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川野康之 18年3月10日放送

180310-01

砂糖の日

 ばらは赤く
 すみれは青い
 さとうは甘く
 あなたもおなじ

バレンタインデーの定番のマザーグース。
「甘い(sweet)」には、やさしい、かわいいという意味があるそうです。
イギリスやアメリカの子なら誰でも知っている歌。
スティーブン・キングの小説『キャリー』にはこの歌の替え歌が出てくる。

 ばらは赤く
 すみれは青い
 さとうは甘く
 キャリーはうんこを食べる。

2月14日はバレンタインデー。
3月14日はホワイトデー。
では今日3月10日は何の日でしょう。
こたえ、砂糖の日です。

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川野康之 18年3月10日放送

180310-02

砂糖の日

哲学者キルケゴール。
彼のコーヒーの飲み方はちょっと独特であった。
空のカップに砂糖をたっぷりと縁よりも高く盛る。
そこに熱々の濃いコーヒーを注ぎ、白い山をゆっくりと溶かす。
どろどろになった液体を一気に飲む。
甘ったるいコーヒーはキルケゴールの胃を通って、
新たな思考のためのエネルギーとなって脳に染みこんで行ったという。

今日3月10日は砂糖の日。

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川野康之 18年3月10日放送

180310-03

砂糖の日

酒豪というイメージが強いアーネスト・ヘミングウェイ。
意外にも早起きで、朝5時半から6時、
夜明けとともに起きて小説を書いていたという。
前の晩遅くまで飲んでいても変わらなかった。
しかし正午ぐらいには書くのをやめて酒を飲み始める。
キューバ時代によく飲んでいたのが
サトウキビから作られたラムをベースにしたカクテル、ダイキリ。
ラムの量を2倍にしたスペシャルレシピは「パパ・ダブル」と呼ばれていたそう。
これを一日に12杯は飲んでいたという。
やっぱり酒豪ですね。

今日3月10日は砂糖の日

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川野康之 18年3月10日放送

180310-04

砂糖の日

『附子(ぶす)』という狂言がある。
桶の中に附子という物が入っている。
まわりの空気に触れただけでも死んでしまうほどの恐ろしい毒である。
決して近づくな、と主が言う。
しかし太郎冠者の好奇心はひるまない。
扇であおぎながら蓋をあけて見ると、中にはなんだかうまそうなものが。
なめてみたらおいしい砂糖である。
弟分の次郎冠者と一緒にぜんぶ食ってしまった。
その後で嘘の言いわけを考える。
だって最初に嘘をついたのは主の方ですし。

今日3月10日は砂糖の日。

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川野康之 18年3月10日放送

180310-05
notarim
砂糖の日

1974年、春。
新しい春の歌が生まれた。
歌の中で、春は悲しみを暖炉で燃やしはじめる季節となった。
人はただコーヒーをかきまわしながら暖めあっている。
花もなく、雪解けもなく、おたまじゃくしもいない。
それは「何もない春」を歌ったものだった。
岡本おさみ、吉田拓郎という若い二人が作り、若い歌手森進一が歌った。

 君は二杯めだよね コーヒーカップに
 角砂糖一つだったね

今日3月10日は砂糖の日。
もう春です。

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川野康之 18年2月10日放送

180210-01

浜口庫之助が産んだ歌

ラテンバンドを結成して『紅白歌合戦』にも出場した浜口庫之助。
しかし何かが物足りなかった。
自分が本当に歌いたい曲がないことに、ふと気がついた。
「よし、それなら僕は作る方にまわろう」
歌手をやめて、作曲家をめざした。
お金はなかったが、歌を作るのは、自由で、楽しかった。
最初の曲が生まれた。

 僕の恋人 東京へ 行っちっち
 僕の気持ちを 知りながら
 なんで なんで なんで

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川野康之 18年2月10日放送

180210-02

浜口庫之助が産んだ歌

「音楽家は人生のラッパ手だ」と、浜口庫之助は言う。
大衆の気持ちを、生活の最前線に立って、わかりやすい言葉で歌にして吹いていく。
その歌の中には、生きている人間そのものがいる。
かっこつけない気持ちが歌になる。

 愛しちゃったのよ 愛しちゃったのよ
 あなただけを 死ぬ程に

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川野康之 18年2月10日放送

180210-03

浜口庫之助が産んだ歌

こんなことが歌になるのか。こんな小さなことが。
多くの人が驚いた。
どんなことでも歌っていいんだ。
それは日本人が新しい自分たちの音楽を手に入れた瞬間だったかもしれない。
この曲の後にフォークソング時代がやってくる。

 バラが咲いた バラが咲いた まっかなバラが
 淋しかった僕の庭に バラが咲いた

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川野康之 18年2月10日放送

180210-04

浜口庫之助が産んだ歌

作曲家とは歌を産むニワトリである、と浜口庫之助は語っている。
「僕を感激させるものに出会ったとき、僕は歌を産む」
生まれた歌は、人の耳に入ると、その人の心の中に生きる。
出会いと別れ。生と死。
ハマクラ・メロディーは人の一生の中で輝き続ける。

 恋は短い 夢のようなものだけど
 女心は 夢をみるのが好きなの

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川野康之 18年2月10日放送

180210-05

浜口庫之助が産んだ歌

浜口庫之助と出会って恋をして、結婚を決意する前。
真弓夫人は周囲の猛反対に会い、自分自身もぐらついたという。
何しろ、二人は27歳も離れていたのだ。
そんなとき、庫之助から眞弓に手紙が届いた。
便箋に楽譜が1行だけ書いてあった。

 ミファミドミー
 (愛してる)

真弓の気持ちは決まった。

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