水木と弟
今日は、漫画家水木しげるの誕生日。
水木しげるは幼い頃、
弟を海に突き落とそうとしたことがあると言う。
そこは船着き場。
水の流れは速く、海の底は深かった。
人が死んだらどうなるのか。
その興味をおさえきれなかったのだ。
幸い彼は踏みとどまり、弟は命を落とすことはなかった。
水木しげるは当時5歳。
死後の世界への興味が、
後の作風に大きく影響を与えている。
水木と弟
今日は、漫画家水木しげるの誕生日。
水木しげるは幼い頃、
弟を海に突き落とそうとしたことがあると言う。
そこは船着き場。
水の流れは速く、海の底は深かった。
人が死んだらどうなるのか。
その興味をおさえきれなかったのだ。
幸い彼は踏みとどまり、弟は命を落とすことはなかった。
水木しげるは当時5歳。
死後の世界への興味が、
後の作風に大きく影響を与えている。
水木しげるとパプアニューギニア
今日は、漫画家水木しげるの誕生日。
水木しげるほど、マイペースな漫画家はいない。
たっぷりと睡眠を摂り、自分が好きなこと以外には、一切興味を示さない。
そんな水木のルーツの1つが、パプアニューギニアにある。
戦時中、水木は兵隊として南方戦線へと駆り出される。
過酷な戦場での玉砕命令を命からがら生き延びた水木は、
そこで原住民たちとの交流を深めていた。
彼らの生活は1日2〜3時間働くだけ。
あとは踊ったり、唄ったり、好きなことに没頭する。
そんな生き方が、水木の価値観に大きく影響を与えた。
自然のままの生活というのだろうか。
僕はそういう生活が、人間本来の生活だと思っている。
原住民から教わった哲学を、
水木しげるは「怠け者になりなさい」という一言に込めて、
世の中に発信し続けている。
Mullenkedheim
凍る涙
禁断の恋。
許されぬ逢引。
そして、駆け落ち。
伊勢物語に書かれた、
男が二条の后を盗み出すエピソード。
モデルは、平安時代を代表する歌人、在原業平。
そして、藤原高子(ふじわらのたかいこ)といわれている。
高子は才色兼備な女性で、
彼女の舞をみた男性は、
あまりの美しさに熱を出したという。
しかし、藤原一族の政略結婚に巻きこまれ
愛する人と結ばれることはなかった。
高子は、こんな歌をのこしている。
雪のうちに春はきにけり 鶯のこほれる涙いまやとくらむ
雪がすべてを閉じ込めているうちに春が来た。
鶯の涙は、かなしみで凍っているけれど、
あたたかい春が来たのだから、
これから溶けてゆくのでしょうか。
辛い冬を越えて、春が来るように。
恋のかなしみも、いつか終わる。
平安の悲恋の姫君も、そう願ったのであろうか。
王冠を賭けた恋
イギリス国王を
325日という最短の在任期間で退位した、エドワード8世。
彼は王位と引き換えに、ある女性との結婚を選んだ。
その名は、ウォリス・シンプソン。
王室には許されざる離婚歴を持っており、
また交際当時には人妻でもあったため
教会と国民から猛反発を受けた。
独身のまま国王になったエドワードは
愛する女性と結婚したいという想いを国民に説明しようと試みるが、
理解を得られず
ついに追いつめられて退位を決意。
王としての最後のスピーチを、こう締めくくった。
愛する女性の助けと支え無しには、
自分が望むように重責を担い、
国王としての義務を果たすことが出来ない。
恋は人一人の人生はおろか、
一国の運命さえも左右する。
Fey Ilyas
恋する人工知能
人工知能が人間に
恋をするような未来は来るのだろうか?
「her/世界でひとつの彼女」は、
姿のない人工知能型OSのサマンサと、
中年男性セオドアの恋愛を描いた映画だ。
監督と脚本を手がけたのは、
奇才スパイク・ジョーンズ。
自分のことを何でも理解してくれる
サマンサに惹かれていくセオドア。
サマンサもまた、自分には無い複雑さを持つ
セオドアに惹かれていく。
セオドアはイヤホンをつけ、
外出中や旅行中でも声だけのサマンサと行動を共にする。
互いへの理解を深め、自分を省みる。
時にはケンカをし、いったん距離をおいてみる。
現実のカップルよりも
リアルな恋愛を、映画は描き抜いた。
そう遠くない未来、人工知能が私たちに
恋をする日がやってくるなら
その禁断の恋に、
人間はどう答えるのだろう?
