フェルマーの遺産「ワイルズ③ 滑落」
発表しただけでは正しいことにならない。
アンドリュー・ワイルズが発表した
「フェルマーの最終定理」の証明。
この数学史上最大の難問を証明する論文は、
6人の一流数学者たちの目で審査されることになった。
彼らは疑問が生じるたびメールで質問を送った。
ワイルズはどのメールにもすぐ返事を返したが、
ある一通にだけ返信が遅れた。
一週間たっても、一ヶ月たっても返事はなかった。
世紀の証明に、重大な誤りが見つかった。
フェルマーの遺産「ワイルズ③ 滑落」
発表しただけでは正しいことにならない。
アンドリュー・ワイルズが発表した
「フェルマーの最終定理」の証明。
この数学史上最大の難問を証明する論文は、
6人の一流数学者たちの目で審査されることになった。
彼らは疑問が生じるたびメールで質問を送った。
ワイルズはどのメールにもすぐ返事を返したが、
ある一通にだけ返信が遅れた。
一週間たっても、一ヶ月たっても返事はなかった。
世紀の証明に、重大な誤りが見つかった。
フェルマーの遺産「ワイルズ④ 遭難」
惜しみない賞賛は、
耐えがたい非難に変わった。
アンドリュー・ワイルズが発表した
「フェルマーの最終定理」の証明には
重大な欠陥があった。
ジーンズ会社から
広告出演依頼まで受けた男は、
いまや世界的なペテン師だった。
彼の下には完全な証明を求める声が殺到した。
メールを無視し、電話番号を変えてまで
ワイルズは修正を急いだ。
しかし1年経っても進展はなかった。
彼はかつての教え子、
リチャード・テイラーに助けを求めた。
テイラーは言った。
あと1ヶ月。
1ヶ月だけ頑張ってみましょう。
フェルマーの遺産「ワイルズ⑤ 登頂成功」
350年間、世界中の数学者の前にそびえ続けた、
数学史上最大の未踏峰「フェルマーの最終定理」。
イギリスの数学者アンドリュー・ワイルズは
頂上まであと一歩のところで遭難しかけていた。
ザイルを投げたのは、またも日本人だった。
1994年9月19日、月曜の朝。
天啓がワイルズを打った。
岩澤健吉の編み出した「岩澤理論」。
この代数的整数論を使えば
証明が完成することに気づいたのだ。
なぜ今まで気づかなかったのか不思議なほど
単純で優雅なとても美しい瞬間でした
翌朝、彼は証明をもう一度精査すると、
妻に「できたと思う」とだけ告げた。
350年間の謎がついに雪解けを迎えた。
数学者ヤコービは言った。
数学は人間精神の栄光のためにある
非難と恥辱に塗れた8年間。
ワイルズは努力と信念と勇気、
何より数学への愛でそのすべてを乗り越えた。
それは、まぎれもなく人間精神の勝利だった。
フェルマーの遺産「セーガン」
宇宙人に聞きたいことはありませんか?
アメリカの天文学者カール・セーガンは時々、
宇宙人とコンタクトできると称する人から
そんな手紙をもらうことがある。
聞けば、宇宙人はとても進歩しているらしい。
だからセーガンは決まってこう尋ねる。
フェルマーの最終定理を証明してください
返事をもらったことはまだ一度もないそうだ。
DigiDreamGrafix.com
キングの道具箱①「誕生日」
ドライバー1本で足りるのに
なぜ道具箱を持ち歩くの?
少年は叔父に尋ねた。
ネジを閉めながら叔父は答えた。
急に必要になったとき、
手元にないと困るだろ?
