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ある偉大な発見 撥水剤
アメリカの化学者、パッツィ・シャーマンは、
1950年当時では珍しい女性の研究者で、
劣化しにくい合成ゴムの開発に取り組んでいた。
ある日、実験室の助手が、
フルオロケミカルとラテックスの乳剤が入ったフラスコを
床に落としてしまう。
液体は四方八方に飛び散り、スタッフ全員で掃除をする羽目になった。
ところが、助手のスニーカーにかかった部分がどうしても落ちない。
水の中でこすっても、落ちるどころか水をはじいてしまう。
どんな溶剤も浸透させず、
ありとあらゆる液体をはじき、
泥にすら耐性がある。
彼女たちが、合成ゴムの開発よりも、
この偶然の産物に夢中になったことは言うまでもない。
のちにパッツィは言った。
「予期していない出来事をチャンスとして見逃さない能力は、
誰かに教わるものではありません」
失敗作に目を向ける勇気と好奇心で、
年商3億ドルというヒット商品、
水をはじく撥水剤「スコッチガード」が生まれた。