっさに母親に抱きつこうとする動作とも言われる。
しゃべることも、ひとりで食べることもできない赤ちゃんだが、
小さな体で必死に生きようとしている。
蛭田瑞穂 19年4月14日放送
Amy Nguyen Photography
生まれるとき 把握反射
生まれたばかりの赤ちゃんの手のひらを指で押すと、
その指を赤ちゃんが握りしめることがある。
この動作は「把握反射」と呼ばれる、
新生児に備わる原始反射のひとつ。
新生児は親に感情を伝えることができない。
しかし、原始反射という無意識の動作によって、
親と子の間に強い結びつきが生まれると考えられている。
把握反射は通常、生後5ヶ月から6ヶ月で消えていく。
赤ちゃんらしいその動きがなくなるのは寂しくもあるが、
成長のたしかな証でもある。