‘田中真輝’ タグのついている投稿

田中真輝 19年5月19日放送



ドンネル先生

千円札の新しい顔になるのは
近代医学の礎を築いた細菌学者、北里柴三郎。

北里は、「医者の使命は病気の予防にある」と確信し、
ドイツに留学。そこで、破傷風菌の純粋培養に成功し、
さらに、抗体を使った血清療法を確立する。

帰国後は、伝染病予防の必要性を説き、
福沢諭吉の支援を得て、日本初の伝染病研究所を設立。
野口英世らの研究者を育てるなど、
まさに日本近代医学の父と呼ぶに相応しい
功績を残している。

門下生からは、「ドンネル先生」つまり「かみなり先生」
と呼ばれた北里だったが、福沢の恩に報いるため
慶応義塾大学医学部を設立、無給で初代医学部長を
務めるなど、情に厚い人物でもあった。

topへ

田中真輝 19年5月19日放送



悪魔退治

千円札の新しい顔になるのは
近代医学の礎を築いた細菌学者、北里柴三郎。

黒死病と呼ばれ、世界中で恐れられたペストの
日本でのアウトブレイクを防いだのも北里だと
言われていることをご存じだろうか。

1894年、北里はペストが大流行していた香港の地に
赴きペスト菌を発見。帰国後、伝染病予防法を
制定に尽力し、自ら指揮を取って、日本でも流行し
始めたペストを収束に導いた。

それまで悪魔の仕業と見なされていたペストを
科学の力で打ち負かす。それはまさに
近代日本の幕開けを象徴する出来事に他ならない。

topへ

田中真輝 19年3月24日放送


Valcenteu
立ち上がる農業

今、世界中でスタートアップ企業が農業における
イノベーションに果敢に挑んでいる。

その一つが、都市における「垂直農業」。
狭い敷地に垂直方向に栽培棚を積み上げ、
土を使わず水耕栽培を行うことで、
効率的かつスピーディに野菜を育てる農業が、
ニューヨークなど大都市で実際に行われ、注目を集めているのだ。

食の工業化への批判もある一方で、
栽培や収穫のプロセスをオープンにできるので、
むしろ安全だという声も少なくない。

2050年には、世界人口の7割が都市部に住むようになるという。
遠方から取り寄せた野菜ではなく、
自分が住む街の中で管理され生産される野菜の方が安心できる、
人々の嗜好も、そのように変化していくのかもしれない。

topへ

田中真輝 19年3月24日放送


Lifetec18
自動化する農業

日本の農業従事者は、今、急速に減少し、高齢化している。
この喫緊の問題に対して、多くの人々や企業が挑戦を続けている。
その一つが、農業機械の自動運転。

昨年末、人気を博した連続ドラマでも、
自動運転トラクタの開発競争がテーマとして取り上げられていたのを、
ご存知の方もいらっしゃるかもしれない。

ドラマはフィクションだが、自動運転トラクタは、
既に実用化されているれっきとした事実。
衛星からのGPS信号を受けて夜間でも
数センチの誤差の範囲で作業が可能だという。

近い将来、誰もいない広大な圃場で、自動化された農業機械が
黙々と働き続ける風景が、当たり前のものとなるかもしれない。
願わくば、その傍らに農業の使命に燃える若者の姿があって欲しい。

topへ

田中真輝 19年3月24日放送


Tpa2067
宇宙で育てるなら

火星に長期滞在する宇宙飛行士が栽培すべき食用植物とは何か。
それば「ウキクサ」である、
というのが日本の研究者が提案した答え。

和名「アカウキクサ」学名「アゾラ」という水生シダ植物は、
驚くほど栄養価が高く、また、米や魚と一緒に水耕栽培することで、
空気や水を浄化するエコシステムを作ることができるという。

