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小林慎一 15年2月21日放送

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損する脳

損をする性格を調べるある実験が行われた。

提案をする人は受け取る人に、
1000円を自由に分配する権利があり、
2人がその金額に合意しないと1円ももらえないとする。

700円、300円や900円、100円といった
不平等な提案をされた時、

1円ももらえないと分かっていても
それを拒否する人は
怒りっぽい性格かと思われていたが、
そうではなかった。

拒否する傾向にあるのは、
間違ったことが嫌いで、
他人を信頼しやすい人であることが分かった。

親譲りの無鉄砲で、子供のころから損ばかりしていて、
赤シャツのずるさが許せなかった坊っちゃん。

坊ちゃんが損ばかりしているのは、短気だからではなくて、
彼のまっすぐな性格が原因だったことを
脳科学は明らかにしたのであった。

2月21日は漱石の日

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小林慎一 15年2月21日放送

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漱石の心

夏目漱石の心の病と、
小説の描写との関連を研究している論文が
数多く出されている。

子供への激しい折檻や、
ひどい癇癪については妻「鏡子」の記した
「漱石の思ひ出」の詳しい。

しかし、明治生まれの父親で、職業は小説家。
病気と言えるほどのことだったのかは疑問である。

1915年。漱石は5度目の胃潰瘍で倒れる。
泣き崩れる四女愛子を、鏡子が叱った。
その時、漱石は愛子にこう言った。
「いいよ、いいよ、もう泣いていいよ」
これが漱石最後の言葉だったという。

今日、2月21日は漱石の日。
「ただの夏目なにがしとして暮らしたい」と言って
文学博士号を辞退した日に由来している。

2月21日は漱石の日

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小林慎一 15年1月31日放送

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白銀の神様篇

インゲマル・ステンマルク。
アルペンスキーワールドカップ歴代1位の通算86勝。

100分の1秒代の争いになることも珍しくない
スキーレースにおいて
彼は、大回転で4秒09の大差をつけて優勝するという記録を持つ。

スウェーデンの首都ストックホルムから北に1200キロ。
人口600人の小さな村「テナビー」がステンマルクの生まれ育った村だ。
そこにある全長500メートルのちっぽけなゲレンデで
彼はスキーの練習に打ち込んだ。

ステンマルクは
1975年から3シーズン連続で優勝を飾る。
オーストリアやフランスといった
アルペン大国で英才教育を受けたライバル選手達に
「ステンマルクに次ぐ2位は、1位と同じだ」と言わしめた。

彼の履いていたスキー板が、エランという
アルペン大国のメーカでないことも運営側の不評を買い
総合優勝のポイントの計算方法が、彼に不利なように改定されてしまう。

「ルールが改定され、総合優勝できなくなっても、なぜ滑り続けるのか」
とのインタビューにステンマルクはこう答えている。

「子供のころ、砂いじりやトランプに時間を忘れて夢中になったよね。
それと同じことなんだ」

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小林慎一 15年1月31日放送

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City of Calgary
白銀の爆弾篇

まるで筋肉の固まりが
転がってくるかのような爆発的な滑りで、
「トンバ・ラ・ボンバ」、トンバ爆弾、
と呼ばれたアルベルト・トンバ。

ワールドカップ通算50勝。
カルガリーオリンピックで2つの金メダルを取り、
リレハンメルでは、大回転で史上初の連覇を達成。

女性ファンと気さくにリフトに乗り、
例え不本意なタイムでゴールを切っても観客の声援に応える。
彼は陽気なイタリア男そのものだった。

ニュージーランドワールドカップでのこと。

栄養士による食事管理で腹を空かしていたトンバは、
人口800人の小さな村「メスベン」にひとつだけあるピザ屋に通い
メニューにない、具材を全部トッピングしたピザを、夜な夜な楽しんだ。

そのピザはトンバ・スペシャルと呼ばれ
メスベンで知らないものはいない人気裏メニューとなった。

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小林慎一 15年1月31日放送

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marfis75
白銀の鉄人篇

ルクセンブルクのマーク・ジラルデリ。
彼は、もともとはオーストリア生まれである。

マークの父親とコーチが指導方法で対立。
ナショナルチームを飛び出し、
オーストリア代表として出場できなくなっため
ルクセンブルクに国籍を移す。

それ以来、親子2人でのワールドカップへの挑戦がはじまり、
1985年から、2シーズン連続で総合優勝を飾る。
試合前、マークが練習をはじめると
イタリアやドイツなどの選手やコーチが集まってくる。
大所帯のナショナルチームが、
一人しか選手のいない国の練習を熱心に見つめた。

ワールドカップ総合優勝5回、通算46勝。
獲得したメダル14個。うち金メダル4個。

そして、この数字も忘れてはいけない。
マークは、何度も大けがを負い、
13回手術を受けたが、そのたびにレースに復活した。

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小林慎一 15年1月31日放送

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Kevin Pedraja
白銀の奇跡の人篇

最高速度160キロ、アルペンスキー「滑降」。

ノルウエーのアクセル・ルンド・スビンダルは、練習中に転倒し、
顔面骨折に加え、スキー板で身体を深く切る大怪我を負った。

しかし、彼は、事故を起こした
ビーバークリークでの大会で優勝を飾り、
そのシーズンのワールドカップで総合優勝に輝く。

通常、人は1分間に20回まばたきをするが、
スビンダルはレース中は、1分に1回しかまばたきをしない。

また、高速になると、活動しなくなる
位置関係を判断する脳の部分が、
スビンダルの場合、活発に活動していた。
事故と向き合い、恐怖をコントロールしたいと願うことで、
強化された脳を手に入れたのだ。

