食欲と落語
秋と言えば食欲の秋。
人間の「食べたい」という
抑えがたい欲望を見事に描いた
古典落語「千両みかん」。
病に倒れ、みかんを食べたいと願う
若旦那のため、真夏にも関わらず
探し回る番頭。
ようやくひとつだけ見つけた
腐っていないみかんには
なんと千両もの値がついてしまう。
それでも旦那はせがれを救うため
惜しげもなく大金を投じる。
念願果たした若旦那の
食べ残したわずかなみかんを
思わず持ち逃げする番頭・・・
笑いながら聞いているうちに
なんともみかんが食べたくなる、
粋な噺である。