薄組・熊埜御堂由香

熊埜御堂由香 14年12月21日放送

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クリスマスのはなし  クリスマスのまえのばん

世界中で読まれている絵本、「クリスマスのまえのばん」。
1822年に学者クレメント=ムアが、
イブの日に、自分の子どもへ即興で書いた物語だ。
彼の描いたサンタは実にチャーミング。

 はなは ぷっくり さくらんぼのよう。
 わらいだしそうな くち、まっしろなひげ。

いつもは難しい専門書ばかり書いている学者が、
煙突からドスンと登場するドジなサンタを生みだした。
クリスマスには、誰もが子どもになる魔法がある。

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熊埜御堂由香 14年11月30日放送

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spinster cardigan
美味のはなし 平松洋子の手

フードジャーナリストとして知られる平松洋子さん。
手にペンを握り、世界中を旅して食文化を伝えてきた。

平松さんが料理をするとき、
一番活躍するのは、やっぱり彼女自身の手だ。
手で食材を扱うことで、料理が美味しくなることを
よく知っていた。野菜や、豆腐や、肉も、包丁で形をそろえて切るよりも
割ったり、ちぎったり、握ったりして、食感を楽しめる工夫をこらす。

そんな彼女が、手で調理する喜びを1冊の本にした。
タイトルは、

 世の中で一番おいしいのは
 つまみ食いである。

台所での彼女の手は、とっても働き者で、
くいしんぼうなのである。

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熊埜御堂由香 14年11月30日放送

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Sanjo
美味のはなし 世界のお弁当

美食の都、パリでも、最先端の街、ニューヨークでも、
流行っている日本の食がある。
それは「BENTO」(ベント)」お弁当のこと。

日本人のだす、お弁当店に、昼時に行列ができるほど。
おいしいものは、こうして軽々と、国境を越えていく。

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熊埜御堂由香 14年10月12日放送

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tamachanhaazarashi
陶芸のはなし 白洲正子

随筆家、白洲正子。
町田市の古い農家を買い取って
能や古美術を愛して生きた。
焼きもののコレクターとしても知られた正子。
その世界に深く惹かれるようになったのは、
美術評論家の青山二郎からいわれたこんな言葉だった。

誰がもっていても一流というのではなく、
自分が持っているから値打ちがある。
そういうものを目指したらどうですか?

名のある茶碗と、名のない茶碗。
両方とも元はといえばアジアの片田舎の生まれた飯茶わんなのに、
農家の台所に埋もれているものもあれば、
展覧会のガラスケースの中に収まるものもある。
その事実に、正子は、
世の中にこれほど自由な存在があるだろうかと
胸が躍ったという。

白洲正子はこう言った。

 焼きものは、すべて発見です。

陶芸とは、それを選ぶこと自体も
芸術たりえる、創作活動なのかもしれない。

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熊埜御堂由香 14年10月12日放送

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Yumi Kimura
陶芸のはなし 飛田和緒

ごはんをよそうという言葉は、
装うからきているらしい。
料理を装う、和の器にみせられた
料理研究家の飛田和緒(ひだかずを)は
こう言っている。

 器に誘われて料理を作る。
 そうすると、とびきりおいしくなるんです。

陶器に魅せられ、はじまる、
そんな食欲の秋も悪くない。

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熊埜御堂由香 14年9月28日放送

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日本の「食」 小林カツ代の和の洋食

日本の家庭料理の第一人者、料理研究家の小林カツ代。
20代後半から仕事に追われながら、
年子2人の子育てに奔走した。

そんな彼女が忙しすぎて心が荒んだ時、夕食につくるのが
「やさしい気持ちになるコロッケ」。

つぶしたじゃがいもを手の上でコロコロするうちに
落ちついた気持ちになれたという。
秘密の隠し味は「練乳」。
こっそり入れると、ほっこり甘くなる。

子どもたちが大好きな和の洋食。
家族をつなぐ、そんなレシピが、
きっと、どこのうちにもある。

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熊埜御堂由香 14年9月28日放送

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U.S. Army Garrison Japan
日本の「食」 ラーメンという食文化

 ラーメンを売るな。食文化を売れ。

日清食品の創業者、安藤百福。
世界初のインスタントラーメンを手に、
社員に檄を飛ばした。

それから、56年、
日本のラーメンは、世界も認める
立派な日本食に成長した。

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熊埜御堂由香 14年8月10日放送

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mumchancegaloot  
5.香りのはなし ある調香師の仕事論

世界的に有名な調香師、
ジャン=クロード・エレナ氏は、自らの仕事を
こう定義している。

 調香師とは、香りの文筆家のようなものだ。
 そして、香水とは、匂いの書いた物語だ。

彼の代表作として知られる、エルメスの庭シリーズ。
『ナイルの庭』『地中海の庭』『屋根の上の庭』。
まさに小説のタイトルになりそうな名をもつ。

彼の調香スタイルは、愛用のモレスキンの手帳を携え、
南仏のグラースに構えたラボラトリーから、旅に出ること。

『地中海の庭』の調香をはじめた時のことだ。
チュニジアにある友人の家でパーティをしていると、
庭にでて、微笑みながら、いちじくの葉をちぎって、
香りをたしかめている女性を見かけた。
その瞬間、香りのイメージが、浮かんだ。
急いで、ラボラトリーに戻り、香りを組み立てていった。

こうした瞬間が重なって、
エルメスの香水の売上を三倍に跳ね上げたとまで
いわれる香水群は世に生まれた。

彼は自分の仕事について、こうも語っている。

 もらった自由は、仕事の成功でしか、返せない。

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熊埜御堂由香 14年8月10日放送

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6香りのはなし グルヌイユの恋

46カ国語に翻訳された小説、
パトリック・ジュースキントの『香水 ある人殺しの物語』。
愛する女性の香りを永久に保存するため殺人を犯す
孤独な男の物語だ。
異常に鋭い嗅覚をもつ主人公、
グルヌイユは、苦悩し、こう独白する。

 見たくないなら目をふさげばいい、
 聞きたくないなら耳をふさげばいい、
 しかし鼻はそうはいかない、
 それは呼吸に関わっているからだ。

香りとは、ときに、ひとを、
抗いようのない、
甘美で悲しい恋に誘う。

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熊埜御堂由香 14年6月8日放送

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M6 Panda
家の話 いしいしんじの町家

幻想的な味わいの作品を発表する作家、
いしいしんじ。

数年前から、京都の
古い町家に住んでいる。

彼にとって家は仕事場。
書いているとふとこう思うという。

 家というよりも、「不思議なトンネル」
 の中いるような感覚になる。

家の中でも、遠くにいける。
それは、町家の魔法かもしれない。

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