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中村直史 12年8月26日放送


tokushima2000
夏の終わりに  桜井広海

なんにもしないうちに、
夏が終わってしまったなあ。
そんなセリフがちらほらと聞こえだすこの季節には、
15年前、とある男が海辺で言った一言を思いだす。

 夏の終わりは自分で決める。

テレビドラマ「ビーチボーイズ」の中で、
反町隆演じる桜井広海(さくらいひろみ)が言った言葉。

なにかはじめるのに遅いことなんてない。
そんな気持ちにさせてくれる。

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中村直史 12年7月15日放送



遊びの話 藤本義一

仕事にまじめに取り組んでいると、
とある面倒な疑問がたちはだかる。
自分には、才能があるのかどうか。
そして、才能がないと思ったときに、どう動けばよいのか。

放送作家の藤本義一(ふじもとぎいち)は、
若いころから才能のかたまりのように見えた。
放送作家であり、劇作家であり、映画脚本家で
小説家、エッセイスト、その他。
20代ではやばやと芸術祭文部大臣賞戯曲部門を受賞すると、
その後書き始めた小説でも、直木賞を受賞した。

文芸の才能にめぐまれ、話せばおもしろく、なんだってできる男。
が、それはもちろん、世間から見た、安易なイメージ。
ものを生みだしつづけるところには、苦しみも、行き詰まりもある。
では、どうやって、それらを乗りこえられるのか。

 行き詰まっても、
 他人がくだらないと評価するようなことを真剣にやっているうちに、
 思いがけない喜びが、天の方からガツンと来よる。
 だから人生も真剣に遊んでたらええのと違うか。

遊ぶ。
それが答え。
みなさん、どうでしょう、真剣に遊んでますか?
天からの思いがけない喜び、味わってますか?

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中村直史 12年7月15日放送



遊びの話 夢枕獏

イソップ童話「アリとキリギリス」。
夏の間働きつづけたアリは、冬を越すことができ、
歌い遊んでいたキリギリスは、餓死してしまう。

結論。遊びより、労働。

でも、ちょっと気になる。
キリギリスは、どんな歌を歌っていたのだろう。
アリがキリギリスを応援したくなるような歌なら
食べ物をもらえたかも..

いろんなことを考えさせられる童話であるが、
ちなみに、小説家の夢枕獏は
こんな生き方はどうですか、とシンプルな提案をしている。

アリのように働き、キリギリスのように遊ぶ。

なるほど、それがいい。

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五島のはなし(181)~五島でふたりがキスをするのなら(2)~

やはり、高浜海水浴場をはずすわけにはいきません。
高浜のビーチを二人でのんびり歩いてほしい。
手をつないだり、つながなかったりしながら、歩いてほしい。
ぼくは、手をつないだり、つながなかったりするカップルが好きだ。
そういう距離感が好きだ。

高浜海水浴場を見おろす、魚覧観音の高台にも立ってほしい。
上の写真は、魚覧観音から見た高浜海水浴場。

海の色ってこんな色なんだ!と二人はあっけにとられるだろう。
五島でするキッスはこんな味なんだ!と二人はあっけにとられるだろう。

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五島のはなし(180)~五島でふたりがキスをするのなら(1)~

五島で結婚式をあげたい。
そう思っているカップルが僕は好きです。
ふたりで五島を旅したい。
そう思っているカップルも僕は好きです。

ぼくは、感じのいいカップルが好きです。
五島に行こう、なんていうカップルはそれだけで、感じがいいなあと思うのです。
場所の選び方が、すごくいいですよねえ。
そんなカップルを、ぼくは応援したい。といっても大したことはできないので、
ふたりが五島でキスをするならこの場所がいいよ、というのを
できるかぎりたくさん教えたい、と思ったのです。

第1回目の今日は、大瀬崎灯台(上の写真)。
ここは、西の果ての島、福江島の、西の果てに位置する灯台。
海をへだてた向こうはアジアの大陸。
大海原を渡る船たちの道しるべとなるよう、日本一明るい光で、道筋をつくります。
ふたりのこれからの道をしるす、日本一明るい光。