Hil
あまりにも理不尽な
江戸時代きってのストーリーテラー、
近松門左衛門の最大の問題作、
女殺油地獄(おんなころしあぶらのじごく)。
1721年に人形浄瑠璃で初演されたが
まったく評価されぬまま時は過ぎ、
約200年後の明治42年に歌舞伎で再演され
大ヒットとなった。
観客の感情移入をまったく許さない
悪人中の悪人が、主人公の与兵衛だ。
放蕩の限りを尽くし、義理の両親に暴力をふるい
油屋を営む家から勘当された与兵衛は、
さらに借金を重ね、同じ油屋の人妻お吉(おきち)を頼る。
ただ一人、与兵衛を理解しようとする美しいお吉に
何度も金を借りようとしたあげく断られ、
与兵衛はついに、彼女を殺してしまう。
クライマックス。
油と血にまみれ、滑りながらお吉を追い回す
殺害シーンは、まさに油の地獄。
殺しの動機は、金か、恋か、それとも?
それすらも、見る者にゆだねるこの物語に
近松は、どんなメッセージを隠したのだろうか。
近代地震学の父
近代地震学の父。
お雇い外国人のジョン・ミルン。
地質学・鉱山学の教授だった彼は、
日本の地震の多さに仰天し、研究を始める。
天井からつりさげた振り子。
地震が起きた時間を知らせる時計仕掛装置。
自宅はさまざまな装置にあふれた。
約1万円の私財を投じて地震計も作った。
当時の1万円は、現在の数千万円とも言われる。
ミルンの呼びかけにより、日本地震学会も創設され、
近代日本の地震研究に大きな影響を与えた。
ミルンは、学生たちにこう語っている。
「災害の厳しさが日本人の精神構造に
どのような影響を及ぼしているか
研究する必要があるのではないか」
まじめで、調和を大切にする日本人の心は、
地震や台風などの厳しさが生み出した。
そう考えた外国人が、かつていたのだ。
risaikeda
地震とラジオ
地震大国日本において、
望まれるのは予知技術の発達。
その中で7〜8割近い的中率を誇るのが
新興技術研究所の熊谷卓らが開発した「逆ラジオ」だ。
20年前の今日、阪神・淡路大震災が発生。
震災後、相次いで報告されたのは、
発生直前の、ラジオからの大きなノイズ音だった。
そこに着眼した熊谷らは、
通常のラジオでは拾わないノイズを
積極的に拾う「逆ラジオ」を設計。
地震予兆が発するノイズを捉え、予知に貢献することが出来るのだ。
しかも大掛かりな仕掛けはいらず、
家庭でも簡単な装置で行うことが出来る。
まだ知られていないこの技術が、
さらに磨かれ、個人へと浸透していけば、
被害を0には出来ずとも、
最小限に食い止めることができる。
「逆ラジオ」は、その大きな役割を
果たしてくれるかもしれない。
Bujdosó Attila
焼け野原の建築
神戸市長田区にあるカトリックたかとり教会。
週末に住民が集まるホールは紙でできている。
阪神大震災で、教会はほぼ焼け落ちた。
焼け跡で青空ミサが開かれた日曜の朝、
建築家を名乗る男が、
「紙で教会を建てないか」と持ちかけた。
火事が頻繁に起きていた街に
紙で建てるなんてと神父は断った。
次の日曜も、その次の日曜も、
男は紙の建築の強さと施工の簡単さを説明した。
彼の名は坂茂(ばんしげる)。
その熱意に
「教会ではなく、住民が集まれるホールなら」と、
神父は承諾した。
高さ5mの紙でできた紙管58本を
長円形に配したホールは
「ペーパードーム」の愛称で
復興のシンボルになった。
トルコ、インド、
スリランカ、中国、イタリア。
地震や津波、洪水が起きると彼は現れ、
仮設の住宅や学校、ホールの建設をする。
2014年、坂茂は
建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞。
災害に立ち向かうその姿勢が
世界に認められたのだ。
的中してしまった警告
日本の地震学に
多大な影響を与えた男、
今村明恒(いまむら あきつね)。
明治29年の三陸大地震の際、今村は
津波の原因が海底の地殻変動だと発表する。
今では当たり前の説だが、
当時は誰にも受け入れられなかった。
明治38年、今度は
東京で50年以内に大地震が起こると警告。
それが大々的に新聞に掲載されると
社会問題を引き起こしてしまう。
「ホラ吹きの今村」と中傷された彼だが
大正12年、警告どおり関東大震災が発生。
その直後、記者たちの質問に
しばらく同じ規模の地震は起こらないと断言。
それも見事に的中した。
世間は一転して今村を「地震の神様」と呼んだ。
震災当日の彼の日記には、こう書かれている。
わたしの警告は、非難され嘲られていたが、
それが現実に起きてしまう、
なんという不幸なことであろう。
自らの名誉より、
地震から人々を救うことを
今村は強く望んでいたのだった。
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