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松岡康 14年8月16日放送

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かずっち
ニコライの迎え火

今日8月16日は、京都五山送り火の日。
夏の終わりを告げる風物詩として有名なこの行事だが、
実は春に行われたことがある。

明治4年5月9日。
当時大国だったロシアの皇太子、ニコライが京都に訪れた際、
歓迎の意味をこめ五山すべてに火がともされた。

小国だった日本が行った、国を挙げての熱烈な歓迎。

しかしその3日後、訪れた滋賀県で悲劇がおこる。
警備を担当していた警官が、突然サーベルでニコライを斬りつけた。
怪我をおったニコライは、東京訪問を中止し日本を立ち去った。

歓迎のための『迎え火』が、
ニコライにとっては送り火となってしまった。

今年も多くの人たちが、
送り火を見に京都を訪れる。
その火に隠された、皮肉な物語を知るものは少ない。

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松岡康 14年7月27日放送

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Bluetooth

今日7月27日は、政治を考える日。

この放送を、
あなたはどうやって聞いているだろう。
ヘッドホンやスピーカーに、Bluetoothで飛ばして
聞いている人も多いかもしれない。

実はこのBluetooth、
実在の国王にちなんで
つけられた名称なのだ。

9世紀のデンマーク王、ハーラル1世。
彼のあだ名は『青い歯の王』。

戦争ではなく交渉によって
デンマークとノルウェーを統一し、
スカンジナビア最初の統一王国を築いた。
その平和的手法は、今でも高く評価されている。

「乱立した無線企画を統一したい」
Bluetooth開発者の頭には、
1000年以上前の「青い歯の王」が浮かんだのだ。

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松岡康 14年7月27日放送

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ケネディが敬愛する侍

今日7月27日は、政治を考える日。

1961年、第35代米国大統領に就任したジョン・F・ケネディは、
日本人記者団から「日本で最も尊敬する政治家はだれか」
という質問をうけ「上杉鷹山(ヨウザン)です」と答えた。

上杉鷹山は江戸時代中期に米沢藩を治めた大名だ。
17才で藩主となるが、当時、米沢藩は財政が破綻し、
土地は荒れ果て、廃虚のような家々が並んでいた。
そんな中、彼は改革に踏み切った。

自らの生活費を1500両から200両にまで減らし、
刀を鍬に持ち替えて土地を耕し始めた。

やがて彼の改革に共鳴した下級武士達が
自ら荒れ地を開墾して新田開発に取り組みはじめ、
家臣の妻子も養蚕や機織りに携わった。
改革は次第に大きな成果を挙げるようになった。

改革をはじめて18年。
35才の若さで、前藩主の息子治広に藩主の座を譲った。
その際、鷹山は息子をこう戒めた。

人民の為に君主があるのであり、君主の為に人民があるのではない。

日本にはかつて、世界に誇る政治家がいた。
今の日本、鷹山ならどう改革するだろうか。

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松岡康 14年6月15日放送

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[puamelia]
上を向いて歩けば

1963年6月15 日。今日は坂本九の『上を向いて歩こう』が
アメリカのビルボートチャートで1位を獲得した日。

上を向いて歩こう 涙がこぼれないように

「上を向いて歩く」
実はこの行為、ストレス耐性を鍛える効果があるという。

上を向くと、青い空が見える。
色彩心理学によれば青い色には「沈静」「クール」の意味があり、
心を冷静にしてくれるのだ。

また、明るい空の色は
副交感神経に作用して、脈拍や血圧を下げる。
体温も下がり、安らいだ状態に導いてくれる。

嫌なことがあったら、上を向いて歩いてみよう。
きっと、少しだけ心が強くなるはず。

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松岡康 14年6月15日放送

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keyaki
発車のベル

月曜日の朝。
京急川崎駅のホームには、
東京方面に出勤するサラリーマンたちで
ごった返している。
上りの電車が入ってくる。
そこに、電車接近を知らせるメロディが重なる。
「上を向いて歩こう」。

