あの人のラブレター/ベートーヴェン
ドイツの作曲家、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。
生涯独身を貫いた彼だが、
多くの女性との淡いロマンスを経験している。
その相手は、既婚者だったり、婚約者がいたり、
あるいは、自分とは不釣り合いなほどの身分の人だったり・・・。
42歳のとき、ベートーヴェンは、衝撃的な恋をする。
相手の名前は、未だに明らかになっていない。
ちょうど交響曲第七番が完成した年に、こんなラブレターを書いていた。
貴方がどんなに私を愛していようと・・・
私の貴方へ愛のほうが勝っているはずだ・・・
でも、私の前から決して姿を消したりなさらないように・・・
おやすみなさい・・・ああ、神様・・・
これほど近くにいるのに!これほど遠いとは!
残念ながら、このラブレターが読まれることはなかった。
彼の死後、遺品の中から発見されたからだ。
この切ない真実を聞いて、少しほっとする。
青春時代、真夜中に書いたラブレター。
次の日になると考え直して、そっと机の中にしまいこむ。
おそらく同じ体験を、ベートーヴェンもしていたのだから。