薄組・小野麻利江

小野麻利江 15年2月7日放送

150208-06

名前のはなし ティラミス

日本でも根強い人気をほこる、
イタリアのチーズケーキ、ティラミス。

実はイタリア語で
「私を元気付けて!」という
意味を持っている。

北イタリアのトレヴィーゾという
町のレストランで、
妊娠中の女店主のために
考え出されたという。

卵黄、お砂糖、マスカルポーネチーズに、
エスプレッソ。
お腹の子を元気づけるには、
ちょっと大人な味わいだ。

topへ

小野麻利江 15年2月7日放送

150208-07
663highland
名前のはなし 100万ドルの夜景

美しい夜景をたたえる時に使われる、
「100万ドルの夜景」という言葉がある。
ドルという単位なので、
外国で生まれた言い回しと思われがちだが、
実は日本、しかも神戸生まれ。

1953年。六甲山から見える夜景について
関西電力の副社長が
広報誌に書いたコラムのタイトルに
由来しているという。

さらに驚くべきは、その本当の意味。
「100万ドルもの価値がある夜景」
という意味で使われがちだが、
六甲山から見える神戸の電灯496万個にかかる
1ヶ月の電気代が、
当時のレートでおよそ100万ドルに
なったからだという。

実際に「100万ドルかかっている夜景」だった、
神戸の「100万ドルの夜景」。
時代が進み、1ドル=360円の固定相場制も終わり、
電灯の数も何倍にも増え、
今や「1000万ドルの夜景」なのではとも
ささやかれている。

topへ

小野麻利江 15年1月25日放送

150125-07

はじまりのはなし キケロにとっての「はじまり」

新しい1年が、また始まった。

先行き不透明な、今日このごろ。
目標は心の中にあるけど、
カタチにできる自信が無い・・・
そう尻込みする人たちに、

古代ローマの哲学者、
キケロの言葉を贈りたい。

 始まりは、どんなものでも小さい。

topへ

小野麻利江 15年1月25日放送

150125-08
armycat
はじまりのはなし 野矢茂樹の「はじめて考えるときのように」

あなたが生まれてはじめて
「考える」という行為をした時、
頭の中には、どんな景色が浮かんでいただろう。
目の前の世界は、どのように映っていただろう。

哲学者の野矢茂樹の著書に、
『はじめて考えるときのように』という本がある。
副題は「『わかる』ための哲学的道案内」。
それは、考えるということについて、考える本。

中学生くらいの子どもに寄り添うような
優しいまなざしでつづられた文章の中で語られるのは、
私たちの考えが日頃、いかに多くの「当たり前」や
「見えない枠」にしばられているかということ。

そして、ヒト・モノ・コト、出会ったすべてを
頭につめこんで、ゆさぶったのち、空っぽにする。
そのくり返しこそが、「考える」ことではないかと
野矢は言う。

本当に「考える」ということ。
それはきっと、はじめて考えるときのように、考えること。

topへ

小野麻利江 14年12月21日放送

141221-07
sparrowsfall
クリスマスのはなし チャールズ・シュルツのクリスマス

スヌーピーの生みの親、
漫画家のチャールズ・シュルツはこう言った。

 クリスマスとは、ちょっとした余分のことを
 誰かのためにしてあげること。

誰かのためのちょっとの余分が、
雪のように積み重なる。
そんなクリスマスになりますように。

topへ

小野麻利江 14年12月21日放送

141221-08
SkyD
クリスマスのはなし サイレント・ナイトのルーツ

クリスマスキャロルとしておなじみの
「サイレント・ナイト/清しこの夜」。
1818年のクリスマスの日、
オーストリアのとある村の教会で
ギターを伴奏に、初めて歌われたのがそのルーツ。
教会のオルガンを修理しにきた職人が、
その時の楽譜を写して持ち帰ったことをきっかけに、
ドイツや、海を越えたアメリカへ
一気に広まっていったという。

最初にギターで奏でられたのは、
ネズミが教会のオルガンをかじって
オルガンが壊れたせいだったとか、
メロディがあまりに見事なので
モーツァルトやベートーベンが
作ったのでは、と言われるなど
様々な逸話にも事欠かない
「サイレント・ナイト」だが、

敬虔なメロディで200年近く
聴く人を温かい気持ちにし続けてきたことは、
確かな事実である。

topへ

小野麻利江 14年11月30日放送

141130-03
Junya Ogura
美味のはなし 伊丹十三とスパゲッティ

俳優、デザイナー、エッセイストののち、
映画監督としても名を馳せた伊丹十三は、
食に関しても、ひと言もふた言もある人だった。

そんな伊丹が、エッセイ集『女たちよ!』の中で、
「スパゲッティ・ナポリタン」に憤慨している。

 なにゆえに日本人はスパゲッティに
 鶏やハムや海老やマシュルームを入れて
 トマト・ケチャップで和えるようなことをするのか。

なんでも、トマトケチャップの味が
「甘ったるくて貧しい味」だというし、
一品だけ食べれば満足できるという
日本の洋食の考え方じたいも、「貧しい」という。

話はそこから、スパゲッティの理想の茹で加減へと進む。
いまはすっかりポピュラーな「アル・デンテ」を伝えるべく、
ページを割き、ひとつひとつ手順を説いていく。

最後にもう一度、「天敵」スパゲッティ・ナポリタンを
揶揄して終わる、このエッセイ。

 低い次元にまで引きずりおろし、
 歪曲するということをするべきではない。
 根本精神をあやまたずに盗め!

日本人がつくるスパゲッティに苦言を呈しながら、
日本人の文化の取り入れ方を、嘆いていた。

topへ

小野麻利江 14年11月30日放送

141130-04

美味のはなし ミシュランガイドの成り立ち

「美食のバイブル」として名高い、
「ミシュランガイド」。

1900年フランス。自動車旅行が活発になれば
タイヤも売れる、と目論んだ
タイヤメーカーのミシュラン社が発行をはじめた。

当初は無料で配られていたが、
ある修理工場で、作業台の足がわりに
積み重ねられているのを見た
創業者・ミシュラン兄弟は、こう考えたという。

 人間は、金を払って買ったものしか大切にしない

こうしてミシュランガイドは、
有料で販売されるようになった。

topへ

小野麻利江 14年10月12日放送

141012-05

陶芸のはなし ハンス・コパーのキクラデス・フォーム

土台の上にあやういバランスで載った、弓なりの立体。
またその上に、細長い筒状の立体。

パーツそれぞれをろくろで挽き、
くっつけ、焼き上げたあと、
細い金属の芯で、本体と土台をつなげる。

この研ぎすまされた形の名は、
「キクラデス・フォーム(Cycladic Form)」。

陶芸家・ハンス・コパーが
古代エーゲ海の「キクラデス彫刻」に惹かれ、
つくりつづけた形。

晩年、ALS・筋萎縮性側索硬化症と診断され、
身体の自由が徐々に効かなくなってからも
キクラデス・フォームを片手でつくりつづけたコパー。

 どうやってつくるか、の前に、
 なぜつくるか。

みずからの理想の形を追い求め、生み出す。
その衝動は、終生尽きることがなかった。

topへ

小野麻利江 14年10月12日放送

141012-07
JartLover
陶芸のはなし 河合寛次郎の芸術論

文化勲章や人間国宝を辞退し、
無位無冠の陶芸家でありつづけた、
河合寛次郎。

 自分を貫いてぶつけて
 無条件に自他に迫って行く事が芸術だ。

つねにまず、自分の為につくる。
そんな作品たちが、
今も多くの人の眼を惹きつける。

topへ


login