宮本武蔵
天下無双の剣豪、
宮本武蔵。
勝利を追求しつづけた人生が
そこにはあった。
そんな彼によれば
恋愛にも
必勝法があるという。
師曰く、
恋をせば 文ばしやるな 歌よむな。
一文なりと銭をたしなめ。
恋をしたならば、
ラブレターなんて書くな。
歌なんぞ詠むな。
とにかく一円でも多く
お金をためなさい。
どうやら恋愛も、
勝利のためには、
手段を選んではいられないらしい。
ネルソン・マンデラ
期待をしない。
希望をもたない。
そんな人生も悪くない。
けれども
ネルソン・マンデラの人生は違った。
牢獄の中で27年間。
彼は自らの希望のために闘いつづけた。
そして国を動かした。
のちに彼は、
南アフリカ大統領の就任スピーチでこう語った。
わたしたちが怖れているもの。
それは自分が無力だということではない。
わたしたちが最も怖れているもの。
それは自分には計り知れない力があるということだ。
そこには不安がある。
失望への恐怖がある。
そんな人生のなんと素晴らしいことよ。
リー・ストラスバーグ
リー・ストラスバーグの
名前は知らなくとも
彼の教え子の名前なら
あなたも知っているはずだ。
アル・パチーノ
ロバート・デニーロ
ジェームス・ディーン
ダスティン・ホフマン
ジャック・ニコルソン
数々の名優たちが
ストラスバーグの主催する
アクターズ・スタジオで
その演技を磨いた。
主役なんてものは存在しない。
人生には主役なんてない。
誰もが登場人物にすぎないんだ。
そんな彼の教えは、
幾人もの魅力的な主役を
スクリーンへと送り出していった
ハル・ベリー
女優、ハル・ベリー。
2001年、
アフリカ系アメリカ人女性として
初めてアカデミー主演女優賞を受賞。
けれども僕たちが
彼女の本当の偉大さを知ったのは
それから2年後のことだ。
その年、
不幸なことに
彼女の主演作が
最低な作品に贈られる映画賞
ゴールデンラズベリーアワードを
受賞することになった。
なかば冗談として行われたラズベリー賞の授賞式。
なんとそこには、
ハル・ベリー本人の姿があった。
そればかりか彼女は、
左手にオスカー像、
右手にラズベリー像を握りしめて
スピーチをし、
あげく涙まで流してみせた。
偉大なる女優の
すばらしい演技に
観客たちは万雷の拍手でこたえた。
伊丹十三
男は、
51歳にして
映画監督になった。
彼は映画監督である前に、
俳優だった。
エッセイストだった。
雑誌編集者だった。
デザイナーであり
イラストレーターであり
CMプランナーでもあった。
ドキュメンタリー作家と
呼ばれたりもしていた。
だからだろうか。
伊丹十三が撮る映画は、
いつも
あちこち
普通じゃなくて
なんだかとても
おもしろかった。
柳宗理
柳宗理のつくるやかんは、
やかんらしいカタチをしている。
けれどもそれはとても美しい。
やかんが美しいなんて
思ったこともなかった。
そんなことに気づかされるくらいに。
彼は言う。
本当の美は、生まれるもので、つくり出すものではない。
柳宗理のつくるやかんは、
やかんらしいカタチをしている。
だからこそそれは
とてもとても美しい。