加えて窒素を固定する能力を備えているので、
米など他の作物の育成に欠かせない窒素肥料が
不要になるというおまけつき。

そんなミラクルな植物であるアゾラだが、一つだけ問題が。
食用にあたってはその匂いが問題になるだろう、
と研究者は指摘しているのだ。
宇宙だけに「くうき」がなくなる話ではある。

topへ

田中真輝 19年3月24日放送


サイトウ
農業が育むもの

農業の6次産業化、という言葉をご存じだろうか。

1次産業者である生産者が、2次産業の加工、そして
3次産業である流通と販売まですべてを行うことで、
農産物の価値を高め、農業の収益性を上げていこうと
する試みのことである。

農家が運営するレストランや農業体験、また米農家が
店舗を構えて収穫した米で作ったおにぎりを販売する
など、様々な形での6次産業化が進められている。

自然と対話しながら、命を育む農業。
それは単なる経済活動ではなく、豊かな文化を
生み出す営みでもある。その価値を生産者と
消費者がわかちあえる社会こそ、豊かな社会であるに違いない。

topへ

田中真輝 19年1月20日放送

190120-05
Paul Mannix
改元リスク

今年は新たな元号が始まる年。

改元にあたって、2000年問題が頭をよぎった人々が
エンジニアを中心に少なくないようだ。

当時、稼働していたコンピューターシステムの多くが
西暦の下二桁のみしか記録されていなかったため
2000年になった瞬間に誤作動を起こす可能性がある、
ということで多くのエンジニアが対応に追われた
この問題。
蓋を開けてみると大きなトラブルもなく終わり、
今回の改元についても、大手企業からは対応可能との
発表もなされているようだ。

とは言うものの、今回もシステムの不測の事態に
対応すべく多くの人々が稼働することは間違いない。
新たな時代を無事迎えられる背景には
そうした無数の尽力があることも忘れてはならない。

topへ

田中真輝 19年1月20日放送

190120-06

幻の元号

今年は新たな元号が始まる年。

長い元号の歴史の中で、幻の元号なるものが
あるのをご存じだろうか。
その元号とは「光文」。

西暦1926年12月25日午前1時25分、大正天皇崩御。
各社が天皇崩御を報じる朝刊を発行する一方、
東京日日新聞号外には「元号は光文」の文字が。

あまりの情報の早さに人々が仰天する中、
正式発表された元号は、なんと「昭和」。
世紀の大スクープは、一点、世紀の大誤報となる。

果たして誤った情報だったのか、それとも情報漏洩を
知った政府が急遽元号を変更したのか、その辺りの
事実は定かではない。

時代が下り、東京日日新聞は毎日新聞と名を変える。
その毎日新聞が、昭和からの改元の際、小渕長官の
発表の30分以上も前に「新元号は平成」と報じたのは
時代を超えてその雪辱を果たさんとした
記者魂だったのかもしれない。

topへ

田中真輝 19年1月20日放送

190120-07

予想合戦

今年は新たな元号が始まる年。

ネット上では早くも新元号の予想合戦が過熱している。
明治、大正、昭和、平成の表記として頭文字の
アルファベットM、T、S、Hが広く使われているため、
それ以外の文字が頭にくる元号になるだろう、
という予想が大勢を占める中、安心の「安」に「久しい」
と書く「安久」ではないか、との声が下馬評では
優勢であるらしい。

「生前退位」によって、元号予想のタブー感が薄れたことも
予想合戦に拍車をかけているようだが、
いずれの候補にもにじみ出ているのは、
先の読みにくい未来が、できるだけ穏やかであって
欲しいという人々の切なる願いである。

topへ

田中真輝 19年1月20日放送

190120-08
il_baro
あなたの平成

今年は新たな元号が始まる年。

その節目に振り返ってみる。
「平成」とはどんな時代だったのか。

冷戦終結、ソ連の崩壊。
バブル景気とその崩壊。
地下鉄サリン事件、アメリカ同時多発テロ、
リーマンショック。阪神淡路大震災、東日本大震災。
インターネット、スマートフォンの爆発的普及。

悲しみに彩られたニュースも多いが、
それは喜びに満ちたニュースが、小さな声で語られる
からかもしれない。
今一度、あなたの平成に、耳を澄ませてみては
いかがだろうか。

topへ


login