澁江俊一

澁江俊一 19年3月24日放送


サイトウ
どちらが支配者か

人類にとって
最も価値ある農作物のひとつが、
小麦であることは間違いない。

パンやパスタやピザ
クッキーやケーキなど
大昔から世界中で
食文化の中心を担っている小麦。

人類がここまで繁栄したのも
小麦のおかげ…と言いたいところだが、
人類を奴隷にして繁栄したのは
小麦のほうだという
まったく逆からの視点で語る学者もいる。

小麦はもともと競争力が弱く、
中東のごく限られた地域に自生する草にすぎなかった。
栽培にも手間のかかる小麦が
今や日本の面積の6倍ほども地表を覆っている。

なるほど人類を利用することで
大繁栄を成し遂げたとも言える。
小麦はなかなかしたたかな
植物なのかもしれない。

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田中真輝 19年3月24日放送


Valcenteu
立ち上がる農業

今、世界中でスタートアップ企業が農業における
イノベーションに果敢に挑んでいる。

その一つが、都市における「垂直農業」。
狭い敷地に垂直方向に栽培棚を積み上げ、
土を使わず水耕栽培を行うことで、
効率的かつスピーディに野菜を育てる農業が、
ニューヨークなど大都市で実際に行われ、注目を集めているのだ。

食の工業化への批判もある一方で、
栽培や収穫のプロセスをオープンにできるので、
むしろ安全だという声も少なくない。

2050年には、世界人口の7割が都市部に住むようになるという。
遠方から取り寄せた野菜ではなく、
自分が住む街の中で管理され生産される野菜の方が安心できる、
人々の嗜好も、そのように変化していくのかもしれない。

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田中真輝 19年3月24日放送


Lifetec18
自動化する農業

日本の農業従事者は、今、急速に減少し、高齢化している。
この喫緊の問題に対して、多くの人々や企業が挑戦を続けている。
その一つが、農業機械の自動運転。

昨年末、人気を博した連続ドラマでも、
自動運転トラクタの開発競争がテーマとして取り上げられていたのを、
ご存知の方もいらっしゃるかもしれない。

ドラマはフィクションだが、自動運転トラクタは、
既に実用化されているれっきとした事実。
衛星からのGPS信号を受けて夜間でも
数センチの誤差の範囲で作業が可能だという。

近い将来、誰もいない広大な圃場で、自動化された農業機械が
黙々と働き続ける風景が、当たり前のものとなるかもしれない。
願わくば、その傍らに農業の使命に燃える若者の姿があって欲しい。

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田中真輝 19年3月24日放送


Tpa2067
宇宙で育てるなら

火星に長期滞在する宇宙飛行士が栽培すべき食用植物とは何か。
それば「ウキクサ」である、
というのが日本の研究者が提案した答え。

和名「アカウキクサ」学名「アゾラ」という水生シダ植物は、
驚くほど栄養価が高く、また、米や魚と一緒に水耕栽培することで、
空気や水を浄化するエコシステムを作ることができるという。

加えて窒素を固定する能力を備えているので、
米など他の作物の育成に欠かせない窒素肥料が
不要になるというおまけつき。

そんなミラクルな植物であるアゾラだが、一つだけ問題が。
食用にあたってはその匂いが問題になるだろう、
と研究者は指摘しているのだ。
宇宙だけに「くうき」がなくなる話ではある。

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田中真輝 19年3月24日放送


サイトウ
農業が育むもの

農業の6次産業化、という言葉をご存じだろうか。

1次産業者である生産者が、2次産業の加工、そして
3次産業である流通と販売まですべてを行うことで、
農産物の価値を高め、農業の収益性を上げていこうと
する試みのことである。

農家が運営するレストランや農業体験、また米農家が
店舗を構えて収穫した米で作ったおにぎりを販売する
など、様々な形での6次産業化が進められている。

自然と対話しながら、命を育む農業。
それは単なる経済活動ではなく、豊かな文化を
生み出す営みでもある。その価値を生産者と
消費者がわかちあえる社会こそ、豊かな社会であるに違いない。

