薄組・小野麻利江

小野麻利江 14年9月28日放送

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yomi955
日本の「食」 味噌・醤油と禅宗

鎌倉時代、曹洞宗の祖・道元は
料理をどう食べるべきかという心得を
こう説いている。

 食とは道、つまり仏法と同じ。

いまや和食に欠かせない調味料・味噌と醤油が
この時代に禅宗を学んだ僧によってもたらされたのも、
「肉食を避けながら、肉に限りなく近い味を
調味料で工夫して食べる」という
食を通じた、禅の修行のためであった。

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小野麻利江 14年9月28日放送

140928-03
Coolcaesar
日本の「食」 シリコンバレーの寿司職人

寿司職人の、佐久間俊雄。
アメリカ・カリフォルニアのシリコンバレーで、寿司を握ってきた。

そんな佐久間の店に、たびたび顔を出す男がいた。
スティーブ・ジョブズ。
菜食主義で、はじめは巻物ばかり注文していたというが、
じょじょに生魚のネタを頼むようになり、
そしてある日。唐突に佐久間に、

 穴子はあるか?

と尋ねてきた。
日本から冷凍して運んできた穴子を
佐久間が握って出すが、なかなか手をつけない。
その様子を見て、佐久間は、
(本物の穴子を出すから、ちょっと待っていてくれ)
という気持ちになったという。

ジョブズの次の来店にあわせ、
生け締めにした新鮮な穴子を日本から取り寄せ、出したところ、
普段あまり料理の感想を言わないジョブズから、

 It’s good!

という褒め言葉が飛び出したという。

部下だけでなく、寿司職人も奮起させていた
スティーブ・ジョブズ。
佐久間がそんな手強い客を相手にしていた26年ほどの間に、
シリコンバレーの和食も、イノベーションを遂げていった。

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小野麻利江 14年8月10日放送

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Alessandro Baffa
3.香りのはなし 調香師が嗅ぐ香り

飛び抜けた嗅覚を駆使して香料を調合し
あたらしい香りを創り出していく職業、
「調香師」(ちょうこうし)。

彼らの嗅覚は、生まれつきそなわった能力ではなく、
プロとしての長年の経験の末に獲得されたものだ、
とする研究結果が、
脳医学会誌「Human Brain Mapping」に
掲載されたことがある。

経験の浅い調香師とベテラン調香師を
2つにグループ分けし、
数百から、数千もの匂いをかぎ分けさせたところ、

ベテラン調香師ほど、より速く正確に
答えにたどりついたという。

研究チームの1人、
神経科学者のジャン・ピエール・ロワイエは、
次のように説明する。

ピアニストが音階の練習を重ねて
上達していくように、
『鼻利き』になるためにも
トレーニングが必要だ。

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小野麻利江 14年8月10日放送

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bastus917
4.香りのはなし マーク・トゥエインとスミレの花

香水を選ぶ。つける。
自分のために選ばれがちな
その「香り」が、
誰かの鼻を愉しませることだって、しばしばある。

しかし、アメリカの作家・
マーク・トゥエインの次のような言葉ほど、
利他精神に満ちたものも、そうそうないだろう。

 許しとは、踏みにじられたスミレの花が
 自分を踏みにじったかかとに放つ芳香

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小野麻利江 14年6月8日放送

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家のはなし 伴美里の部屋の中

アーティストの伴美里(ばん みさと)が
自分の部屋を見渡した時、
そこは、彼女が年月をかけてつくりあげた
「世界の箱庭」になっていた。

「ミラーワーク」という刺繍がほどこされた
インドのキーホルダー。

バリ島で買った「バティック」という、
ろうけつ染めのスカーフ。

ベルギーはアントワープで見つけて
「文化遺産」という呼び名をつけた
大きめのカフェオレボウルに、

イギリス湖水地方、
ウィンダミアの山から持ちかえった石ころが
あったかと思えば、

プラグの周りは、いろんな国の電化製品が共存して
大変なことになっている。

自分の部屋にある思い入れの深いものをスケッチし、
それぞれにまつわるエピソードを添えた伴美里。
彼女のドローイングブック
『100 Things in My Room』の中には、
そんな「家あそび」の極意がぎっしりと詰まっている。

