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小野麻利江 15年1月25日放送

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はじまりのはなし キケロにとっての「はじまり」

新しい1年が、また始まった。

先行き不透明な、今日このごろ。
目標は心の中にあるけど、
カタチにできる自信が無い・・・
そう尻込みする人たちに、

古代ローマの哲学者、
キケロの言葉を贈りたい。

 始まりは、どんなものでも小さい。

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小野麻利江 15年1月25日放送

150125-08
armycat
はじまりのはなし 野矢茂樹の「はじめて考えるときのように」

あなたが生まれてはじめて
「考える」という行為をした時、
頭の中には、どんな景色が浮かんでいただろう。
目の前の世界は、どのように映っていただろう。

哲学者の野矢茂樹の著書に、
『はじめて考えるときのように』という本がある。
副題は「『わかる』ための哲学的道案内」。
それは、考えるということについて、考える本。

中学生くらいの子どもに寄り添うような
優しいまなざしでつづられた文章の中で語られるのは、
私たちの考えが日頃、いかに多くの「当たり前」や
「見えない枠」にしばられているかということ。

そして、ヒト・モノ・コト、出会ったすべてを
頭につめこんで、ゆさぶったのち、空っぽにする。
そのくり返しこそが、「考える」ことではないかと
野矢は言う。

本当に「考える」ということ。
それはきっと、はじめて考えるときのように、考えること。

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小野麻利江 14年12月21日放送

141221-07
sparrowsfall
クリスマスのはなし チャールズ・シュルツのクリスマス

スヌーピーの生みの親、
漫画家のチャールズ・シュルツはこう言った。

 クリスマスとは、ちょっとした余分のことを
 誰かのためにしてあげること。

誰かのためのちょっとの余分が、
雪のように積み重なる。
そんなクリスマスになりますように。

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小野麻利江 14年12月21日放送

141221-08
SkyD
クリスマスのはなし サイレント・ナイトのルーツ

クリスマスキャロルとしておなじみの
「サイレント・ナイト/清しこの夜」。
1818年のクリスマスの日、
オーストリアのとある村の教会で
ギターを伴奏に、初めて歌われたのがそのルーツ。
教会のオルガンを修理しにきた職人が、
その時の楽譜を写して持ち帰ったことをきっかけに、
ドイツや、海を越えたアメリカへ
一気に広まっていったという。

最初にギターで奏でられたのは、
ネズミが教会のオルガンをかじって
オルガンが壊れたせいだったとか、
メロディがあまりに見事なので
モーツァルトやベートーベンが
作ったのでは、と言われるなど
様々な逸話にも事欠かない
「サイレント・ナイト」だが、

敬虔なメロディで200年近く
聴く人を温かい気持ちにし続けてきたことは、
確かな事実である。

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小野麻利江 14年11月30日放送

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Junya Ogura
美味のはなし 伊丹十三とスパゲッティ

俳優、デザイナー、エッセイストののち、
映画監督としても名を馳せた伊丹十三は、
食に関しても、ひと言もふた言もある人だった。

そんな伊丹が、エッセイ集『女たちよ!』の中で、
「スパゲッティ・ナポリタン」に憤慨している。

 なにゆえに日本人はスパゲッティに
 鶏やハムや海老やマシュルームを入れて
 トマト・ケチャップで和えるようなことをするのか。

なんでも、トマトケチャップの味が
「甘ったるくて貧しい味」だというし、
一品だけ食べれば満足できるという
日本の洋食の考え方じたいも、「貧しい」という。

話はそこから、スパゲッティの理想の茹で加減へと進む。
いまはすっかりポピュラーな「アル・デンテ」を伝えるべく、
ページを割き、ひとつひとつ手順を説いていく。

最後にもう一度、「天敵」スパゲッティ・ナポリタンを
揶揄して終わる、このエッセイ。

 低い次元にまで引きずりおろし、
 歪曲するということをするべきではない。
 根本精神をあやまたずに盗め!

