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松岡康 15年4月19日放送

150419-04
Karyn Sig
モンキー博士

4月19日、今日は飼育の日。

モンキー博士として世界に知られる霊長類学者、河合雅雄。
寝ても覚めてもサル観察。
50年以上にわたって研究を続け
京都大学霊長類研究所の所長を務めるなど、
日本の「サル学」の道を切り開いた。

なぜサルを研究するのか?
あるインタビューで彼はこう答えた。

 霊長類学は、人間学なんです。
 人間が好きだからやっているんです。

サルを研究することで、
人間という生き物が浮き彫りになってくる。
河合は「人とはなにか」を探っていたのだ。

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松岡康 15年4月19日放送

150419-08
Igor523
伝書鳩の未来

4月19日、今日は飼育の日。

かつて手紙や薬を伝達するために飼育された伝書鳩。
人と伝書鳩との歴史は古く
紀元前約5000年のシュメールの粘土板にも
その記述があるという。

マリー・アントワネットは
獄中から一羽の鳩に希望を託し、外部の王党派と
連絡を取り合っていたとも言われている。

鳩の優れた認知能力と学習能力が
近年、科学的に明らかになりつつある。

児童が描く「上手な絵」と「下手な絵」を
「区別」させる訓練を行い、鳩がその「区別」を
学習できることが実験により確かめられたのだ。

役割を終えたかと思われた伝書鳩。
近い未来、別のかたちで活躍する鳩を
見られる日が来るかもしれない。

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松岡康 15年3月8日放送

150308-02
Turinboy
スランプ

今日は、漫画家水木しげるの誕生日。

60年近くにわたる漫画家人生で、
スランプはなかったのか。
聞いてみると水木はこう答えた。

 生きているかぎり描けばいいんです。
 スランプになったとか何とかいうのは、
 人にほめられたい気持ちが
 心の底に無意識にあるに違いない。

40歳を過ぎても、全く食べていけなかった水木。
それでも、好きな漫画をまっすぐに描き続け、
93歳の今でもまだ、描き続ける。

水木しげるの一番の能力は、
人の目を気にせず
好きなものを貫くエネルギーだ。

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松岡康 15年3月8日放送

150308-04
puffyjet
神様の嫉妬

今日は、漫画家水木しげるの誕生日。

漫画の神様手塚治虫。
ある出版社のパーティで彼は
一人の漫画家を捕まえてこう言い放つ。

  あなたの絵は雑で汚いだけだ。
  あなたの漫画くらいのことは僕はいつでも描けるんですよ。

その相手は、水木しげる。
手塚は水木の才能に驚き、嫉妬したのだ。

その場では何も言い返さなかった水木だが、
のちに手塚をモデルとした「一番病」という漫画を描く。
主人公は、一番になることばかりにあくせくする棺桶職人。
手塚を痛烈に皮肉った。

才能を認めているからこそ、反発する。
二人は生涯、ライバルであり続けた。

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松岡康 15年2月14日放送

150214-03
Fey Ilyas
恋する人工知能

人工知能が人間に
恋をするような未来は来るのだろうか?

「her/世界でひとつの彼女」は、
姿のない人工知能型OSのサマンサと、
中年男性セオドアの恋愛を描いた映画だ。

監督と脚本を手がけたのは、
奇才スパイク・ジョーンズ。

自分のことを何でも理解してくれる
サマンサに惹かれていくセオドア。
サマンサもまた、自分には無い複雑さを持つ
セオドアに惹かれていく。

セオドアはイヤホンをつけ、
外出中や旅行中でも声だけのサマンサと行動を共にする。
互いへの理解を深め、自分を省みる。
時にはケンカをし、いったん距離をおいてみる。

現実のカップルよりも
リアルな恋愛を、映画は描き抜いた。

そう遠くない未来、人工知能が私たちに
恋をする日がやってくるなら

その禁断の恋に、
人間はどう答えるのだろう?

