創造のジンクス⑤「キルケゴールの砂糖」
哲学者キルケゴールの
コーヒーの飲み方は一風変わっていた。
まずカップに縁より高い砂糖の山を作る。
上からとびきり濃いコーヒーを注ぎ、
白いピラミッドをゆっくり溶かして一気に飲む。
大量のブドウ糖は新たなエネルギーとなり、
彼の脳みそを一日中活発に動かし続けた。
絶望は死に至る病
と説いたキルケゴール。
心が疲れたとき甘いものが欲しくなるのは、
ちゃんと理由があるらしい。
創造のジンクス⑤「キルケゴールの砂糖」
哲学者キルケゴールの
コーヒーの飲み方は一風変わっていた。
まずカップに縁より高い砂糖の山を作る。
上からとびきり濃いコーヒーを注ぎ、
白いピラミッドをゆっくり溶かして一気に飲む。
大量のブドウ糖は新たなエネルギーとなり、
彼の脳みそを一日中活発に動かし続けた。
絶望は死に至る病
と説いたキルケゴール。
心が疲れたとき甘いものが欲しくなるのは、
ちゃんと理由があるらしい。
docmoreau
創造のジンクス⑥「アームストロングの民間療法」
トランペッター、ルイ・アームストロングにとって
人生は旅そのものだった。
2万年くらい飛行機や列車に乗って来た気がする
そうボヤくほど毎晩どこかの町で演奏する日々。
健康を保つため、彼は民間療法にのめり込んだ。
喉を洗う効果があると信じて蜂蜜を飲み、
唇に手作りの怪しげな軟膏を塗り付けた。
医者たちの呆れ顔をよそに彼は常に健康で、
どんなにハードなツアーでも、
毎晩ハイレベルな演奏をこなし続けた。
人前で披露できなきゃ
音楽なんてなんの価値もないからね
彼にとってそれは習慣を超えた、
最高の音楽を届けるための儀式だった。
創造のジンクス⑦「ベケットの暗闇」
これからずっと
暗くふさぎこむことになるだろう
ある晩、荒れ狂う嵐を前に、
サミュエル・ベケットは悟った。
自分の暗さこそ長所だと、
やっと認めることができたのだ。
翌日から彼は部屋に引きこもり、
自らの心の深淵を探った。
そうして生まれたのが、
傑作「ゴドーを待ちながら」。
どんな暗闇にも、光明は隠れている。
創造のジンクス⑧「江口寿史のスケッチ」
カワイイ女の子を描かせたら
右に出る者のない漫画家、江口寿史。
その寡作さ故に「天才」と呼ばれる彼にも、
若い頃人知れず続けた練習がある。それが、
5分スケッチ
雑誌で気に入った写真を見つけたら、
すかさずスケッチする。条件は、
下描きなし、5分以内、できればペンで
失敗していい。時間をかけなくていい。
練習だからこそ楽しまなくちゃいけない。
大切なのは写真をそのまま描くのではなく、
水の中に入ったらモノはこう歪むんだとか、
水にぬれた服はこう張り付くんだなどの発見を
自分なりに描くこと。
画力とは記憶力である
彼が描く女の子は世界中のどこにもいない。
それは彼の頭の中にだけ存在する。
rahen z
一年の抱負①「村上春樹の早起き」
傑作は朝、生まれる。
作家村上春樹の朝は早い。4時に起き、午前中に執筆。
午後はランニングで体を鍛え、9時には就寝。
彼はこの生活をもう25年も続けている。
小説を書くには精神力だけでなく体力がいる
デビュー直後、座りっぱなしの毎日で太った彼は
生活を根本的に変えることを決意。
田舎に引っ越し、タバコをやめ、
野菜と魚中心の食生活に変えた。
こんな暮らしにも一つ欠点があると言う。
それは人づきあいが悪くなること。でも彼は言う。
読者とのつきあいの方がずっと大切だ
さて、新年。
今年の抱負は「早起き」なんていかがでしょう。
思わぬ傑作が生まれてくるかもしれません。
一年の抱負②「カントの画一性」
人間の性格は40歳で完成する
ドイツの哲学者カントは言った。
