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澁江俊一 19年1月20日放送

190120-04

元号を選んだ国

今年は新たな元号が始まる年。

かつては中国や朝鮮半島、ベトナムでも
それぞれの元号が使われていた。
しかし今、元号を使用している国は
世界でも日本だけになった。

元号は決して便利なものではない。
使いやすさなら西暦がまさるだろう。
それでも日本は元号を使い続ける道を選んだ。

大化の改新、応仁の乱、
元禄文化、明治維新など…
歴史上の出来事を
元号と深く結びつけて語り継いできた日本。

元号はいわば日本にとっての
豊かな歴史の象徴なのだ。

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澁江俊一 18年12月9日放送

181208-02
GGG
雪の名前

日本語には雨にも
いろいろ名前があるけれど
雪にもまたたくさんの名前がある。

細雪
粉雪
泡雪
名残雪
などの文学的な名前から

ざらめ雪
どか雪
しおり雪
など、積もりかたでついた名前。

こんこんと
しんしんと
はらはらと
など、降りかたの名前まで。

そのひとつで
覚えておきたい名前は、風花(かざはな)。

山などに降り積もった雪が風で飛ばされ、
晴れているのに小雪がちらつく様子。
からっ風で知られる群馬や静岡でよく見られる。
すぐに溶けてしまう、風に舞う白い花。
ぜひ一度見てみたい。

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澁江俊一 18年12月9日放送

181208-03

江戸の雪だるま

日本は雪の多い国。
日本人と雪には
昔から深いつながりがある。

江戸時代の雪だるまの形をご存じだろうか?
描いたのは江戸後期の浮世絵師、
歌川広景(うたがわひろかげ)。
これはとても貴重な文化資料だ。

その雪だるま、
人の背丈よりかなり大きく
あの赤いだるまと同じ形。

顔の前には魚などの
お供え物が置かれている。
どうやら縁起物だったようだ。

江戸時代の浮世絵には他にも
雪で大きなガマ蛙や仔犬を
つくる様子も描かれている。

子どもだけではなく
大人たちも楽しそうに
雪の中を動き回っている。

いつか溶けてなくなる雪で
愛らしい形をつくりだす。
雪と遊ぶ日本の粋な心がここにある。

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澁江俊一 18年11月11日放送

181111-02

食欲と落語

秋と言えば食欲の秋。

人間の「食べたい」という
抑えがたい欲望を見事に描いた
古典落語「千両みかん」。

病に倒れ、みかんを食べたいと願う
若旦那のため、真夏にも関わらず
探し回る番頭。

ようやくひとつだけ見つけた
腐っていないみかんには
なんと千両もの値がついてしまう。
それでも旦那はせがれを救うため
惜しげもなく大金を投じる。

念願果たした若旦那の
食べ残したわずかなみかんを
思わず持ち逃げする番頭・・・

笑いながら聞いているうちに
なんともみかんが食べたくなる、
粋な噺である。

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澁江俊一 18年11月11日放送

181111-03
Cea.
食欲と神様

秋と言えば食欲の秋。

食欲は性欲や睡眠欲と並ぶ
人間の根源的な欲求だ。
今でこそ食欲旺盛な人は多いが
かつて宗教は食欲を
良からぬものとみなしていた。

ブッダの言葉では

 およそ苦しみが起こるのは、
 すべて食料を縁として起こる。
 諸々の食料が消滅するならば、
 もはや苦しみの生ずることもない。

と断食を大切な修行の一つとするし、聖書にも

 あなたが食欲の盛んな人であるなら、
 あなたののどに短刀を当てよ。

と食べ過ぎをたしなめる。イスラム教では
ラマダンという断食の期間があるほどだ。

いつでも食欲を満たせるのは幸せなこと。
でもだからこそ、時には食欲を我慢してみると、
意外な悟りが開ける…かもしれない。

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澁江俊一 18年11月11日放送

181111-05
aron1937
食欲と進化

秋と言えば食欲の秋。

この食欲とどう向き合うかが、
人類の進化につながったという説がある。
サルはエサをはさんで向かい合うと
弱いほうが手をひっこめる。
強い者が独占する。それがサル社会のルールだ。

しかし類人猿は食物を分配する。
しかも弱いほうが強い方に
それをねだって獲得するのだ。
類人猿のルールでは
サルとは真逆の方向に食物が移っていく。
 
人間はもっと気前よく
相手と一緒に食べようとする。
だからこそ助け合う関係が生まれた。

こういう説を聞くと
人間って捨てたもんじゃないと思えてくる。
さて今夜は誰と、何を食べようか?

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澁江俊一 18年11月11日放送

181111-08
shiniwate.kouhou
食欲と昆虫

秋と言えば食欲の秋。

少しだけ未来の食欲の話をしよう。
今、新たな食料として昆虫が
注目されているのをご存知だろうか?

コオロギやバッタ、芋虫など
タンパク質や脂質が豊富で
必要な栄養を満たす昆虫は多いという。
しかもアンモニアやメタンガスを出す家畜より、
地球にダメージを与えにくい。

蜂の子やイナゴなど
日本ではもともと昆虫をよく食べていたから
心理的ハードルは、意外と低いはずだ。

この星の人口は今後も増え続け
いずれは食糧難も予測されている。
人類が昆虫を見る目も、変わるべき時かもしれない。

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澁江俊一 18年10月14日放送

181014-02

北斎と円

世界中の芸術家に影響を与えた
日本を代表する画家、葛飾北斎。

北斎が絵を描くときに使っていたのは
筆だけではない。
ぶんまわしと呼ばれる
竹で作られたコンパスを使って
いくつもの円を書きながら
北斎は絵の構図を決めていた。
最も有名な神奈川沖浪裏も
19の円を描いて構図を決めたとされている。

すべてのものはぶんまわしと
定規があれば書けるとも語っていた北斎。
何気ない風景の中にも
たくさんの円と線が見えていたのだろう。

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澁江俊一 18年10月14日放送

181014-03

北斎と白紙

世界中の芸術家に影響を与えた
日本を代表する画家、葛飾北斎。

彼が90回以上も
引越しを繰り返したことは
よく知られているが
自分の名前さえ30回も変えている。
北斎はその1つに過ぎない。

すべては絵を描くことに集中するため。
肉筆浮世絵や挿絵、版画、
人物画や春画や風景画、そして北斎漫画。
次々と新しい領域に挑戦し続けた北斎。

天があと5年の間、
命保つことを私に許されたなら、
必ずやまさに本物といえる画工になり得たであろう。
と言い残し、90歳で世を去った。

引越しや改名を何度も何度も繰り返すことで
自らを常に真っ白な紙のような状態にしながら
北斎は自分の理想の絵を
追い続けていたのかもしれない。

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澁江俊一 18年9月16日放送

180916-01

メキシコの死生観

今日はメキシコの独立記念日。

メキシコは
世界で最も自殺をしない国のひとつ。
日本と比べてもずっと少ない。

メキシコ人にとって、死ぬとは何か?
それを感じられるのが「死者の日」だ。

10月31日から11月2日までの3日間、
カラフルな骸骨の飾りが溢れる街を
顔にも骸骨のペインティングを施して
楽しげに練り歩く。

死者の魂がこの世に戻っている間に、
生きている家族や仲間とともに
交流を楽しむための日だという「死者の日」。

死を忌み嫌うことなく
いつも身近にあるものと考える。
それが生きている時間を
大切にできる秘訣かもしれない。

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