5.おもしろい夜 忌野清志郎
やってみようじゃないか。おもしろい夜になりそうだぜ。
ロックミュージシャン・忌野清志郎は言った。
2003年、はじめての「100万人のキャンドルナイト」で、
東京タワーのライトダウンイベントに誘われ、すぐさまOKした。
NGOナマケモノ倶楽部が日本ではじめたこのイベント、そのきっかけは
あるアメリカ人から1通の「おもしろい」メールが届いたから。
件名は「ひとりひとり暗闇で手をつなごう」。
ブッシュ元大統領の石油エネルギー政策に抗議する
そのメールは世界中に転送された。
それは声高に環境保護を訴えるものではなかった。
夏至の日の夜、電気を消し、暗闇の時間を自分の感性で
楽しもうというメッセージ、だから世界に広がった。
そして今夜は8年目のキャンドルナイト。
静かな闇の中だから浮かんでくる気持ちが
誰の中にもあるはず。
清志郎も歌っていた。
暗い暗い夜はいつでも
甘い甘い夢が暖めてくれるさ。
6.父にならなかった男 ウィルヘルム・ブッシュ
父親になることは難しくないが、
父親であることは極めて難しい。
近代漫画の始祖と言われたドイツ人
ウィルヘルム・ブッシュは言った。
1865年にブッシュが発表した絵本、
「マックスとモーリッツ」は、
ふたりのいたずら小僧が主人公だ。
ブラックユーモアに満ちた内容で、
最後にはふたりは臼で潰されて、
アヒルの餌にされてしまう。
気難し屋のブッシュは生涯独身だった。
父親らしくあること、その難しさを
躊躇せずに、彼が父親になっていたら?
常識破りの面白い親父になっていたかもしれない。
7.父の存在 日本中のおとうさん
ある小学校6年生がこんな詩を書いた。
おとうさんのあとに風呂にはいった。
底にすこし砂があった。ぼくたちのために働いたからだ。
おとうさんが家族を守っている。
いつもは目に見えないその事実に、
思いがけず、気づく瞬間がある。
口に出して言ってみる。
おとうさん、ありがとう。
今日は、父の日。
8.出生の秘密 ジョン・ブルース・ドット夫人
母の日はあるのに、どうして父の日はないんだろう。
1909年、アメリカ。
ジョン・ブルース・ドット夫人という女性が、
ふと思った。
前年に母の日が設立されたばかりだった。
ドット夫人の父は、男手ひとつで6人の子どもを育てた苦労人。
ひとり娘のドット夫人は特に可愛がられた。
亡き父のため、「父親を尊敬し、称え祝う日」の設立を聖職者同盟に嘆願。
そして、7年後の1916年に「父の日」は設立された。
けれど母の日は1914年には、祝日になったのに、
父の日は、なかなか昇進できず、約60年後の
1972年にようやくアメリカで祝日になった。
ひとり娘が父を想い、
苦節の末、誕生した父の日という祝日。
母の日の2番煎じか、
なんて、へそ曲げないでね、お父さん。