作詞家のとまどい
1963年6月15 日。今日は『上を向いて歩こう』が
アメリカのビルボートチャートで1位を獲得した日。
「上を向いて歩こう」は、励ましの歌ではない。
と、作詞を手がけた永六輔は、言う。
この歌の歌詞は、1960年に起きた安保闘争で
感じた大きな挫折感を、表現したものであった。
この泣き虫の気持ちを歌った曲が、
たくさんの人に愛され、歌われることに
永六輔は作詞者としてとまどいを感じることもあった。
なぜ、ヒットソングになったのだろうと考えたとき、
こんな仮定にたどり着いた。
日本人は泣くのが好きなんです。
「上を向いて歩こう」はもともとが泣き虫の歌ですから、
いちばん素直に泣ける歌なんじゃないかなと思います。