Edomura no Tokuzo
桜のはなし 「もったいない」が生んだ和菓子
江戸時代、長命寺に雇われて日々庭掃除をする山本新六という青年がいた。
彼が抱えていた仕事の悩みは、美しく咲き誇る桜並木。
通りすがりの人々を癒やす桜の木は、
秋になると桜の葉を落とし、地面を埋め尽くす。
庭掃除をしている新六にとっては宿敵だったのだ。
彼の悩みを解決したのは日本の美しき良き、「もったいない文化」
「そうだ。甘い餅を桜の葉で包めばお餅が乾燥しないし、
桜のニオイがお餅についてよい風味になるではないか!これは売れるぞ!」
と思いついたのが、今も愛される桜餅だ。
無限に手に入る桜の葉から桜餅を生み出した新六は、
勤めている長命寺に露店を構えた。
参拝にきたお客さんの口コミから、桜餅はたちまち有名に。
現在も、新六が開業した場所で、
当初の味をその子孫である主人が代々守り続けている。