澁江組・田中真輝

田中真輝 20年9月20日放送


guppiecat
最後の一頭

2003年10月10日。
キンと名付けられた日本生まれのトキの
最後の一頭が死んだ。
2012年6月24日。
ロンサム・ジョージと名付けられた
ピンタゾウガメの最後の生き残りが死んだ。 
2018年3月19日。
スーダンと名付けられたキタシロサイが死んだ。
彼は地球上最後の雄の一頭だった。
今年、世界自然保護基金は、野生動物の個体数が
過去50年で3分の2以上減少し、このスピードに
減速の兆候は見られないという報告書を公表した。
人間の営みは転がり続ける。
多くの生物の命を踏みつぶしながら。
その道のりの果てに、人間の最後の一頭は
何を思うのだろう。

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田中真輝 20年9月20日放送



最後の職業

人工知能が加速度的に進化する昨今。
将来的には現在人間がやっている多くの仕事を
AIがやることになるだろう、と予測されている。

AIに取って変わられると言われている職業は
「電話販売員」「不動産登記の審査・調査」
「手縫いの仕立て屋」など。

一方、AIに奪われずに最後まで残ると言われている
職業は「レクリエーション療法士」「整備・設置・
修理の第一線監督者」「危機管理責任者」など。

しかしAIが十分に進化すれば、最後まで残ると言われている
職業もAIが担うことは原理的には可能になっていくだろう。

本当に人間にしかできない仕事があれば、
それこそが人間らしさを象徴するものであるはずだが、
果たして、そんな仕事が残されるか、どうか。

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田中真輝 20年9月20日放送



最後のリクエスト

人間の五感の中で、
最後まで残るのは聴覚だと言われている。
たとえ意識がなくなっても、
誰かが呼びかける声に脳は反応するのだという。

だとすれば、あなたが最後の瞬間に
聞いていたい音楽は、どんな曲だろうか。

文字通り魂を鎮めるレクイエムかもしれない。
人生の折々を彩ってきたポップスかもしれない。
あるいは音楽ではなく、愛する人の笑い声。
あるいは、寄せては返す波の音。

目を閉じて耳を澄ませてみる。
人生とは、最後のリクエストにふさわしい一曲を
見つける長い旅なのかもしれない。

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田中真輝 20年9月20日放送



最後の残されたもの

かつてゼウスは、まだ災いのなかった
人間界に、パンドラという女性を遣わせた。
決して開けてはいけないという箱とともに。

好奇心に負けたパンドラがその箱を開くと、
ありとあらゆる災いが人間界に解き放たれてしまう。
そして箱の底に最後に残されたのが希望だった。

どんなに世界が混沌に満ちていても
人間は希望を抱くことができる。
いつだって、諦めるには早すぎるのだ。

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田中真輝 20年7月19日放送



幸せのダイバーシティ

幸せとは何か?
人類は常に、それを考え続けてきた。

トルストイの名言の中に、
「幸せの形はいつも同じだが、不幸の形はそれぞれ違う」
という言葉がある。

しかし、本当にそうだろうか。

例えば、デンマーク語の「ヒュッゲ」という言葉。
これは、心地よく気楽な居場所を作り出して幸福感を
高めることを指す。

また、ドイツ語の「ヴァルトアインザームカイト」
という言葉は、森に一人でいる喜びを表している。

「アヤーナマット」とはイヌイットの言葉で
どうしようもならない現実を穏やかに受け入れる
ことを意味する。

こうした言葉で切り取られた感覚は、ユニークでありながら
わたしたちの「幸せ」のイメージを豊かに広げてくれる。

「幸せ」という言葉は一つしかないが、その言葉に
どれだけ多くの感情や、感覚を紐づけられるか。
それも、幸せになる方法のひとつなのかもしれない。

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田中真輝 20年7月19日放送


jm_escalante
幸福のアルゴリズム

幸せとは何か?
人類は常に、それを考え続けてきた。

科学の発達により、人間の生化学的なメカニズムが
解明されるにつれて、人の営みも一種のアルゴリズムに
すぎない、という考え方が生まれている。

人間がある行動をするのは、人類が存在し続けるために、
そうプログラムされているからに過ぎないというのだ。

こうしたい、と思うためには、その引き金となる
何かの理由があり、その理由にも、引き金となる理由が
あり…と無限に後退していくプロセスの中に
自由な意志が介在する余地は存在しないように見える。

幸せとは、人間という種が効率よく生き残るために
プログラムされた「餌」である。
そう言われたときに、しかし強く反発する気持ちがある。
これもまた単なるプログラムだと言うのだろうか。

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田中真輝 20年7月19日放送


Muffet
炎と向き合う時間

幸せとは何か?
人類は常に、それを考え続けてきた。

仏教には「諸行無常」という有名な言葉がある。
すべてのものが、移ろい変わっていき、その形を
とどめない。ならば、ああしたい、こうすれば
よかったなどという一時の欲望や悩みに執着する
ことに、どれほどの意味があるのだろう、と
問いかける言葉である。

煩悩の炎を消し、悟りを開くなどということは、
普通の人間には無理だとしても、胸を焦がす
その炎のゆらめきを少し距離をおいて眺めてみる、
そのとき感じる静けさもまた、ひとつの幸せの
ありかたかもしれない。

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田中真輝 20年7月19日放送



幸せトレーニング

幸せとは何か?
人類は常に、それを考え続けてきた。

最近の研究によると「オキシトシン」という
生理物質が脳内に分泌されると、人は
幸福感を感じるらしい。

このオキシトシンは「抱擁ホルモン」とも呼ばれ、
人と触れ合うことで分泌が促される。

ソーシャルディスタンスが求められ、
なかなか抱擁は難しいご時世だが、
直接接触しなくても、見つめあったり、言葉を
交わすことでも分泌されるらしい。

会えないときこそ、慕情は募るもの。
ソーシャルディスタンスな今こそ、人との共感力を鍛え、
オキシトシンの出やすい体を作る
チャンスかもしれない。

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田中真輝 20年5月17日放送



STAY HOME

ずっと家にいるからこそ
あえてやってみたいこと。

それはモノを捨てること。

例えば、いつかまた着るだろうと
しまってある衣服、
いつかまた読み返すかもしれないと
置いてある書籍を、思い切って
捨ててみよう。中古品としてネットで
売ってみるのもいいかもしれない。

どうしても捨てられないものが、
なぜ捨てられないのか考えてみるのもいい。
本当に大切なものを改めて確かめたり、
単なる執着だったと気づいたり。

モノを捨てることは、新しいスペースを
作ることでもある。それは部屋だけでなく
心の風通しも良くしてくれる。
その風はきっと新しい何かを連れてくる
はずだ。

そんなリセット作業を、
おうちで楽しんでみませんか。

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田中真輝 20年5月17日放送



STAY HOME

ずっと家にいるからこそ
あえてやってみたいこと。

それは楽器を弾くこと。

例えば、昔やっていたギターを
引っ張り出して、つま弾いてみる。
新しくウクレレを買ってを教本を
見ながら一から練習してみる。

最初はなかなか思った通りには
弾けなくても、繰り返すうちに
ちょっとしたことができるようになる。

練習すればするだけ、少しずつ、
うまくなる。
その、小さいけれど確かな
手ごたえを感じることは、心を
愉しくしてくれる。

とかく目標や成果ばかりに追われがちな毎日。
たまには、まだ見えない目的地に目を凝らすのを
やめて、足元の一歩一歩を見つめてみる。
楽器を練習することは、今を楽しむことなの
かもしれない。

そんな時間を
おうちで楽しんでみませんか。

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