さあ、ここで、すてきなキッスをどうぞ。

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中村直史 12年6月24日放送


Ako
美空ひばりの使命

美空ひばりは、幼いころから全国各地をめぐり、人々の前で歌った。
10歳のときのこと。
四国巡業中に、乗っていたバスが崖下へ転落する。

頭と胸を強く打ち、左手首からはひどい出血。
バスの中ら助け出されたときは仮死状態だったが、
奇跡的に回復し、実家の横浜へと戻った。

事故に驚いたのが、ひばりの父。
もともとひばりの芸能活動に反対していたこともあり、
今後一切、歌手活動をさせない、と迫った。
おそろしい父を前に、わずか10歳の少女は決して首をたてにふらなかった。
泣きながら、ただただ、歌手をやめたくない、と言いつづけた。

 私の人生のテーマはそのとき決まりました。
 私は歌い手になるために生まれてきたんだ。
 だから、神様が生命を救ってくれたんだって。

その日から42年間。
美空ひばりは、自分の使命を一瞬たりとも疑わなかったように
命を燃やしながら歌いつづけた。

今日、6月24日。
亡くなってから23年がたつ今も、
美空ひばりはたくさんの人の心の中で歌いつづけている。

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中村直史 12年6月24日放送


MO
美空ひばりの感覚

なぜ美空ひばりの歌声に
日本中が心を動かされたのか。
その秘密は、美空ひばりが子どものころから持ちつづけた
独特の感覚にあったのかもしれない。

 歌を歌います。するとお客さまの心がピーンと伝わってくるんです。
 隅のほう、大むこう、上手、下手、劇場のあらゆる場所から、
 楽しい気分や悲しい気分が、はねかえってきます。
 その気分と一つになり、溶け込んでいくんです。

美空ひばりは、
ひとりで歌っているのではなった。
みんなとともに歌っていた

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中村直史 12年5月13日放送



カクテル・ストーリーズ/開高健のブラッディマリー

氷を入れたタンブラーにウォッカを注ぎ、トマトジュースを入れる。
お好みで、コショウ、タバスコを少々。
それが「ブラッディ・マリー」の一般的なレシピ。

「血まみれのマリー」という恐ろしげな名前がついたこのカクテル。
あの開高健先生によれば、ひとりの恐妻家の男が発明したのだ、という。

夫は家で酒を飲みたいが
妻が怖いのでおおっぴらには飲めない。
そこで台所で隠れて飲むのだが
琥珀色の液体を飲んでいては
「何ウイスキー飲んでるの!」と怒鳴られる。
あぶくのたつ液体をのんでいると、
「ビールね!」とこれまた怒られる。

そこで、透明なウォッカにトマトジュースをほうりこんで
コショーだなんだと、ありあわせのものをほうりこむことで、
厳しい妻の目をごまかしたのだ、と。

カクテルは、クリエイティブなお酒。
作り手と飲む人の発想力を鍛えてくれる。

カクテル・ストーリーズ#5
「開高健のブラッディマリー」

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中村直史 12年5月13日放送



カクテル・ストーリーズ/サマセット・モーム

シンガポール、ラッフルズホテル。
このホテルを定宿にしたのが
イギリス人作家サマセット・モーム。

とある日のこと。
ラッフルズのバーで飲んでいたモームにバーテンダーが尋ねる。

「次は何をお飲みになられますか?」
「では、この美しい景色を」

モームは窓の外に沈みゆく太陽を眺めながら答えた。
そして生まれたカクテルが、シンガポールスリング。
・・・話の真偽は定かではないけれど、
数々の逸話が生まれるのもまた、愛されるカクテルの特徴。

カクテル・ストーリーズ#7
「シンガポールスリング」

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五島のはなし(176)

春の海は一気に潮が引くから、うかうかしてられない!
ぼーっとしてるとほら・・・

海に帰れなくなってしまったり。

そして、そのすきに人間たちは掘る!掘る!掘る!休んでは、また掘る!
一度掘りだすと掘るという行為の魔力にとりつかれてしまう、
潮干狩りシンドロームにあなたはかかったことがありませんか?

食べる分だけ、行けばとれる。
ずーっとそんな海だったらいいんだけどなあ。

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