雨続きで、外に出られない。
そんな日は、お家の中を旅するチャンスかもしれません。

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小野麻利江 14年6月8日放送

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家のはなし 谷崎潤一郎の暗がり

外の光がまったく届かない建物の
暗がりの中にある、
金の襖や金屏風。

作家・谷崎潤一郎は、著書『陰翳礼讃』の中で
その微かな色彩の、照り返しをいつくしむ。

 
私は黄金と云うものが
 あれほど沈痛な美しさを見せる時は
 ないと思う。

明かりを消してしまえば、
何も見えなくなる訳ではない。
私たちの眼に、
闇が見せてくれるものもきっとある。

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小野麻利江 14年5月18日放送

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学びの話5 B・B・キング

ブルース界の巨人、B・B・キング。
親戚が持ってきたギターに初めて触れたのは、彼が8歳の時。
以来ギターに夢中になり、
農場で働いた給料で手に入れた自分のギターを手に
ラジオから流れてくるジャズ、ブルース、
カントリー&ウェスタンといった音楽をコピーしはじめた。
ある日、街角でブルースをプレイしたところ、
投げ銭が増えたことから、ブルース・プレイヤーになることを決心。
ブルースへの傾倒を強めていった。

テネシー州メンフィスのラジオ局でDJとして名を馳せた後、
1949年にレコードデビュー。
以来、半世紀以上にわたり、文字通りブルース界の「キング」で
ありつづけている彼だが、

 いろんな楽器を弾くことで、
 ギター・フレージングに効果があるんだ。

と、ギター以外にも、ピアノ、ベース、ドラム、
ハーモニカ、ヴァイオリン、クラリネットなどを独学で習得している。

学ぶことの素晴らしいところは
誰にも取られることがないってことだ。

B・B・キングの成功は、数え切れない学びでできている。

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小野麻利江 14年5月18日放送

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学びの話6 DJおばあちゃん

「暇つぶしと、ぼけ防止に」。
そんな理由で習い事をはじめるシニアは、きっと少なくない。
でも、そう言って習い始めたのが「DJ」だとしたら・・・?

「DJ SUMIROCK(スミロック)」こと
岩室純子(すみこ)さん。78歳。
高田馬場の老舗餃子店で働いている。
知り合いが主宰するイベントで、クラブの楽しさに開眼。
DJスクールに通いはじめた。

先生のダメ出しを受けながらも、すでに東京やパリ、
ノルマンディのクラブで回したこともあるという。

 夢は、ニューヨークのクラブデビュー。

そう語るDJ SUMIROCKを前にすると
「年寄りの冷や水」なんて諺のほうが、
時代遅れに見えてくる。

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小野麻利江 14年3月9日放送

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Matthew
からだの話 マイケル・ジョーダン

バスケットボールの神様、マイケル・ジョーダンは
試合開始早々、何本かシュートをはずしても、
ことさらに、気にしたりはしなかった。

「よし、リズムはつかめているぞ。これからだ。」

からだにそう言い聞かせて、プレーを続けていたという。

意志の力で、からだはきっと、いい方に動く。

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小野麻利江 14年3月9日放送

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naoyafujii
からだの話 三浦知良

47歳になる今も、Jリーグ・横浜FCで
現役でプレーを続ける、
「キング・カズ」こと三浦知良。

今までに培った経験とテクニックに
磨きをかけることはもちろん、
年を重ねるにつれ、
より質の高いトレーニングを追求してきたという。

さぞかし、自らの体を慎重に気遣って
プレーを続けているのだろうと思いきや、
必ずしも、そうではないようだ。
カズは言う。

 僕は基本的に、日常生活ができるなら、
 試合にも出られると思ってる。
 それでケガが悪化したこともあるし、
 ベストの状態でなければ、
 チームに迷惑をかけるという意見もあるだろう。
 でも100%治るまで休んでいたら、
 いつまでかかるか分からない。
 この年齢で1ヶ月も2ヶ月も休んだら、
 選手生命も終わってしまうしね。

選手を長く続けるために、あえて体に負荷をかける。
挑み続ける者にしかわからない境地が、ここにある。

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