沖縄の戦場カメラマン
彼は、ときに残酷な写真を撮る。
それが、戦争の現実だからだ。
報道カメラマン、石川文洋(いしかわ ぶんよう)。
沖縄で5歳まで暮らしていた石川は
1965年、ベトナムへ渡り
ベトナム戦争を取材する。
銃をもち、村へ突入する兵士たち。
目の前の惨劇におびえる農民たち。
家を、家族を亡くした子どもたち。
目をそむけたくなる現実にむけて、シャッターを切った。
そこで撮影された写真の一部は、
ベトナムのホーチミン市戦争証跡博物館に
常設展示されている。
「命(ぬち)どぅ宝」。
沖縄の言葉で「命こそ宝」という意味だ。
この言葉を胸に石川は、
ベトナムや沖縄の写真を撮りつづけて
戦争をしらない世代に、戦争の実態と
命の大切さを伝えている。