Adria Richards
呼吸のはなし マヤ・アンジェロウと息の数
酸素を吸い、二酸化炭素を吐く「呼吸」。
ヒトが生きるために、呼吸は欠かせない。
しかしヒトは必ずしも、
呼吸のみによって生かされているのでは
無いのかもしれない。
アメリカの女性作家、マヤ・アンジェロウは
こんな言葉を残している。
人間の価値は息をした数ではなく、
心奪われ、息をするのも忘れる瞬間を
経験した数で決まる
Adria Richards
呼吸のはなし マヤ・アンジェロウと息の数
酸素を吸い、二酸化炭素を吐く「呼吸」。
ヒトが生きるために、呼吸は欠かせない。
しかしヒトは必ずしも、
呼吸のみによって生かされているのでは
無いのかもしれない。
アメリカの女性作家、マヤ・アンジェロウは
こんな言葉を残している。
人間の価値は息をした数ではなく、
心奪われ、息をするのも忘れる瞬間を
経験した数で決まる
呼吸のはなし アスリートと呼吸
アスリートの商売道具は、
言わずもがな、「身体(からだ)」。
どんな競技・種目であれ、
アスリートたちはみずからの身体の使い方を
1ミリでも向上させるべく、
日夜トレーニングを続けている。
そして、身体の可能性を
極限まで高めようとする彼らにとっては、
「呼吸」の使い方も、身体の使い方。
多くのプロゴルファーを育てた
名指導者・坂田信弘も、
みずからの著作の中で、こんな話をしている。
ゴルフというのは、球を叩く、
その球を叩くのは、空気で叩くんです。
呼吸で叩くんです。
yu-sui.net & cooperators
喫茶の話 談話室滝沢
かつて東京に4店舗あった喫茶店、「談話室滝沢」。
広々とした店内は、長居のできる落ち着いた雰囲気。
黄緑色の椅子とカーペット、
そして、錦鯉が泳ぐ小さな滝がトレードマーク。
また、従業員は、すべて正社員。
社員寮で徹底した接客教育を行っていた。
しかしそんな滝沢も、
2005年に、惜しまれながら閉店。
従業員の確保とサービスの質を保つのが
難しくなったというのが、その理由だった。
喫茶というサービスにかける、並々ならぬプライド。
社長の滝沢次郎氏は、かつてこう語っている。
滝沢がお客様に売るものは
コーヒーではなく、
社員の人格・礼儀作法である
Daremoshiranai
鍋の話 中国の火鍋
お隣の国、中国でポピュラーな鍋料理といえば、
唐辛子が入った「火鍋」。
具材や調理法は地域によってさまざまで、
たとえば、北京より北の地方では、
食材の並べ方にも決まりがある。
鍋の手前に鳥の肉。後ろに動物の肉。
左に魚、右にエビを入れて、野菜を散らす。
さらに、招かれざる客が来た時は、
鍋の手前に、特大の肉団子を入れるそうだ。
鍋を囲むと、人と人の距離は
縮まっていくものだが、
「早く帰れ」と、人を遠ざける鍋もある。
鍋の世界は、鍋の底よりも深い。
_Nowo
大晦日の話し 蕎麦
大晦日に蕎麦を食べる由来には、諸説ある。
「細くて長いから、長寿につながる」とか、
逆に「切れやすいから、災いを断ち切れる」とか。
さらには、
金細工で飛び散った金粉を蕎麦粉で集めたことから、
「金(かね)を集めるもの」と縁起を担がれた、
という由来も有力だという。
今日は大晦日。
あなたはどんな願いをこめて
お蕎麦をすすりますか?
大晦日の話し 世界の大晦日
今日は大晦日。
日本では年越し蕎麦を食べ、
除夜の鐘をつきに、お寺に出かける人もいる。
今日は大晦日。
スイスでは、アイスクリームをスプーンですくって床に落とす。
「新しい年も幸運や平和、豊かさであふれるように」
という意味があるという。
今日は大晦日。
ルーマニアの一部の地域では悪霊を払うために、
クマの衣装に身を包み、ダンスをして年を越す。
今日は大晦日。
エストニアでは今日1日だけ、
7回・9回・12回など、何度も食事をする。
7・9・12が、エストニアの人にとっての
ラッキーナンバーだからだという。
国や地域によって過ごし方に違いはあれど、
「来年も良い年になるように」という願いは、世界共通。
今日は大晦日。
2017年最後の日。
wiserbailey
香りの話 香りの街・グラース
フランス南東部の都市・グラースは
世界的な「香水の都」と称され、
今もなお、フランス産の香水の半分以上は
ここで生産されている。
もとは革製品が主要産業だったが、
革手袋を外したときに手に残る臭いの対策として
「香り付き手袋」を売り始めたのが、香水づくりの始まり。
ラベンダー、ジャスミン、ローズマリー、
ミモザ、オレンジフラワー・・・。
温暖な気候に恵まれたグラースには
香りの原料となる花たちが数多く自生し、
今もなお、稀代の調香師たちの感性を刺激する。
エルメスの香水を手がける調香師、ジャン・クロード・エレナも、
グラースで調香師をしていた父親から、
香りについての「教育」を施されたことを語っている。
父は何か食べる前あるいは飲む前に
その一つ一つの素材をまず嗅がせるということを
僕と兄弟にさせてきました。
慌てて飲み込まず、ゆっくりと呼吸し、
思考することの喜びを発見しました。
写真のはなし ロバート・キャパの視点
20世紀を代表する
報道写真家、ロバート・キャパ。
キャパが向き合い、撮ろうとしたのは、
「戦火の真っ只中で、何が起きているか」。
カメラだけを携えて5つの戦争に従軍し、
名もなき兵士たちを撮り続けた彼は、
こんな言葉を残している。
君がいい写真を撮れないのは、
あと半歩の踏み込みが足りないからだよ
涙のはなし 殷富門院大輔の涙
見せばやな 雄島(をじま)の蜑(あま)の 袖だにも
濡れにぞ濡れし 色は変はらず
百人一首の中に、こんな恋の和歌がある。
詠み人は、平安時代末期の女流歌人、
殷富門院大輔(いんぷもんいんのたいふ)。
海女の袖でさえ、
どれほど波しぶきで濡れても
色が変わらないというのに。
あなたのつれなさを嘆く私の涙は
血の涙となり、
袖の色まで変わってしまった。
涙で袖を濡らすだけなら、
まだまだカワイイものよ。
平安時代の恋愛の先輩の、
そんな声が聞こえてきそうな一首である。
青のはなし 山下達郎「蒼氓」
シンガーソングライター・山下達郎の曲の中に、
「蒼氓(そうぼう)」という、難しいタイトルがある。
蒼氓の「そう」は、
くさかんむりに倉と書く「蒼(あお)」。
「ぼう」は、「亡くなる」の「亡(ぼう)」に
「民(たみ)」と書く、見慣れない漢字。
「名も無き人々」を、
道端に生える「名も無き青草」に喩えた言葉で、
作家・石川達三の芥川賞受賞作を
頭に置いてつけたという。
山下達郎がこの曲で形にしようとしたのは、
「ゴスペルのように、見知らぬ誰かと
喜怒哀楽を共有できるような音楽」。
幼い頃から賛美歌に触れ、
ゴスペルに対する憧れがあった彼の
ひとつの到達点が、ここにある。
憧れや名誉はいらない 華やかな夢も欲しくない
名も無き草は、花の美しさや葉ぶりの見事さを
称えられることもなく。
黙々と、しかし、青々と生い茂り、拡がっていく。
「蒼」という色には、静かな生命力が宿っている。
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