正岡子規と夏目漱石
近代文学の礎を築いた文人、正岡子規と夏目漱石。
二人は日頃から、俳句や漢文などをつくっては見せ合う仲でもあった。
しかし年上の子規は、漱石の作品を見るたびに
辛口の批評をあびせたり添削したりする。
よしそれならと、今度は漱石、英語で詩を綴り子規に見せた。
「さすがの彼も英文にはお手上げだったらしい。
ただ、“VERY GOOD”と書いてもどしてきたよ」
と笑いながら後々まで人に語ったという。
英語の苦手な正岡子規に対するこの勝負は
技あり1本、漱石の勝ちだった。
マイケル・ジョーダンと1人のファン
この世には、まれに“神”と喩えられる人がいる。
バスケットボールの神様と呼ばれた「マイケル・ジョーダン」
もそのひとり。
スーパースターとして多くのファンに囲まれていた彼も、
あるファンのひと言には、「まいったね」と苦笑いする。
ある日、ジョーダンが家に帰ると
そのファンが待ちかまえていてこう言った。
「お父さん、今日ね、テレビでマイケル・ジョーダンを見たんだよ!」
そう言いながらおもちゃのバスケットボールを投げてよこす。
「ねえ、マイケル・ジョーダンごっこをしようよ」
目の前の人がテレビの中のジョーダンなんだと理解できるのは、
小さなファンがもう少しおおきくなってから。
神様も、家に帰れば、お父さん。ですね。
ドカベン作者水島新司と葉っぱのイワキ
野球漫画「ドカベン」の作者水島新司。
彼が描くキャラクターは、皆が個性をもち、
イキイキとしている。
その中でもひときわ元気で、「絶好球や!」が口癖の
葉っぱをくわえた無頼漢、岩鬼正美。
豪快なバッティングが取り柄の彼も、
ストーリー上、三振することだってある。
しかし事件は、その三振を描くシーンで起こった。
空振りする岩城を下書きし、ペンで原稿を仕上げていた時のこと。
「あ!打ってもうた!」
なんと、気づいたらホームランをかっ飛ばすシーンになってしまったという。
「あいつら、たまに、作者の言うこともきかん」
作者の手に負えないほど強烈な個性のキャラクターが活躍した「ドカベン」は
連載終了後も根強い人気を維持しつづけた。