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松岡康 15年1月17日放送

150117-03
Bujdosó Attila
焼け野原の建築

神戸市長田区にあるカトリックたかとり教会。
週末に住民が集まるホールは紙でできている。

阪神大震災で、教会はほぼ焼け落ちた。
焼け跡で青空ミサが開かれた日曜の朝、
建築家を名乗る男が、
「紙で教会を建てないか」と持ちかけた。
火事が頻繁に起きていた街に
紙で建てるなんてと神父は断った。

次の日曜も、その次の日曜も、
男は紙の建築の強さと施工の簡単さを説明した。
彼の名は坂茂(ばんしげる)。

その熱意に
「教会ではなく、住民が集まれるホールなら」と、
神父は承諾した。

高さ5mの紙でできた紙管58本を
長円形に配したホールは
「ペーパードーム」の愛称で
復興のシンボルになった。

トルコ、インド、
スリランカ、中国、イタリア。
地震や津波、洪水が起きると彼は現れ、
仮設の住宅や学校、ホールの建設をする。

2014年、坂茂は
建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞。
災害に立ち向かうその姿勢が
世界に認められたのだ。

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松岡康 14年12月14日放送

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プレハブの元祖

「プレハブ建築」に良いイメージを持つ人は多くはないだろう。
隙間風、騒音、耐久年数の短さ。
しかし日本のプレハブ第一号は強く頼もしかった。

1956年、戦後初の本格的な南極観測のため、
日本建築学会が総力をあげて作り上げた昭和基地だ。

風速60mのブリザードが吹き荒れる、
-50℃という過酷な環境でも建てられ
観測船に資材の積み込みが容易で、
ソリで運べる大きさや重さでないといけない。

建築家浅田孝の答は、プレハブしかなかった。

観測隊8人、10時間で建てられた昭和基地は、
その後20年以上にわたって南極観測隊の住処となり続けた。

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松岡康 14年11月16日放送

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Jeff Belmonte
結婚生活のコツ

許して、受け入れる。
今日は国際寛容デー。

結婚とは難しいものだ。
365日いつも一緒。
小さなことでイライラして、
喧嘩することもある。

そんなとき、
英王室の特別牧師まで務めた賢人
トーマス・フラーの言葉を
思い出してほしい。

  結婚前には両目を大きく開いて見よ。
  結婚してからは片目を閉じよ。

長所をよく見て、
短所は目をつぶる。
それが結婚生活を平和に送るコツなのだ。

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松岡康 14年11月16日放送

141116-06

松下幸之助の謝罪

許して、受け入れる。
今日は国際寛容デー。

1964年の大不況は家電業界を直撃し、
松下幸之助率いる松下電器の販売会社は
軒並み赤字に陥った。

ある日幸之助は販売会社の社長たちを熱海に招いた。
お互いに不満を爆発させ、話し合いは12時間にも及んだ。
最後の30分、幸之助は涙しながらいう。

 結局は、松下電器が悪うございました。

この謝罪が、場の空気を一瞬で変えた。
お互いが反省し合い、許し合い、協力を誓う。
その後、松下電器の改革は急速に進み、経営は回復する。

人は、互いを許すことで、
前を向くことができる。
きちんと謝ることは、
よりよき関係へのスタートラインなのだ。

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松岡康 14年9月21日放送

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うをのめ
宮沢賢治の原稿料

今日9月21日は、
宮沢賢治の命日である。

「銀河鉄道の夜」など、
時代を越えて愛される作品を
いくつも生みだした彼だが、
生前得た原稿料はわずか5円だった。

はじめて原稿料をもらった作品は、
雑誌『愛国婦人』に投稿した童話『雪渡り』。
その原稿料が5円。

以降、
詩集『春と修羅』と
『注文の多い料理店』を出版しているが、
それらは自費出版であり、ほとんどが売れ残った。

37歳で死去した直後から、
賢治の才能を見いだしていた草野心平らにより
その作品群が刊行され、
多くの人が彼の本を手に取った。

死後から81年経ち
賢治は日本で最も読まれている
作家のひとりとなった。

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