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茂木彩海 15年3月15日放送

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旅のはなし 小田実の旅

作家であり、政治活動家であった小田実。

東京大学文学部を卒業後、1958年に渡米。
一枚の帰国用航空券と持参金200ドルを握りしめて世界一周旅行に出かけ、
世界のあらゆる人たちと語りあった。

その様子を描いた著書、「何でも見てやろう」は
当時若者達の間でベストセラーになり、
バックパッカーの草分け的存在として今も語り継がれている。

 まあ、もうちょっと、行ってみようやないか。
 ほんとうに未知なものにむかって進むとき、
 人はそんなふうに自分に対して言うほかはない。

単純で大きな好奇心を満たすのに
旅より良い方法は、ちょっと見つからない。

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茂木彩海 15年2月7日放送

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名前のはなし ミッシェル

 ミッシェル マ・ベル
 なんてすてきに響く言葉
 なんだろう

 アイ・ラヴユー アイ・ラヴユー アイ・ラヴユー
 これがぼくの
 いいたかったこと
 なんどでも いうよ 君がぼくを好きに
 なるまで

1965年。ビートルズが、その甘い歌声で名前を呼んだ女性がいた。
「ミッシェル」。
翌年にはグラミー賞を受賞し、
オリジナル曲で初めて、固有の名前を登場させたと言われる名曲だ。

女性の名前を歌う曲は世の中に数多くあるけれど、
そのモデルが誰なのか、はっきり語られないことも多い。

「ミッシェル」もそんな女性のひとり。

大天使ミカエルに由来しているという、この名前。

名は体を表す、と言うが、
どんな瞳で、何に笑って、どんな風に怒るのか。

名前を聴きながら、頭の中でその輪郭を描いてみるが、
彼女がどれだけ天使に近い存在だったか、については
ポールとジョンだけが知っている。

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茂木彩海 15年1月25日放送

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coloneljohnbritt
はじまりのはなし メアリー・ケイ・アッシュ

1年のはじまり。1月。

今年の目標は?と聞かれたり、聞いたりして
考える機会は多いけれど、
実行に移せないこともあるのが、正直なところ。

アメリカで化粧品メーカー、メアリー・ケイを創立し、
わずか9人でスタートした企業を85万人が働く大企業へと成長させた
女性企業家、メアリー・ケイ・アッシュは言う。

 航空力学的にはマルハナバチは
 飛べるはずがないけれど、
 マルハナバチは
 航空力学なんて知らないから、
 とりあえず飛び続けているのよ

このハチは、2センチほどのまるまる太った体に
ふわふわした毛が生えていて、その羽根は小さく、
航空力学的にみると飛ぶのはまるで不可能と言われてきた。

ところが、自分が飛べないことを知らないから、
堂々と飛べるのだ、というのがメアリーの見解。

できないと思うより手前で、飛び込んでしまう。

なにかをはじめる時にはそれくらい無鉄砲なほうが
強いのかもしれない。

1年のはじまり。1月。
さぁ、なにをはじめよう。

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茂木彩海 15年1月25日放送

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はじまりのはなし 柴田元幸

アメリカ文学の研究者、柴田元幸は
書き出しだけをあつめ、自ら新訳を行った世界文学全集の中で、
あの有名な物語のはじまりを、こう訳した。

 私は猫だ。いまのところ名前はまだない。

ひとことで、世界が決まっていく。

だからこそ、物語のはじまりに
作家の力は注がれる。

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茂木彩海 14年12月21日放送

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jjay69
クリスマスのはなし 「ホーム・アローン」のクリスマス

コピーライターから映画界入りしたことで知られる
脚本家、ジョン・ヒューズ。

クリスマスを題材とした作品『ホーム・アローン』で、
主人公の少年にこんな台詞を言わせている。

 今年は僕、クリスマスプレゼントを欲しがらないから、
 その代わり家族を返してください。

ごちそうも、プレゼントも、一人じゃ心は埋まらない。

大切な人と、ただゆっくり時間を過ごす。
そんなクリスマスが、今年はいいかも。

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茂木彩海 14年12月21日放送

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torbakhopper HE DEAD
クリスマスのはなし ナンニモナイクリスマス

