onigiri-kun
愛のはなし 向田邦子と向田和子
たとえ家族でも、この世で出会えたことは奇跡だ。
昭和の時代、心の機微を描いた作家。向田邦子。
そんな彼女だからこそ、
身近な人に掛ける言葉は、その視線は、
とてもあたたかく、家族からも愛されていたという。
特に妹の和子は、邦子の一番のファン。
仲のよかった2人は、昭和53年、一念発起し
東京都港区赤坂で小料理屋「ままや」を開店した。
コンセプトは、「女性が一人でも気軽に寄れるお店」。
「鯵の干物とポテトのサラダ」や、「さつま芋のレモン煮」など
他のお店にはちょっとないような、
料理好きだった二人が楽しみながら試行錯誤してつくったお惣菜の数々が並んだ。
家族という一番身近な存在だったからこそ
なかなか伝えられないありがとう。
この2人だって、例外ではないけれど、
ある日、一緒に食事をした帰り道。
交差点で信号待ちをしている時に邦子は、和子にこう言った。
あなた本当にいいやつだねって、
私、ずっと思ってるんだよ。
照れながら、何気なく。
この冬こそ、身近な人に愛の言葉を。