佐藤延夫(事務局)

佐藤延夫 18年6月2日放送

180602-04

趣味に生きる 増山正賢

伊勢長島藩第5代藩主、増山正賢は文人大名と呼ばれ、
山水画や花鳥画など文芸の世界で優れた才能を発揮した。
特に「虫豸帖」と呼ばれる
蝶や蝉、カブトムシ、クワガタなど
昆虫を精緻に捉えた作品は、
現代の図鑑に見劣りしないほどの出来栄えだ。
描く際には、生きている状態ではなく、
命をいただき、あらゆる角度から写しとった。

正賢は、虫の亡骸を小さな箱に入れ、
大切に保管していたという。
上野寛永寺の境内には、
彼が虫の霊を慰めるために建てた、
虫塚という慰霊碑が残っている。

一寸の虫にも五分の魂。
このことわざは、彼のためにあるのかもしれない。

topへ

佐藤延夫 18年6月2日放送

180602-05
研究情報アーカイブズ
趣味に生きる 堀田正敦

下野佐野藩主、堀田正敦は
政治家として寛政の改革を推進する傍ら、
文芸活動にも力を発揮した。
和歌や紀行文なども書いたが、
代表的なものは、「禽譜」と呼ばれる鳥の図鑑だ。
自分で集めた鳥を絵師に描かせ、
他の大名が持つ図譜は複写して集めた。
鶴や孔雀など、日本でおなじみの鳥はもちろんのこと、
エトピリカ、ペンギンなども描かれている。

学問こそ、彼の最大の道楽だったのだろう。

topへ

佐藤延夫 18年5月5日放送

180505-01
NASA Goddard Photo and Video
宇宙な人 エドウィン・ハッブル

アメリカの天文学者、エドウィン・ハッブル。
法律を学ぶためシカゴ大学に入学したものの、
実際は天文学と数学に熱中したという。
のちに彼の発見は、宇宙論の基礎を作った。
星の集団が宇宙、ではなく
銀河の集団が宇宙であること。
そして銀河の大半が我々から遠ざかっていくこと。
これは、やがて宇宙膨張と
ビッグバン理論につながっていく。

今日はこどもの日。
8歳のとき、望遠鏡を買ってもらったハッブル少年は、
天文学に興味を持つようになった。
愛読書は、「海底二万マイル」だったそうだ。

topへ

佐藤延夫 18年5月5日放送

180505-02

宇宙な人 ジョスリン・ベル・バーネル

イギリスの女性天体物理学者、ジョスリン・ベル・バーネル。
ケンブリッジ大学の大学院で電波天文学の研究をしていた彼女は、
電波望遠鏡の製作に力を尽くす。
テニスコート57面分の面積に、
1000本以上の鉄柱を立てて完成した望遠鏡で、
ベルの研究チームは、奇妙な電波信号を発見する。
パルサーと呼ばれるこの信号は、
高速で回転する中性子星によるものだった。
パルサーの発見は、ノーベル物理学賞を受賞している。

今日はこどもの日。
読書家だった父の影響を受けたベルは、
天文学の本に興味を持つようになったという。

topへ

佐藤延夫 18年5月5日放送

180505-03

宇宙な人 カール・セーガン

アメリカの天文学者、カール・セーガン。
シカゴ大学で物理学を勉強した彼は、
生命の起源の研究と惑星科学で博士号を取得している。
金星を居住可能な空間に変える「テラ・フォーミング」、
核戦争による気候変動で地球が氷河期になる「核の冬」など、
宇宙のみならず、地球環境にも積極的に発言している。
また、スタンリー・キューブリック監督の映画、
「2001年宇宙の旅」のコンサルタントも務めた。

今日はこどもの日。
4歳のとき、セーガン少年は、ニューヨークの万国博覧会を見物している。
科学技術と未来都市の展示に感動した彼は、
のちにこの経験が「人生の転機になった」と語っている。

topへ

佐藤延夫 18年5月5日放送

180505-04

宇宙な人 フランク・ドレイク

アメリカの天文学者、フランク・ドレイク。
ハーバード大学の大学院を卒業したあと、
彼は国立電波天文台で働いた。
もし知的生命体が存在すれば、
何らかの電気信号を発するはずだ。
そんな仮説から生まれたのが「オズマ計画」。
この計画は失敗に終わったが、
のちにドレイクの方程式を生み出すきっかけになった。
ドレイクの方程式とは、
銀河系の中でコンタクトすることが可能な
地球外生命体の数を推定する計算式。
ドレイクは、こんな言葉を残している。