スビンダルは、こう言う。

「極限の状態を経験することは、
それがよくないことでも、成長するチャンスです。」

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小林慎一 14年10月18日放送

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Uwe Hermann
新しい世界・女性リーダー

レネイ・ジェームス。
世界で10万人の従業員をかかえるハイテク企業インテルの社長。
2児の母でもある彼女は、
世界で最も影響力のある女性の一人に選ばれている。
若い頃なら、
ビジネス界で最も影響力のある一人でいいじゃないか、と怒っただろう。
しかし、今は、女性という枕詞がついてもいいと思っている。
自らがお手本となって、他の女性のためになりたいと考えているからだ。
ハイテク業界の特に、技術畑で働く女性は極端に少ない。
女性が技術者をあきらめる時期が2回ある、とジェームスは言う。
ひとつは、家庭をつくる時。
もうひとつは、中学生の時に訪れる。
女性に対する社会の期待を自覚するころだ。
そんな女性たちに彼女は、こうメッセージを送っている。
「女が頭が良くても大丈夫。それは、とてもステキなことなのよ」

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小林慎一 14年10月18日放送

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caseorganic
新しい世界・バイオニックアーム

ジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所の
マイケル・クロフリンは言う。
「このバイオニックアーム、我々はモジュール型義手と呼んでいますが、
 本物の手ができることを、ほとんど何でもやれます」
重さは、普通の腕とほぼ同じ約4kg。
26の独立した関節があり、100のセンサーと、17のモーター、
そして、コンピュータを備えている。
例えば、腕を失った人が、このバイオニックアームをつけたとする。
腕の切断面から、神経を伝わる電気信号を読み取り、
できあがった不規則なパターンをコンピューターが認識して
バイオニックアームを動かす。
つまり、普通に腕を動かそうとすれば、その通りに動くのだ。
しかも、流れるように、滑らかに。
「私がつくっているのは、腕や手をなくされた皆さんの可能性です」
マイケルは、さらにこう付け加えた。
「そして、そう遠くない日に、ピアノを弾けるようになるでしょう」

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小林慎一 14年10月18日放送

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新しい世界・赤ちゃん

箱を開けようとしている人形を助ける、いいウサギ。
それを邪魔する、悪いウサギ。
赤ちゃんの90%が、いいウサギを選んだ。
クラッカー好きのネコと、シリアル好きのネコ。
クラッカー好きの赤ちゃんは、クラッカー好きのネコを選ぶ。
しかも、クラッカー好きのネコが悪さをし、
シリアル好きのネコがいいことをしたとしても、悪さをしたネコを選ぶ。
さらには、シリアル好きのネコに、親切な犬と、意地悪な犬では、
クラッカー好きの赤ちゃんは、意地悪な犬を選ぶ。
イェール大学「赤ちゃんラボ」の研究で
赤ちゃんは、善悪を判断でき、
意見が同じものを好み、違うものを嫌うことが分かって来た。
性善説か、性悪説か。
紀元前3世紀から続くこの論争に、終止符を打とうとしているブルーム教授はこう言う。
「道徳観を植え付けるのではなく、善の心の花を咲かせることが大切です。
 私たち人間は、善と悪の両方の心を、生まれながらに持っているのですから。」

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小林慎一 14年10月18日放送

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Alessandra Kocman
新しい世界・ソーシャルネットワーク

いまだ接続できない50億人の人々のために
インターネットの通信網をひろげるプロジェクトが始まっている。
人口密度の低い場所には、人工衛星を使い
人口密度の高い場所は、太陽電池で飛ぶ新開発の無人飛行機を使う。
民間航空機の邪魔にならず、天候にも左右されない上空2万メートルを飛ぶ。
旗ふり役は、フェイスブック。
この巨額の費用がかかる壮大なプロジェクトには
フェイスブックが50億人ものあたらしい潜在顧客を獲得できる
という商業的な意味合いはもちろんある。
しかし、目的はそれだけではない。
人々が自由に情報や考え方を共有できる
ソーシャルネットワークを禁止している国は多い。
アラブの春以降、その数は増えている。
中国をはじめ、中東の多くの国ではフェイスブックもツイッターも使えず、
トルコも今年、ツイッターを閉鎖した。
政府が管理することのできない自由なインターネット網をつくる。
真意はそこにある。
どんな場所にも平等に、人々が望めば即座に、
インターネットの中からジャンヌダルクが現れる。
そんな世界をつくろうとしているフェイスブックのCEOザッカーバーグはこう言う。
「このサービスがはじまれば、世界中の人々が、インターネットを通じて、
 自らが望む政府を自由に決定できるようになるでしょう」

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