日本人がつくるスパゲッティに苦言を呈しながら、
日本人の文化の取り入れ方を、嘆いていた。

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小野麻利江 14年11月30日放送

141130-04

美味のはなし ミシュランガイドの成り立ち

「美食のバイブル」として名高い、
「ミシュランガイド」。

1900年フランス。自動車旅行が活発になれば
タイヤも売れる、と目論んだ
タイヤメーカーのミシュラン社が発行をはじめた。

当初は無料で配られていたが、
ある修理工場で、作業台の足がわりに
積み重ねられているのを見た
創業者・ミシュラン兄弟は、こう考えたという。

 人間は、金を払って買ったものしか大切にしない

こうしてミシュランガイドは、
有料で販売されるようになった。

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小野麻利江 14年10月12日放送

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陶芸のはなし ハンス・コパーのキクラデス・フォーム

土台の上にあやういバランスで載った、弓なりの立体。
またその上に、細長い筒状の立体。

パーツそれぞれをろくろで挽き、
くっつけ、焼き上げたあと、
細い金属の芯で、本体と土台をつなげる。

この研ぎすまされた形の名は、
「キクラデス・フォーム(Cycladic Form)」。

陶芸家・ハンス・コパーが
古代エーゲ海の「キクラデス彫刻」に惹かれ、
つくりつづけた形。

晩年、ALS・筋萎縮性側索硬化症と診断され、
身体の自由が徐々に効かなくなってからも
キクラデス・フォームを片手でつくりつづけたコパー。

 どうやってつくるか、の前に、
 なぜつくるか。

みずからの理想の形を追い求め、生み出す。
その衝動は、終生尽きることがなかった。

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小野麻利江 14年10月12日放送

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JartLover
陶芸のはなし 河合寛次郎の芸術論

文化勲章や人間国宝を辞退し、
無位無冠の陶芸家でありつづけた、
河合寛次郎。

 自分を貫いてぶつけて
 無条件に自他に迫って行く事が芸術だ。

つねにまず、自分の為につくる。
そんな作品たちが、
今も多くの人の眼を惹きつける。

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小野麻利江 14年9月28日放送

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yomi955
日本の「食」 味噌・醤油と禅宗

鎌倉時代、曹洞宗の祖・道元は
料理をどう食べるべきかという心得を
こう説いている。

 食とは道、つまり仏法と同じ。

いまや和食に欠かせない調味料・味噌と醤油が
この時代に禅宗を学んだ僧によってもたらされたのも、
「肉食を避けながら、肉に限りなく近い味を
調味料で工夫して食べる」という
食を通じた、禅の修行のためであった。

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小野麻利江 14年9月28日放送

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Coolcaesar
日本の「食」 シリコンバレーの寿司職人

寿司職人の、佐久間俊雄。
アメリカ・カリフォルニアのシリコンバレーで、寿司を握ってきた。

そんな佐久間の店に、たびたび顔を出す男がいた。
スティーブ・ジョブズ。
菜食主義で、はじめは巻物ばかり注文していたというが、
じょじょに生魚のネタを頼むようになり、
そしてある日。唐突に佐久間に、

 穴子はあるか?

と尋ねてきた。
日本から冷凍して運んできた穴子を
佐久間が握って出すが、なかなか手をつけない。
その様子を見て、佐久間は、
(本物の穴子を出すから、ちょっと待っていてくれ)
という気持ちになったという。

ジョブズの次の来店にあわせ、
生け締めにした新鮮な穴子を日本から取り寄せ、出したところ、
普段あまり料理の感想を言わないジョブズから、

 It’s good!

という褒め言葉が飛び出したという。

部下だけでなく、寿司職人も奮起させていた
スティーブ・ジョブズ。
佐久間がそんな手強い客を相手にしていた26年ほどの間に、
シリコンバレーの和食も、イノベーションを遂げていった。

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