Bill Herndon
小説家の提案
「牛河はずっと昔に流行った
坂本九の感傷的な歌を思い出した。
『見上げてごらん夜の星を、小さな星を』
というのが出だしの一節だ。
大ヒットした長編小説「1Q84」に
こんな文章を書いた村上春樹。
無類の音楽好きで知られる彼は、
ジャズを中心に、様々なジャンルの曲を聴くが、
特に坂本九の「上を向いて歩こう」は、大のお気に入りだ。
この曲と同じように、
世界中で愛されている小説を生み出す村上は、
アメリカでドライブ中に、ラジオで
「上を向いて歩こう」と、よく遭遇するらしい。
スキヤキなんて、ひどいタイトルだなあと思いながらも
ミネソタのだだっぴろい平原の真ん中で、
この曲が流れてきたときには、胸がじーんとしてしまったという。
村上は、後に、こんな言葉まで残している。
僕は「上を向いて歩こう」を、
日本の国歌とまではいわずとも、
準国家にすればいいのにと
長年にわたって主張しているんだけど、
いかがでしょうか?