パトリック・マクドネルの著書
「おくりものはナンニモナイ」。

特別な日クリスマスに、ネコのムーチが
おもちゃもベッドも、何でも持っている友達、イヌのアールに
プレゼントを見つけにいくはなしだ。

何をあげたら喜んでくれるんだろう。

たくさん考えたムーチはついに
「ナンニモナイ」をプレゼントすることを思いつく。

大きな空の箱をリボンでつつんで
「ナンニモナイ」を詰め込んだムーチは、アールに渡して、言う。

 ナンニモナイ・・・
 きみと ぼくの ほかにはね

なんにもないからこそ、なにかが見える。
大事なものが見えるクリスマスは、きっとあたたかい。

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茂木彩海 14年11月30日放送

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美味のはなし 辻静雄

新聞記者からフランス料理家へ転身した男、辻静雄。

大学卒業後、読売新聞の記者をしていたが結婚を機に退社を決意。
妻の実家が経営する料理学校を手伝うため
鉛筆を包丁に持ち替えて料理の世界に入る。その年、25歳。

今まで洋食と言えば、カレーライスやオムライスだった男が
突然フランス料理の勉学に励むわけだが、
どうもレシピ通りにつくったところで美味しくならない。

辻は実際にフランスへ飛び、美味いと聞いた店には片端から出向いて
シェフと会話をする中で、その本質を学ぶことにした。
フィールドワークは、記者時代に染み付いていた。

帰国した辻が執筆した「フランス料理研究」は、その重量、11キロ。
気づけば、フランス料理の第一人者になっていた。

辻は言う。

 料理の世界だけは自習のきかない世界です。
 誰か相手がいて、その場でこれはどう思うと、と言ってもらわなければ
 全部成り立たない世界なんです。

食べる人の「美味しい」が、料理のおいしさをまた一歩、前進させる。

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茂木彩海 14年11月30日放送

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美味のはなし 東海林さだお

美味とは、食材同士の組み合わせで生まれるもの。

そんな洞察をするのは、
食べ物のウンチク、雑学などを、あらゆる視点でとらえ、
「丸かじりシリーズ」として出版するエッセイスト。
東海林さだお。

彼は堂々と言う。

 イカも大根も、いわゆる“心中もの”として解釈できる。

食卓に並ぶおかずが、
なんだか急にドラマチックに見えてきた。

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茂木彩海 14年10月12日放送

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陶芸のはなし 石黒宗麿

生涯師をもたず、地道な努力を重ね、
人間国宝まで昇りつめた陶芸家、石黒宗麿。

何者にも頭を下げず、自由奔放。
当時は出来レースも多かった政府主宰の展示会などを
何より嫌っていた。

そんな性格だったため、
他人からの評価には関心がなく、
ゆえに、作品を販売することすら珍しかった。

 「ぶっている」なんて風評が世間ではあるが
 僕は唯、作るのに忙しく時間が無いだけです。

ただ作りたい。
純粋な熱で焼かれた陶器は、力強い。

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茂木彩海 14年10月12日放送

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geishaboy500
陶芸のはなし バーナード・リーチ

「東と西の結婚」を使命に活動を続けた陶芸家。
バーナード・リーチ。

幼少時代を日本で過ごした彼は、
22歳でふたたび日本を訪れる。

衝撃を受けたのは、一級品の陶器をただ飾るのではなく、
「茶会」として日常に取り込み、
愛でる習慣がある日本、そのもの。

 日本は真の芸術の国だ。
 それは血液にも時間にも室内にもある。

帰国後、無事、東の日本と、西のイギリスの仲人をつとめ
完成させたリーチの作品は
上品でありながら生活になじむ、不思議な趣をかもしだす。

日本に感動して生まれた作品は、
今日もどこかで、日本人の心を捉え続けている。

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