川崎生まれの坂本にちなんで、
2008年から電車接近メロディに採用されたという。

その優しいメロディは、
憂鬱そうなサラリーマンたちの背中を少しだけ押す。

さあ、明日は月曜日。
出勤の前にすこしだけ、
このメロディを思い出してみては
どうだろうか。

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松岡康 14年5月11日放送

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The 2-Belo
岐阜のラモス

熱いプレーで愛されたラモス瑠偉は、
今年FC岐阜の監督になった。
常に最下位を争っていたチームだ。

2014年の開幕戦。FC岐阜は3-1で快勝する。
開幕戦勝利は実に4季ぶりだ。

しかし、ラモスは激怒した。

 なんで3-0から自分たちのサッカーをやらなかったのか。
 オレは許さん。せっかくこれだけサポーターが来てくれているのに。

勝っても負けても、死ぬ気でやる。
熱い男のまっすぐなコトバ。

岐阜の弱小チームは、
今年、確実に生まれ変わろうとしている。

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松岡康 14年5月11日放送

140511-06
tamakisono
夢への10年

「10年後にはキャプテンマークを付けて、
ワールドカップのピッチに立つ」
Jリーガー中澤佑二が、高校の卒業文集に書いた夢。

彼の夢を信じる者はいなかった。
サッカーデビューが遅い中澤は
常に下手だと言われ続けた。

高校卒業後、無名の彼を
どのクラブも受け入れはしなかった。
フリーターになった中澤は、
後輩たちと練習を続けた。

ある日、母校のサッカー部と
ヴェルディ川崎ユースとの練習試合に
20才の中澤は年齢を隠して出場。
関係者の目にとまり、ヴェルディの練習生となる。
その後も彼は、凄まじい練習を続けた。

そして文集に書いた通り、
2006年ワールドカップのピッチに中澤は立っていた。

あきらめなければ夢は叶う。
でも「あきらめない」とは、それくらい長い時間が必要なのだ。

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松岡康 14年4月27日放送

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mitikusa.net
散歩する哲学者

今日、4月27日は哲学の日。

春には満開のサクラのトンネルとなり、
初夏には蛍が舞う京都、哲学の道。

哲学者西田幾多郎が
ここを歩きながら思索をした道だ。

哲学の道の中ほどの橋のたもとに、
西田の歌が刻まれた石碑がある。

 人は人 吾はわれ也 とにかくに 吾行く道を 吾は行くなり

西田は死ぬまで、
誰の生き方にも影響されず
自分の信じた道を歩みつづけた。

気持ちのいい春。
西田の様に思索をめぐらせ散策しよう。
そこに、自分だけの道が見つかるかもしれないから。

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松岡康 14年4月27日放送

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樽の中の哲学者

今日、4月27日は哲学の日。

その変わった生き方と深い思想から
狂ったソクラテスと呼ばれた
古代ギリシアの哲学者ディオゲネス。

ディオゲネスは欲望から解放されて自足すること、
動じない心を持つことが重要だと考え、
暗闇を恐れず、おいしいものを食べたいとも言わず、
ただ走りまわるネズミの生き方に共感したという。

彼は大きな樽を見つけ、そこに住み、
まるで野良犬の様に広場でメシを貪り食った。

変人にも見えるディオゲネスだが、
古代ギリシア人にはカリスマ的な人気があった。
彼は言う。

 つねに死ぬ覚悟でいる者のみが、真に自由な人間である

自由を突っ走るディオゲネスは、
人類最古のロックンローラーだったのかもしれない。

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松岡康 14年3月2日放送

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3度目の失敗

彫刻家オーギュスト・ロダン。
「考える人」で世界的に知られ
近代彫刻の父と言われる彼は、
意外にも美大の受験に3度失敗し
入学を諦めている。

その後ロダンは
室内装飾の職人や修道士を経験。
彫刻家として活動を再開するまで
10年以上かかった。

ロダンはいう。

 経験を賢く活かすならば、
 何事も時間の無駄にはならない。

回り道だからこそ、見える景色がある。
考える人は、今日もそんなことを
考えているのかもしれない。

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