自分にとって何がいちばん自然な生き方か、
人は経験からようやく選べると言うのだ。
彼自身が40歳で選んだのは、
機械のような規則正しい生活だった。
故郷の町からほとんど出ず、
ほんの数時間で行ける海にさえ行かない。
彼が散歩に出るとちょうど3時半だとわかる
そう噂されるほど判で押したような暮らしを、
彼はそれから40年も続けた。
実はそれは、生まれつき病弱だった彼の、
一日でも長く生きるための必死の工夫だった。
さて、新年。たとえ何歳であっても、
規則正しい生活を始めるのに
遅すぎることはなさそうです。
一年の抱負③「ユングのシンプル」
もし16世紀の人がわが家を訪れても、
目新しいものはランプとマッチくらいだ
20世紀スイスが生んだ偉大な精神医学者ユング。
自然の暮らしの中でこそ、
人は本来の自分に戻ることができる。
そう考えた彼は人里離れた小さな村に
電気も電話も水道もない石造りの塔を建て、
生涯をそこで過ごした。
井戸から水を汲む。薪を割り、食事を作る。
こういった単純な行為が、人間を単純にする。
だが単純であることがいかに難しいか!
それは人間の「無意識」を研究し続けた、
ユングらしいシンプルな生き方だった。
さて、新年。たまにはスマホから顔を上げて、
自分とゆっくり過ごしてみませんか。
SiefkinDR
一年の抱負④「チャイコフスキーの散歩」
人間には1日2時間の散歩が必要だ
ロシアの作曲家チャイコフスキーは頑にそう信じていた。
もし5分でも早く帰ってきたら、病気になるか、
とてつもない不幸に見舞われるとパニックになった。
ある意味、その妄信は正しかったのかもしれない。
彼の曲はほぼ全て、散歩中に生み出されたものだった。
曲作りにおいていちばん大切なことは、種、
つまり曲の中心となるアイデアが生まれること。
そして種を育むのにいい土壌があることだ。
彼は心身を常にヘルシーな状態に保つことで、
曲の種が伸び伸びと育ち、花開く環境を整えた。
さて、新年。今年こそ運動不足解消!
と誓った人も多いでしょう。
でも人間にとって本当にダイエットが必要なのは、
体より頭の中なのかもしれません。
カルティエ・デザイン①「トリニティとコクトー」
この世にまだない指輪が欲しい
1923年のある日、詩人ジャン・コクトーが
フランスの高級ブランド、カルティエを訪れた。
小説「肉体の悪魔」の作者にして最愛の恋人、
レイモン・ラディゲへの贈り物。
そうして生まれたのが、
クリスマスプレゼントとして
日本でも人気の高い
トリニティリング
トリニティとは「三位一体」のこと。
絡み合う白、黄色、ピンクのゴールドは、
「友情」「忠誠」「愛」を意味する。
しかしラディゲは病のため、
指輪の完成を待たずに
二十歳の若さでこの世を去る。
哀しんだコクトーは
ラディゲと自分の2つのトリニティリングを
終生同じ指にはめ続けたという。
カルティエ・デザイン②「サントスと飛行機」
飛行中でも操縦桿から
手を離さずに時間を見たい
1906年のある日、
ブラジルの飛行機王サントス・デュモンが
フランスの高級ブランド、カルティエを訪れた。
時計といえばまだ懐中時計が一般的な時代。
腕時計は小さな懐中時計に革ひもをつけただけの
女性のアクセサリーでしかなかった。
デザインも機能も妥協しない、
男性が堂々と使える腕時計を作りたい。
そうして生まれたのが世界初の紳士用腕時計、
サントスウォッチ
現在、多くの高級時計で使われている
金属製の留め金具、通称「Dバックル」も、
カルティエの発明である。
今を告げる時計に、
カルティエは未来を見ていた。
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