鉢叩き
今日は、納豆の日。
古来より、人々の暮らしの中にあった納豆。
多くの歌人もその存在を歌に詠み込んでいる。
松尾芭蕉もその一人。
「納豆きる 音しばしまて 鉢叩」
鉢叩きとは師走の夜に、手に持った鉢を
叩きながら物乞いをした念仏僧のこと。
寒い夜、暖かい納豆汁を作るために
とんとんと納豆を切っていると、
チーンチーンと鉢を叩く音が聞こえて来る。
しばし手を止めて、
寒風の中、托鉢する僧の姿に想いを馳せる。
そんな芭蕉の心の温かさが
納豆汁の香りとともに、ふんわりと漂うような
一句である。