この猫ともう15年以上も一緒にいる。
チビのときは病弱だったが、18ヶ月めあたりから
病気をしなくなった。
とはいえ、年を取ると免疫力が落ちるので
数年前にはワクチンに負けて片目が腫れて
血膿を流しつづけたことがあった。
正月休みだったのでほとんど寝ないで看病した。
賢猫は一日に二回、ストンストンと階段を降りた。
トイレでしゃがみ、ササミを半分食べて
またゆっくりと二階に上がって寝る毎日だった。
ときどき膿を出すために腫れた目の下を押すと
小さな声で「ウワン(痛い)」と鳴いた。
けれど、抵抗はしなかった。
飼い主は片目が見えなくなったらどうしようなどと
余計な心配をいっぱいしたが、猫はそんなことを考えない。
猫は過去を悔いることがない、未来を案じることもない。
猫は粛々と自分の運命をただ受け入れている。
この賢猫に教えられたことは多い(玉子)