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松岡康 19年2月10日放送



暗い家

デンマークの家は、暗い。
シーリングライトで部屋全体を照らしたり、
蛍光灯で白く明るく照らすのではなく、
低い位置にやわらかい照明を使用することがほとんどだ。

夏、緯度が高いデンマークでは、
太陽が沈んでも濃く青い空が数時間も続く。
デンマークの人々は、その時間をブルーアワーと呼び、
とても大切にしている。
暗くやわらかい照明は、
そのブルーアワーを引き立ててくれるのだ。

日本では明るい家が多い。
たまには家の蛍光灯を落として、
デンマークの人々の様に
日没後のうつろう空の色を楽しんでみてはいかがだろう。

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奥村広乃 19年2月10日放送



ブルーラグーン

温泉大国ニッポン。
この国には3,000を超える温泉地があるという。
では、世界最大の露天風呂はどこにあるか。
答えは、北欧・アイスランド。

広さ7,000平方メートル。
名前は、ブルーラグーン。
お湯の色は神秘的なミルキーブルー。
美しく、幻想的な景色に浸ろうと
世界中から観光客が集まってくる。

温泉の中には、
お酒を売っているバースペースも。
あったかい温泉で飲む、
キンキンに冷えたビール。
最高の贅沢。
温泉好きなら、
一度は体感してほしい名湯。
おとずれる際は水着をお忘れなく。

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澁江俊一 19年2月10日放送



SISU

フィンランドには
SISU(シス)という言葉がある。
日本語であえて言うなら
「大和魂」のような
心のありようを意味する言葉だ。

1939年。隣国ソ連と
冬戦争という過酷な戦争を戦ったフィンランド。
兵力には雲泥の差があり
他国からの支援もほとんどなかったが
マイナス40度という極寒の寒さと
自国の雪と森と湖を味方にしたフィンランド軍は
ソ連軍と勇ましく戦い、独立を守った。
まさにSISUの勝利だった。

とはいえSISUは根性論ではない。
逆境を前向きにとらえる力だ。
冬の寒い湖で泳いだり
雪の日にあえて散歩をしたり
苦手なことにあえてトライしたり
フィンランドならではの
人生の楽しみ方でもあるのだ。

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松岡康 19年2月10日放送


ruminatrix
休憩の文化

スウェーデン人は
フィーカと呼ばれる休憩時間を
とても大切にしている。

フィーカの時間には、家族、恋人、同僚などと一緒に、
スイーツとコーヒーを楽しむ。
たとえ仕事中であっても、みんなちゃんとフィーカをとるため、
フィーカが行われる朝10時と午後3時には、
メールを出しても返信が遅くなるらしい。

さらにフィーカをしていないと、
上司から怒られることもあるんだとか。
しかもスウェーデン、
世界的に見てもトップクラスの生産性を誇る。
休憩を上手に使い、上手に働く。
日本人が彼らに学ぶことは多い。

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澁江俊一 19年2月10日放送


VisitLakeland
サウナと日本

フィンランドと日本はよく似ている。
言語も性格も食文化も歴史も似ているのだが
中でも似ているのは
大自然の中で裸になる、あの体験。
そう、日本人が温泉を愛してやまないように、
フィンランド人はサウナを愛している。

日本に銭湯があるように
公衆サウナが町中にあり
日本に露天風呂があるように
湖のほとりにサウナがあるフィンランド。

日本にサウナが広がったきっかけは
1964年の東京オリンピック。
世界中からやってくる選手たちの要望で
選手村にサウナがつくられた。
そこから日本中にサウナが広まった。

フィンランドはサウナ発祥の地。
サウナで汗を流した後に
美しい湖に裸で飛び込む。
あの体験は日本人にとっても
この上ない幸せにちがいない。

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