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三國菜恵 15年1月18日放送

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はじまりの言葉 中原中也

詩人・中原中也。
19歳のときに経験した、ある喪失。

長年連れ添った彼女が、
自分の親友と関係を持っていたことがわかった。
中原は後ろ姿を見送り、ひとりで部屋へと戻ってくる。

 みなさん今夜は静かです
 薬鑵の音がしています

この日彼は恋人を失い、
はじめての孤独を手に入れた。
それは詩人にとって絶対的に必要なものだった。

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三國菜恵 14年12月28日放送

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kenmat
さようなら2014 今年の漢字

年末に発表される『今年の漢字』。
2014年の漢字は、税金の「税」だった。
実はこの文字、全国の一般公募から決められている。

ちなみに今年の第2位には
「熱」という字がノミネート。
デング熱、エボラ出血熱の流行。
ソチ五輪や錦織選手の熱戦。
夏の甲子園の延長50回の熱戦。

言われてみると、確かに熱い一年。
今年も残り数日。こころとからだをあたたかに。

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三國菜恵 14年12月28日放送

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Lisandro M. Enrique
さようなら2014 高倉健

映画「あなたへ」の中で共演した
大滝秀治と高倉健。

高倉は晩年、大滝からもらったある言葉を胸に
カメラの前に立っていた。
それは、二人が文通をしていた便せんに
したためられていた言葉。

 僕にとって一つの仕事は、いつも一つの事件です

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三國菜恵 14年12月28日放送

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Rs1421
さようなら2014 岩崎俊一

今年の終わりのありがとう、
お歳暮で伝える人もきっと多いことだろう。

西武百貨店などの広告コピーで知られる
コピーライター・岩崎俊一。
こんな言葉をのこしている。

 うまいことを言う人より、
 うまいものをくれる人を、
 信じなさい。

「おいしいね」を分けてくれる人をたいせつに、
来年も、よいお年を。

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三國菜恵 14年11月23日放送

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Yung Tsai
早川義夫と写真

ロックバンド・ジャックスのボーカルとして知られる、早川義夫。

彼は写真を撮るのが好きで、
中でも愛犬のチャコを撮るのが好きだ。

なぜなら、犬は人間とちがって
よく撮られようなんて思っていないから。
だから彼も素直にカメラを向けることができる。

そんな早川の、写真論。

いい写真は、素直な気持ちと愛情だ。
ぶれていても。粒子が荒れていても。

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三國菜恵 14年11月23日放送

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Marxchivist
大友良英と映画音楽

連続テレビ小説『あまちゃん』の作曲者として知られる、大友良英。

彼の作曲人生におおきな影響を与えた人がいる。
映画『ゴジラ』のテーマを手掛けた作曲家、伊福部昭だ。

今の映画音楽と比べて、はるかにくすんだ録音。
オーケストラの重低音。歪んだ音。
子どもごころにも、それはとてもおっかなかった。

大友は語る。

 伊福部さんは僕ら子どもに
 怪獣という概念を音楽で植えつけた。
 言葉を教えてくれた親みたいなもんです。

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三國菜恵 14年11月23日放送

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雨宮処凛と映画

作家・雨宮処凛(あまみやかりん)。
彼女が大好きな一本の映画がある。
魚喃(なななん)キリコ原作、『ストロベーリーショートケイクス』。
4人の女性の恋愛模様を描いたオムニバス映画だ。

雨宮はこの作品を、
誰かを好きになるたび観返す。
そのたびにいつも同じ想いが胸をよぎる。

恋する者は、みんな惨めだ。
みんなが惨めで、だからこそ、愛おしくてたまらない。

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三國菜恵 14年8月31日放送

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あの人の夏 少年アヤ

からだは男の子だけれど、心はどこか女の子。
かわいいものが昔から大好き。
そんな作家・少年アヤの夏は、
ハウスダストに苦しめられた夏だった。

好きが高じて集めたファンシーグッズの数々。
日焼けで傷まないように
大切にしまいこんでいたら、
埃の温床になってしまったのだ。

その光景を見たアヤ。
随分と申し訳ない気持ちになった。

物って、視線を行き届かせていないとたちまち傷む。
「愛してるよ、大切にするよ、宝物だよ」という姿勢が肝心な気がします。

さんざんな夏だったけれど、
モノとの関係を見直せた夏だった。

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三國菜恵 14年8月31日放送

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johnnyjiang
あの人の夏 桑田真澄

野球界のレジェンド、桑田真澄。
彼は小学5年の夏、
ラジオから聞こえてきたあるフレーズに心を奪われる。

「逆転のPL」

PL学園の初優勝。そのフレーズがあまりに魅力的だった。
桑田はその日、しずかに自分の進路を決めた。

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三國菜恵 14年8月31日放送

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よっちん
あの人の夏 大林宣彦

日本はこの夏、終戦69年をむかえた。
戦争を知らない子どもたちは69歳になった。

映画監督・大林宣彦は今年76歳。
7歳のとき、終戦を経験した。
そのときの空気を彼はこう振り返る。

生者と死者の区別があまりなくて、
亡くなった人がすぐそばにいる感覚で育った。
学校の行き帰りではお墓が遊び場だったし、
ひいじいちゃん、ひいばあちゃんの遺影が置かれた座敷に入ると
2人が話しかけてくる気がした。
戦地に赴いたおじちゃんがお骨になって帰ってきたときには、
セミがうるさく鳴く中、にいさんが僕の頭をやさしくたたいた。

子ども心にその空気は、絶対に忘れてはならないと思った。
だから大林はいまも映画を撮るという。
正義を語るためではなく、
人間が正気でいられるようにと祈って。

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