ムーミン谷の住人たち1
ムーミンの作者、トーベ・ヤンソンは、
フィンランドの首都、ヘルシンキで生まれた。
父親は彫刻家、母親は画家という芸術一家。
小さいころから、ひとりで絵を描いては、
それにお話をつけて遊んでいたという。
ある日、弟とケンカし、トイレの壁紙に落書きをした。
タイトルは、「ものすごくみっともない小さな怒った顔」。
それがムーミントロールのルーツだと言われている。
昔、誰の心の中にも住んでいた小さな妖精の姿を、
彼女は忘れなかった。
ムーミン谷の住人たち1
ムーミンの作者、トーベ・ヤンソンは、
フィンランドの首都、ヘルシンキで生まれた。
父親は彫刻家、母親は画家という芸術一家。
小さいころから、ひとりで絵を描いては、
それにお話をつけて遊んでいたという。
ある日、弟とケンカし、トイレの壁紙に落書きをした。
タイトルは、「ものすごくみっともない小さな怒った顔」。
それがムーミントロールのルーツだと言われている。
昔、誰の心の中にも住んでいた小さな妖精の姿を、
彼女は忘れなかった。
ムーミン谷の住人たち2
ムーミンは、世界中で読まれている、子ども向けの作品だ。
ひとりでいることの大切さや、
夜は決して怖くないこと、
世の中は不条理で満ちている、
そんなことを感覚的に教えてくれた。
「ムーミン谷の冬」に登場する、おしゃまさんは語る。
ものごとってものは、みんなとても曖昧なものよ。
まさにそのことが私を安心させるんだけれどもね。
その意味がしっかりとわかるころ、
私たちは、一人前の大人になっている。
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ムーミン谷の住人たち3
いつもせっせと働いて、人の世話が大好き。
ムーミンのお話に登場するムーミンママのモデルは、
作者トーベ・ヤンソンのお母さんだと言われている。
自慢のシルクハットをかぶり、海と冒険を好む。
ムーミンパパは、トーベのお父さんがモデルだ。
そしてフィンランドの長く冷たい冬が、
ムーミン谷という舞台をつくった。
ムーミンは、不思議な世界に暮らす、森の妖精たちの物語。
でもその中身は、トーベの体験が紡ぎ出したものだった。
ムーミン谷の住人たち4
フィンランド湾には、大小さまざま、
何万もの島が浮かんでいる。
ここがムーミンの作者、トーベ・ヤンソンの遊び場だった。
幼いころは、毎年、家族みんなでやってきて、ひと夏を過ごした。
大人になると、小さな島に自分の小屋を建てた。
彼女の住処は、クルーヴ・ハル島。
水道も電気もガスもない、ただ海だけ広がる場所がアトリエになった。
それにしても、なぜ、島なのか。
理由は、「きっちり限られた場所だから」。
トーベは語る。
ここは自分の世界であり、
すべてをひとりで見渡すことができるし、
細かいことまで知りつくしていられる。
それに、海に守られて
望めば、海で全世界へとつながっている。
一周するのに10分もかからない島。
それがムーミンの舞台、ムーミン谷そのものかもしれない。
esaskar
ムーミン谷の住人たち5
トーベ・ヤンソンの童話「ムーミン」に登場する、スナフキン。
自由と孤独をこよなく愛する風来坊で、
ひとり気ままにテント暮らしをしている。
大人にもスナフキンのファンが多いのは、
その風貌と、心に響く言葉を持っているから。
誰かを崇拝しすぎると、本当の自由は得られないんだよ
スナフキンのように生きてみたいけど、
今さらどうにもならない、とお考えの皆さん。
彼はこうも言っています。
おだやかな人生なんて、あるわけがないですよ
ムーミン谷の住人たち6
世界中で読まれている童話「ムーミン」。
その正体は、カバではなく、
北欧の民話に登場する森の生き物、トロールだ。
日常生活で、ふっと物がなくなったとき、
今でも北欧の人々は「トロールのいたずらだ」と言う。
作者のトーベ・ヤンソンは、
毛むくじゃらで醜い怪物を、愛くるしいキャラクターに変えてみせた。
ムーミン谷の住人たち7
ムーミンの作者、トーベ・ヤンソンは、
生涯独身だった。
しかし、ひとりぼっちではなく、
親友のグラフィックアーティスト、
トゥーリッキ・ピエティラと一緒に過ごした。
人里離れた、小さな島のアトリエで。
ふたりが暮らした小屋には、
トーベたちがいない間も、鍵がかけられていなかったそうだ。
船乗りが嵐から身を守れるように、
通りすがりの人がコーヒーを飲めるように、
その扉はいつも開けられていた。
まるで、ムーミン谷でいつもたくさんの人を迎え入れる
ムーミン屋敷のように。
秋になると、旅に出るものと、
のこるものとにわかれます。
いつだって、そうでした。
めいめいの、すきずきでいいんです。
ムーミンのお話の中に、こんなセリフがあった。
この物語は、誰かを静かに、あたたかく見守るトーベの優しさで溢れている。
ハッピーナイン
ショートショートの神様1
小説家というものは、昔から文章が上手だったに違いない。
そう思っている皆さんへ。
これは、ショートショートの神様と言われる
星新一が書いた、小学生のときの作文だ。
夕ごはんがすんでから、そこらを散歩してこようと思つて
公園の方に行つたら、へんな道を見つけた。
その道をずんずん上つて行くとケーブルカーのせんろのそばへ出た。
公園上から向かふへわたつて、えきの中を通つてかへつた。
事実だけを淡々と記したこの作文は、
感情表現がない、と先生からお叱りを受けたそうだ。
しかし、この短い文章が、のちに類い希なセンスへと変わっていく。
ハッピーナイン
ショートショートの神様2
ショートショートの神様、星新一。
彼が初めて世に出したSF小説は、「セキストラ」。
電気性処理器がもたらす世界平和を描いた作品だ。
新聞記事の切り抜きや雑誌の記事、
電報などを切り貼りして繋ぎ合わせた実験的な小説で、
その評判は、ある男の耳にも届くことになる。
先生、ついに天才がひとり出ました。
その先生というのは、江戸川乱歩。
星新一は、ミステリーの天才を味方につけた。
masaaki miyara
ショートショートの神様3
ショートショートの神様、星新一は、
言葉に対して、独特のポリシーを持っていた。
ことわざのような常套句や駄洒落を嫌う。
固有名詞や流行言葉、時事用語を避ける。
登場人物は、エヌ氏、エフ氏など架空の名称にする。
名前らしいものにすると、読者によってイメージが変わってしまうからだ。
もうひとつ大切なもの。
それは、彼が繰り返し語っていた言葉に現れている。
健全な常識があってこそ、
常識の枠を取り外した意表を突くアイデアが生まれる。
ただの変人では、数々の名作は生まれないのかもしれない。
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