Norio NAKAYAMA
疫病が残した地名
人類は遥か昔から
疫病と向き合ってきた。
京都に百万遍と呼ばれる一角がある。
京都大学があることで知られ、
多くの人に馴染みの深い地名である。
百万遍。
この不思議な響きの名前は
疫病に苦しむ人々の祈りから
生まれている。
およそ700年前、
京都を襲った大地震と天然痘。
知恩寺の上人が100万回の念仏を
唱え続けると疫病はおさまったという。
1秒にひとつ眠らずに唱え続けても
百万遍には11日以上かかる
途方もない数字だ。
百万遍のように
疫病がきっかけで生まれた
地名や風習は日本中にいくつもある。
コロナと向き合う私たちは
未来に何を残せるだろう。