「人、動物、植物、そして宇宙人は、みな星のかけらでできた兄弟です。」

今日はこどもの日。
8歳のころのドレイク少年は、
夜空を見上げ、宇宙をまわる惑星と
そこに暮らす宇宙人を想像していたという。

topへ

佐藤延夫 18年5月5日放送

180505-05

宇宙な人 カール・シュヴァルツシルト

ドイツの天文学者、カール・シュヴァルツシルト。
ミュンヘン大学卒業後、
天文学の教授などを経て、
ドイツで最も権威のあるポツダム天文台のトップに就任した。

彼の偉大な功績は、
アインシュタイン方程式のシュヴァルツシルト解の発見。
つまり、アインシュタインでも導き出せなかった、
ブラックホールの存在を示唆したのだ。

今日はこどもの日。
幼いころから優秀だったカール少年は、
16歳のとき、星の運動についての論文を2つも発表している。

topへ

佐藤延夫 18年4月1日放送

180401-01

4月1日的な実験 チャールズ・ブラグデン

1774年。物理学者のチャールズ・ブラグデンは、
熱に関する実験を行なった。
人間の体が、どれほどまでの高温に耐えられるか・・。
蒸気で暖めたサウナルームに被験者を入れる。
その温度は45℃から始まり、
最終的には127℃まで上昇した。
生のステーキ肉を持ち込んだが、
45分後、カラカラに乾いていたという。
生肉は焼けてしまったのに、
呼吸をする生身の人間は無事。
チャールズ・ブラグデンは、こんな結論を導き出した。
生物は、熱を破壊する能力を持つ。

今日はエイプリルフールですが、
これは嘘のような、本当の実験。

topへ

佐藤延夫 18年4月1日放送

180401-02

4月1日的な実験 ドナルド・O・ヘッブ

1951年。アメリカの心理学者、ドナルド・O・ヘッブは、
人間をあらゆる刺激から隔離したらどうなるか、という実験を始めた。
被験者の学生たちは、防音室のベッドにただ横たわっているだけ。
視界を遮るため磨りガラスのメガネをかけ、
腕にはダンボールの筒がはめられた。
結果から言うと、この実験に3日以上耐えた者はいなかった。
あらゆる刺激が失われると、
次第に考える事柄が尽きてしまい、
平常心を保てなくなるそうだ。
そして、被験者全員が、幻覚を見ている。
この実験結果に、軍やNASAが強い関心を示したという。

今日はエイプリルフールですが、
これは嘘のような、本当の話。

topへ

佐藤延夫 18年4月1日放送

180401-03

4月1日的な実験 ウィンスロップ・ケロッグ

1931年。インディアナ大学のウィンスロップ・ケロッグ教授は、
子どもの発育に関する実験を行なった。
生まれたばかりのチンパンジーを人間の赤ん坊と一緒に育てたらどうなるか・・。
妻の反対を押し切り、
チンパンジーと暮らす赤ん坊には、自分の息子ドナルドを選んだ。
環境要因と遺伝的要因、どちらが成長に大きく影響するのか。
実験を進めるにつれ、
チンパンジーは人間として扱われることにしっかり適応し、
ドナルドよりも早い成長を見せた。
一方ドナルドはというと、
チンパンジーの真似をすることが上手くなっていた。
つまり、チンパンジーが食べ物を欲しがる声、
甘える声などを真似するようになり、
人間のドナルドが、チンパンジーに近づいてしまったのである。
通常なら、単語を50個くらい理解できる年齢のとき、
ドナルドが知っていた単語は、わずか3つだったそうだ。
スタートから9ヶ月後、何の説明もなくこの実験は打ち切られている。
おそらく妻の逆鱗に触れたのだろう。

今日はエイプリルフールですが、
これは嘘のような、本当の話。

topへ


login