少年は30年後、
モダンホラーの帝王
と呼ばれるベストセラー作家になった。
「スタンドバイミー」「グリーンマイル」
「ショーシャンクの空に」など、
数々の名作で知られる彼の名は、
スティーブン・キング。
彼は著書「書くことについて」の中で、
物書きに必要な物もまた、
自分専用の道具箱
だと言う。
今日で66歳になるキングだが、
その創作意欲は一向に衰えない。
きっと彼の道具は、
今もサビひとつなく
ピカピカに違いない。
キングの道具箱②「受動態と副詞」
道具箱の一段目には、
普段最もよく使う物が入っている。
作家の場合、それは
語彙と文法
だ。
基本的には手持ちのものを使えばいい。
言葉を無理に飾ろうとすれば、
却って恥をかくだけだ。
ただし、とスティーブン・キングは続ける。
受動態と副詞は臆病者の好物である
言い回しが単純すぎはしないだろうか。
読者に分かりにくいのではないだろうか。
下手な文章の根底には、
大抵この手の不安がある。
しかし実際はどちらも文章を、
複雑で間延びさせるだけに終わる。
彼は言う。
小説はテストやレポートじゃない。
他人の目に自分の文章がどう映るか
なんて気にするべきじゃない。
簡潔に、ありふれた物言いは避け、
自信をもって能動態で書き進めること。
後は読者が勝手に想像してくれる。
それこそ読書の醍醐味なのだから。
キングの道具箱③「段落」
作家スティーブン・キングが考える
物書きの道具箱の二段目にあるもの。
それは、
段落
だ。
多くの日本人は段落について
改行程度の認識しか持たない。
元々日本語には存在しない
文法なので無理もない。
しかし段落には明確なルールがある。
一つの段落では一つの事柄だけを述べ、
冒頭ではその要約を述べること。
キングは言う。
その本が読みやすいかどうかは、
中身を読まなくても分かる。
一段落が短く、余白が多い。
しかし、その後でこう付け加える。
言葉は無理に
ネクタイを締めなくてもいいし、
ドレスシューズを履かなくてもいい。
大事なことはルールよりリズム。
言葉の鼓動に耳を澄ませること。
Darren W
キングの道具箱④「読むこと」
三流は一流になれないし、
一流が超一流になることもない。
しかし二流が一流になることはできる。
作家スティーブン・キングは言う。
必要なことが2つある。
たくさん読み、
たくさん書くことだ。
彼が考える物書きの道具箱。
その最後の段には何もない。
あとは実践あるのみだ。
しかし書くためには、
読まなければならない。
読書は作家の創作活動の中心にある。
読む時間がないのに、
どうして書く時間がとれるだろう。
キングが考える作家の最大の敵。
それは、
テレビ
だ。彼曰く、
テレビは時間をとりすぎる。
テレビを切れば文章だけでなく、
人生の質も上がる。
どうやらインターネットにも、
同じことが言えそうだ。
キングの道具箱⑤「ドアを閉める」
傑作を書くのに、
雑誌に出てくるような
オシャレな部屋は必要ない。
高級な机も文房具もいらない。
必要な物はただ一つ。
ドア
だ。
スティーブン・キングは言う。
夢は寝室だけで見るものじゃない。
作家にとって書斎は、
八時間たっぷり
創造的睡眠をとる場所だ。
そのためにはドアを閉め、
外のノイズをシャットアウトすること。
うるさくてはいい夢は見られない。
それは、白昼夢にも当てはまる。
キングの道具箱⑥「ストーリー」
物語とは地中に埋もれた化石
のようなものだ
スティーブン・キングは言う。
作家は道具箱を使って
化石をできるだけ完全な形で
掘り出さなければならない。
すべての物語には固有の形がある。
しかしどんな形をしているかは、
掘り出してみるまでわからない。
大切なのは形に逆らわないこと。
作家の仕事はストーリーに成長の場を与え、
それを文字にすることだ。
私は主人公を窮地に立たせ、
どう脱出するか見守っているだけだ。
小説は単にその成り行きを、
書き留めたものに過ぎない。
書いている本人にも結末はわからない。
予め筋書きを立てることにも
キングは懐疑的だ。
そもそも人生に筋書きがあるかい?
仏師の円空は
木に棲む仏像を取り出した
と言い、彫刻家ミケランジェロは
石に囚われた天使を自由にした
と言った。
古今東西、創造とは即ち、
美の発見のことらしい。
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